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悪は存在しない 濱口竜介:監督
連休中とはいえ、昼の回が満席だった。濱口監督にファンがしっかりついている事が見てとれた。
コロナ後の世界を描いているが、率直に現代人は猫も杓子もここまで心が病んでいるんだということを思い知らされる。これは自分の体感ともズレていない。と同時に、その病みに同居する現代人の思考の浅さ、軽薄さというものも炙り出している。派手ではないが人間存在に向き合った丁寧な物語の運びが感じられる。だからこそ、見た人全員がラストで置き去りにされると思う。そこまで、丁寧に積み上げできた物語の糸が突然バッサリと切られる。悪い意味で破綻している。はっきり言って興醒めした。判断は観客に委ねるという作り手がいる。今回もそういった趣旨の発言を監督がしているようだが、こんなものに意味を見い出す事を強要するのは傲慢ではないだろうか。