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毒親 第59話 追い詰められた田嶋

第59話 追い詰められた田嶋


リナの無事な移送が成功し、カイたちは緊張から解放される間もなく、田嶋の反撃を警戒していた。サキは田嶋の前で毅然と立ち向かったが、彼がこのまま大人しく引き下がるとは思えなかった。

一方、田嶋は自室に戻ると机に拳を叩きつけた。「あの小娘どもが……私の計画を邪魔するとは。」彼の目は冷酷な光を宿していた。


その夜、田嶋は次の一手を考えるため、裏社会の仲間に連絡を取った。

「急いでやつらを抑えなければならない。」田嶋は電話越しに低く囁いた。「あの家族が持っている証拠を取り返し、奴らを黙らせろ。」

電話の相手は冷静な声で答えた。「しかし、動きが荒くなれば警察に目をつけられる可能性が高い。リスクが大きいですよ。」

「構わん。」田嶋は声を荒げた。「どんな手を使っても、私の名誉と地位を守る。失敗は許されない。」


その頃、カイたちは新しい病院にリナを安全に移す事ができた。

「サキ、何があったの?どうして病院を移ったの?」リナがサキに聞いてきたのでサキは、「詳しいことは後でちゃんと説明するから、今は私達の言うとおりにしてれば、問題ないから安心して!」
リナも田嶋が関係している事は、薄々わかってはいたが、ここはサキ達に任せることにした。

サキは持ち帰った証拠をどう扱うかを話し合っていた。

「田嶋を追い詰めるには、これだけでは足りないかもしれない。」美和が真剣な表情で言った。「彼の悪事を暴くには、さらに確実な証拠が必要だわ。」

「どうすればいいんだ?」カイが眉をひそめた。「あいつがこれ以上動く前に手を打たなきゃいけないだろ。」

「私に考えがある。」サキが静かに口を開いた。「田嶋が他の患者にも同じことをしている可能性が高い。彼の過去の記録を掘り下げれば、さらに証拠が見つかるはず。」

「それをどうやって調べるんだ?」美和が問いかけると、サキは少し躊躇しながら答えた。

「田嶋のオフィスにもう一度忍び込むわ。」

「無茶だ!」カイは声を荒げた。「そんな危険なこと、今度は見つかる可能性が高いぞ!」

「でも、このままでは何も変わらない。」サキは強い目でカイを見つめた。「お姉ちゃんを守るためには、私は後には引けないの。」

カイはため息をつき、彼女の肩に手を置いた。「分かった。でも一人では行かせない。俺も一緒に行く。」


翌日、田嶋は病院内での動きをさらに厳しく監視するよう命じた。しかし、彼が目を光らせている間にも、サキとカイは新たな計画を実行に移し始めていた。

サキは看護師としての経験を活かし、田嶋が注意を向けていない隙を狙い、再びオフィスに潜り込んだ。カイは廊下で見張り役を務め、異変があればすぐに知らせる態勢を整えていた。

田嶋のオフィス内では、過去の患者ファイルが整然と保管されていた。サキは一つひとつファイルを確認し、不審な記録を探し始めた。

「あった、これだ……」サキはつぶやきながら、一つのファイルを取り出した。それは以前の患者の記録であり、リナと同様に治療内容が不自然に操作されている痕跡があった。


しかし、その瞬間、廊下から足音が聞こえた。

「サキさん、誰か来る!」カイが小声で警告する。

サキは急いでファイルをスマートフォンで撮影し、元の場所に戻した。ドアノブが回る音が聞こえ、二人は心臓が止まりそうな思いで隠れた。

田嶋が部屋に入ると、鋭い目で周囲を見回した。「誰かがここに入った気配がある……」

彼の足音が近づく中、サキとカイは息を殺して隠れ続けた。

果たして二人は無事にこの窮地を脱し、新たな証拠を手にすることができるのか?そして、田嶋の追い詰められた本性が明らかになる日は来るのか?闇はさらに深まっていく。


つづく

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