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daraz
ピアノ
「母ちゃん、ちょっと聴いてよ。」
息子からの誘い。もちろん、喜んで。
娘と息子はピアノを習っている。あまり上達はしていないが、やめたいとは言わず、ここまで続けてきた。どうやらピアノの先生との相性が良いらしい。今月は、発表会がある。発表会に向けて、息子は練習をがんばっている様子だ。
うちのピアノは電子ピアノなので、夜はヘッドホンをつけて練習している。お風呂上がり、カタカタと鍵盤を叩く音が聴こえる。私がお風呂から出たのを見て、息子が言った。
「母ちゃん、ちょっと聴いてよ。」
私は濡れた髪のまま、もうひとつのヘッドフォンを耳に当てた。前回聴いたときに比べて、かなり上達していた。
「うまくなったやん、すごい。」
私の称賛の声に、すこし得意げな様子の息子。もう一度弾くようにお願いした。ヘッドホンから聴こえる子犬のワルツが心地よい。
子どもたちがピアノの練習をするのを聴く時間が好きだ。片手練習から始まり、そのうちに和音が重なっていく。たどたどしい演奏から、すこしずつ滑らかな演奏へと変わっていく。その変化を感じるのは楽しい。
娘は、今度の発表会でピアノをやめる。本人が決めたことだ。色々と忙しくなり、続けることが難しいと判断したとのこと。最後の発表会だ。悔いのないように、がんばって仕上げてほしい。
息子は、やめるとは言わないので、まだ続けるつもりだろう。できれば長く続けてくれると嬉しいなと思う。
「母ちゃん、ちょっと聴いてよ。」
何度でも聴かせてほしい。