今季より拠点をマドリードから東京に移したSHOOPのコレクションが国立競技場の地下へと続くスロープを使って発表された。テーマは、デザイナーが感じとる「東京」のイメージだという。
今季のコレクションでは、スリットや透け、ほつれ、ニットの粗い編み目などがそれぞれのアイテムの各所で用いられている。
しかしこれらが、いわば「東京の洗練されたエレガンス」を提示するために用いられているところに面白みがある。
川久保玲らが生み出した「美的価値からうんと隔たった服」は、もともとはエレガントやシックであるということから断絶された服であり、それは「ファッションにおける「美」の基準から外れていることによって意味を持つモードに抗するモード、すなわちアンチ・モードであった。
鷲田が言うところの「最後のモード」は、現在に至るまで繰り返し数え切れぬほどの延命治療を受けている。
延命治療が繰り返される過程で、「寸足らず、つぎはぎ、ちぐはぐ、だぶだぶ、よれよれ、やつれ、しわしわ……」が「美的価値からうんと隔たった服」という意味を持たなくなって久しい。
2023.09.01 0:38