7秒タイムマシン 第23話 レンとエミリ自分との戦い
第23話 レンとエミリ自分との戦い
光が再び彼らを包み込み、レンとエミリは次の場所へと導かれた。目を開けると、二人は見慣れた場所に立っていた。それは、彼らの家だった。だが、何かが違う。部屋は薄暗く、壁や家具は古びており、全体的に荒廃した雰囲気が漂っていた。
「ここは…僕たちの家…?」レンは疑念を抱きながら、部屋を見回した。
「でも、何かがおかしい…」エミリも同じく、不安な表情で周囲を観察した。
その時、二人の前にアヤカが現れた。しかし、彼女の表情は無表情で、どこか冷たさを感じさせるものだった。アヤカはじっと二人を見つめていたが、一言も発さなかった。
「アヤカ…本当に君なのか?」レンは慎重に問いかけたが、彼女はただじっと見つめ返すだけだった。
エミリはアヤカに近づこうとしたが、彼女の足が突然重くなり、前に進むことができなくなった。「何…?どうして動けないの…?」
レンも同じく、体が重く感じられ、一歩も前に進むことができなかった。その瞬間、家の中が暗くなり、アヤカの姿が消えてしまった。二人は不安に駆られながらも、どうにかして動けるように努力した。
「これは…試練なのか?」レンは心の中で問いかけた。
その時、彼の心に何かが響いてきた。それは彼自身の声ではなく、どこか遠くから聞こえてくるような、柔らかな声だった。
「レン、エミリ…あなたたちが直面しているのは、あなたたち自身の恐れと不安。これを乗り越えるためには、心の奥底に隠された真実と向き合わなければならない。」
その声に導かれるように、レンは自分の心を深く探ることにした。すると、彼は自分の中に長い間押し込めていた感情を見つけた。それは、家族を守れないかもしれないという恐れ、失敗するかもしれないという不安だった。
「僕は…ずっと怖かったんだ…家族を失うことが…」レンはそのことに気づき、心の中でそれを認めた。すると、体の重さが少しずつ和らぎ、動けるようになった。
「エミリ、僕たちの恐れと向き合おう。そうすれば、きっとこの試練を乗り越えられる。」レンはエミリに語りかけた。
エミリもまた、自分の中にある恐れを見つめ始めた。それは、愛する人たちを失うことへの恐れ、自分が無力であることへの不安だった。彼女はその感情を受け入れ、心の中でそれを手放すことにした。
「レン、私もできる…一緒にこの試練を乗り越えよう。」エミリは決意を込めた声で言った。
レンとエミリが足を踏み入れた世界は、どこか異様だった。目の前には巨大な木々がそびえ立ち、まるでジャングルのような場所だったが、よく見ると木々の間には奇妙な光が点滅している。空は深い紫色に染まり、どこからともなく不気味な音が響いていた。
「ここは…一体どこなんだ?」レンが周囲を見渡しながら呟いた。
エミリは、レンの手を強く握りしめた。「レン、ここが何時代なのか、全く分からないわ。けど、アヤカを見つけなきゃ。」
レンは決意を固め、エミリの手をしっかり握り返した。「そうだな。この世界がどれだけ奇妙でも、俺たちはアヤカを見つけ出す。」
二人は慎重に周囲を探索し始めた。道なき道を進んでいくと、やがて彼らの前に広がる開けた場所が見えた。そこには、小さな村のような集落があり、木製の家々が並んでいた。人々はレンとエミリに気づくと、驚いた表情でこちらを見つめた。明らかにこの場所に馴染んでいない二人に対して、警戒心を抱いているようだった。
レンは人々に向かって手を挙げ、できるだけ穏やかな声で話しかけた。「こんにちは、すみませんが、ここはどこですか?そして、若い女の子を見かけませんでしたか?」
すると…!
つづく!
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