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毒親 第64話 罠と焦燥

第64話 罠と焦燥


サキたちが田嶋に関する証拠を掴んでから数日が経った。証拠の一部はすでに信頼できるジャーナリストの手に渡り、公開に向けての準備が進んでいた。しかし、その動きを察知した田嶋は、苛立ちと焦燥を募らせていた。


その夜、田嶋は裏社会の仲間と密かに会合を開いた。彼らの目的は明確だった。サキたちの動きを潰し、証拠を奪うこと。

「奴らの動きを封じ込めなければならない。」田嶋は冷徹な声で言った。「特にあの元看護師の女、サキをどうにかする必要がある。」

一人の部下が田嶋に提案した。「彼女の家族を脅せば、簡単に動きを止められるかもしれません。」

田嶋は少し考えた後、冷酷な笑みを浮かべた。「それは良い案だ。奴らの弱点を突く。」


翌日、裏で田嶋を追い詰める作業を進めていた。サキはリナの病院に立ち寄り、最新の進捗を簡単に報告した。

「お姉ちゃん、少しずつだけど進展しているわ。もう少しで、田嶋を法の下に引きずり出せるかもしれない。」

リナは微笑みながら答えた。「サキ、無理はしないでね。あいつは本当に危険よ。でも、あなたを信じてる。」

その時、病院の廊下で見知らぬ男が目に入った。サキは直感的にその男の存在に違和感を覚えた。彼はどこか探るような視線で周囲を見回していた。

「誰かが私たちを監視している……?」サキは慎重に距離を取りながら男の動きを観察した。


一方、カイは田嶋の動きを封じるため、地元の弁護士と接触していた。彼らは証拠を基に法的な手段を整え、田嶋に対抗する準備を進めていた。

「田嶋側が反撃に出てくる可能性が高いです。」弁護士は警告した。「特にあなたの家族を狙った脅しには十分注意してください。」

カイは頷きながら答えた。「分かっています。家族には最大限の注意を払います。」

その帰り道、カイは車を運転しながらふと視線を感じた。バックミラーを見ると、黒い車が後をつけていることに気づいた。

「まさか……田嶋の手の者か?」カイは冷静にハンドルを握りしめ、慎重に運転を続けた。


夜、カイはサキにそのことを話した。

「俺たち、完全にマークされてるかもしれない。」カイは真剣な顔で言った。「田嶋が動き始めたんだ。」

サキも深刻な表情で頷いた。「私も今日、病院で怪しい男を見た。奴らが私たちを狙っているかもしれない。」

「やばいな、早く決着つけないと。」カイが問いかける。、

「まずは証拠をさらに分散させる。あと、警察にも連絡を取るべきね。動きが公になる前に、私たちが守らないといけないものがあるから。」


その頃、田嶋はサキたちへの罠を準備していた。彼はサキが病院を出た後に誘い出し、証拠を奪おうと計画していた。

「夜に動くのが一番だ。」田嶋は部下たちに指示を出した。「騒ぎを起こさず、確実にやれ。」

部下たちは無言で頷き、行動を開始した。


夜、サキがリナの看病を終えて、病院から出た時、薄暗い駐車場に異様な気配を感じた。彼女は警戒しながら周囲を見回したが、誰もいないように見えた。

しかし、次の瞬間、背後から複数の男たちが現れた。彼らは無言でサキを取り囲む。

「田嶋に逆らった代償だ。」一人の男が低い声で言った。

サキは冷静に身構えながら、隙をうかがった。「私をどうするつもり?」

「証拠を渡してもらおうか。」男は冷笑を浮かべた。

サキは内ポケットに忍ばせていた録音機のスイッチを入れた。証拠の一部をすでに他の場所に移していた彼女は、時間稼ぎをすることを決意した。

「証拠はここにはないわ。」サキは毅然と答えた。「あんたたちが何をしようと、私は止まらない。」

男たちが一歩近づいたその時、遠くから車のライトが差し込み、大きなクラクションが響いた。

「サキさん!」カイが駆けつける。

果たしてサキはこの危機を乗り越えられるのか?そして田嶋の計画を潰す日は近いのか。物語は次の展開へと進む。


つづく


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