理解する英文法5️⃣〈重要構文〉
いよいよ「理解する英文法」の最後の記事です。
今回は、「強調構文」や「倒置」など英語で語順がややこしい構文を取り上げます。
強調構文(分裂文) (cleft sentence)
強調構文とは、〈it is[was] [名詞/副詞(句・節] that/who/which ~〉の形の文です。"it is"とthat/who/whichに挟まれた名詞/副詞(句・節)に話の焦点を当てる働きがあります。
学習参考書などでは「強調構文」と呼ばれることが多いのですが、言語学では「分裂文 (cleft sentence)」と呼ぶのが一般的です。
これは、元の文を2つの部分に分割して〈[仮主語のit] is[was] + [焦点化される要素] + [that, who, which] + [元の文の残り]〉という構造にした文だからです。
[焦点化される要素]が名詞のとき、that/who/which の後ろは名詞欠落文となります。
例)
It was my secretary that sent the bill to Mr. Harding yesterday.「領収書を昨日ハーディン氏に送ったのは、私の秘書だった」
主語がwhat節やthe day when/the place where/the reason whyあるいはall (that)/the only thing/the first thingの文も分裂文の仲間で、補語の部分に焦点が置かれます。「疑似分裂文(pseudo cleft sentence)」と呼ばれることもあります。
例)
What Emily kept in the garden shed was a motorbike.「エミリーが納屋にしまっていたのは、バイクだった」
The reason why Jake went to London was to see Tom.「ジェイクがロンドンへ来た理由は、トムに会うためであった」
All you need is love.「あなたが必要としているのは愛だけだ」
The only thing I remember is a terrible pain in my head.「私が唯一覚えているのは、酷い頭痛だけだ」
その他の強調表現
〈It is[was] not until ~ that …〉「~になってはじめて…」
次の文を強調構文にしてみましょう。
I did not realize I was hungry until I smelled bacon.
notが文全体を否定しています。"until I smelled bacon"をnotの直後に前置して"It was not until I smelled bacon"とすることで、"until yesterday"を否定の範囲に含めることができます。
It was not until I smelled bacon that I realized I was hungry.「私はベーコンの匂いを嗅いではじめてお腹が減っていることに気づいた」
〈it is[was] ~ that[who/which] …〉の形でも、必ずしも分裂文であるとは限りません。次に述べる「形式主語構文」や"it"が指示代名詞の場合などがあるからです。
例)
A: Who is that talking to the police?「警察官に話しかけているあの人は誰ですか?」
B: It’s the director who was sacked.「クビになった局長だ」
Bの発言の"it"は、Aの発言における"that"を指す代名詞です。また、"who was sacked"という関係代名詞節が"the director"を修飾しています。
A: Where is your dog?「あなたの犬はどこですか?」
B: It’s in the park that is near the office.「会社の近くの公園にいる」
先程の例と同様に,Bの"it"はAの"your dog"を指す代名詞で、"that is near the office"という関係代名詞節が"the park"を修飾しています。
また、分裂文であっても、"~"に焦点が置かれていない場合もあります。英語では[旧情報]→[新情報]の流れが好まれます。「旧情報」とは読者や話者の双方にとって既知の事柄であり、「新情報」では会話で初めて出てくる事柄のことです。この流れにするために、倒置が生じることがあるのです。
例)
It was at this shop that we first met.「この店で私たちは初めて出会った」
"at this shop"が[旧情報]で、"we first met"が[新情報]です。
形式主語構文
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