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哀しいホスト 第42話 地に足をつけた再出発、タケルと共に進む新たな挑戦

第42話 地に足をつけた再出発、タケルと共に進む新たな挑戦

ミサへの誓いを立てた翌日、俺はどこか吹っ切れた気持ちで一日を迎えた。マキとの再会は確かに俺を迷わせたが、もう過去の自分に戻ることはないと、心に決めた。これからは、もっと地に足のついた新しい道を見つけよう、そう思っていた。

そんな時、タケルから電話がかかってきた。

「キク、ちょっと相談があるんだ。実は今度、地元の人たちともっと近づけるようなイベントを企画してるんだよ。お前も手伝ってくれないか?」

タケルの話に少し驚いた。彼もまた、ただ華やかさを追うだけの生き方から、もっと地域や人々とのつながりを大切にする方向に歩んでいるようだった。

「もちろん、手伝わせてもらうよ」

俺は即答した。タケルの新しい挑戦に触れ、自分もこれまでとは違う形で何かを成し遂げられるのではないかと感じ始めていた。


イベント当日、会場は地元の人々の温かい笑顔に包まれていた。俺はタケルのスタッフとして来場者を迎え、子どもたちと話したり、お年寄りに席を案内したりと、一つ一つの仕事をこなしていった。ホスト時代のような派手さはないが、こうした地味なサポートが心地よく感じられた。

タケルが近づいてきて言った。

「キク、こういうのも悪くないだろ?華やかさじゃなくても、人を喜ばせることはできるんだ」

俺は頷いた。俺もまた、地元で新しい形の喜びや達成感を感じ始めていた。派手な生活ではないが、こうして地元の人たちと関わることで、自分が少しずつ「本当に満たされている」と実感できるようになった。


イベントが終わり、タケルと並んで歩きながら、彼がふと俺に言った。

「これからもこうやって、地元に根ざした活動を増やしていこうと思ってる。キクも一緒にやらないか?」

「そうだな……俺も、ここでなら役に立てそうだ」

タケルの提案を受け入れることで、また一歩、新しい自分に近づけた気がした。過去を引きずることなく、今の自分ができることを見つけることが、ミサへの誓いを守る道だと思えた。


その夜、自宅に戻ってから、俺は再びミサの写真を見つめた。

「ミサ……俺は、もう迷わない。これからは、お前に恥じない生き方をするよ」

ミサと過ごした日々が、俺の背中を押してくれていることを感じた。タケルと共に、今度は地元に根ざした生き方で、自分を輝かせる方法を見つけていこうと思う。

派手さもないが、心から人に喜んでもらえる人生を選び、俺は再び前に進む決意を固めた。


つづく

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