第101回箱根駅伝予選会 振り返り

先週土曜日(10/19)、第101回箱根駅伝予選会が行われました。気温、湿度共に高く、体感温度は30度近いとも言われた厳しいコンディションの中でしたが、日大は2年連続の箱根路を目指し、最後まで全力を尽くして厳しい予選会を戦い抜きました。前置きはこれくらいにして、早速個人成績、そして総合成績を振り返りたいと思います。




以下、個人成績振り返り(成績順です)

1位 シャドラックキップケメイ② 60:59
14:18-28:51(14:33)-43:33(14:42)-57:59(14:26)-60:59(3:00)

圧倒的な強さでしたね。序盤は上武大・カマウ選手の飛び出しには無理につかず、冷静にレースを進めていました(それでもかなり速いペースでしたが…)。10〜15km間で、一時集団後方に下がったシーンも見られましたが、15km以降は再びペースアップ。最後は山梨学院のキピエゴ選手も競り落とし、2年連続の個人トップでのフィニッシュとなりました。3種目の学生記録保持者、関東インカレ1部・2部ハーフ王者など、錚々たるメンバーが揃った中で前年王者の強さを証明し、チームに大きな貯金をもたらしてくれました。今回の暑さで60分台はただただ凄いの一言です。あとは箱根で今年のリベンジをするのみですね。

34位 大仲竜平③ 64:51
15:14-30:39(15:25)-46:22(15:43)-61:33(15:11)-64:51(3:18)

タフなレースは苦にしないと思っていましたが、ここまで走るとは…。10kmまではペースの速い第1集団での集団走、15kmには集団が3人にまで減りましたが、その中でも大仲選手にはかなりの余力がありましたね。15〜20km間は15:11という日本選手トップタイムで駆け抜け、15km以降に個人順位を50以上上げる見事な走りを見せました。今回の暑さで5kmのラップを30秒以上上げる走りは中々できない芸当だと思います。また、今回はタフなレースが味方した部分もあると思いますが、タフさだけでなく、地力も確実についているからこそのこの順位だと思います。箱根でも、他校の主力と互角以上に渡り合う走りを期待したいです。

57位 安藤風羽④ 65:16
15:14-30:40(15:26)-46:22(15:42)-62:01(15:39)-65:16(3:15)

ベストコンディションではなかったように感じましたが、苦しい中でも意地は見られました。スタート位置で前の方に姿が見えず、やや心配していましたが、15kmまでは大仲選手、富田選手と共に集団走でレースを進めます。2選手に比べると、15km以降に急激なペースアップはできませんでしたが、ラスト1.0975kmはシャドラック選手に続くチーム2番手の走り。順位を上げ、苦しみながらもエースの意地を見せてくれました。悪いなりに纏められた点は昨年からの成長の証だと思います。ただ、本来の力はこんなものではないと思うので、箱根ではベストコンディションでエースの走りが見られることを期待したいです。

58位 冨田悠晟③ 65:16
15:14-30:40(15:26)-46:22(15:42)-61:52(15:30)-65:16(3:24)

1年ぶりのロードレースでしっかり結果を残しました。前半から第1集団に姿が見えましたが、15kmまで大仲選手、安藤選手と共に集団で順調なレース運びができていました。フリーになった15km以降、急激にペースを上げた大仲選手に続くような形でペースを上げます。ラストは一杯一杯でしたが、15kmから個人順位は30近く上げており、見事なラストの振り絞りだったと思います。この1年間、紆余曲折があった中で、昨年比でも個人順位を大きく上げることができたのは冨田選手自身も一安心だったのではないでしょうか。今年の箱根はここからの過程で悔しい想いをしたと思うので、その経験を活かして、来年の箱根は万全の状態でスタートラインに立ってほしいです。

110位 高田眞朋② 65:57
15:34-31:08(15:34)-47:00(15:52)-62:41(15:41)-65:57(3:16)

箱根予選初出場組の中ではこの高田選手がトップの成績でした。10kmまでは大橋選手らと共に5km15:34ペースの第2集団でレースを展開。15km地点ではその集団から飛び出ている姿が映り、第2集団の選手では唯一15km以降のペースアップに成功しています。ラスト1.0975kmも上手く切り替えられており、15kmから個人順位を60近く上げてのフィニッシュとなりました。暑さが厳しい中、よく後半捲ってきたと思いますが、ポテンシャルを考えるとまだまだ十分に上の成績も目指せると思います。ハーフの距離に対応できる身体作りができれば、箱根ではまた一味違った走りが見られそうです。

147位 大橋優④ 66:35
15:34-31:08(15:34)-47:10(16:02)-63:14(16:04)-66:35(3:21)

関カレ1万m以来の実戦ということで、今回出場した日大選手の中では最もレース間隔が空いた中でのレース。10km地点では第2集団を引っ張る走りを見せていましたが、15km地点では集団から遅れ、チーム内11番手を走っていました。動きも苦しそうで心配しましたが、ここで終わらないのが今年の箱根5区を担った健脚の持ち主。15〜20km間はその前の5kmから2秒しかラップを落とさず、気づけばチーム6番手に浮上。昨年から個人順位を落とした点は悔やまれますが、悪いなりに纏める事ができた点は一つの収穫だったと思います。ここから更に状態を上げ、最後の箱根では今年のリベンジを果たしてほしいです。

156位 山口彰太② 66:44
15:34-31:09(15:35)-47:01(15:52)-63:16(16:15)-66:44(3:28)

課題も見えた中でしたが、初の予選会を無難に纏めてくれました。10kmまでは第2集団でレースを進め、集団がばらけた15km地点では、集団から飛び出た高田選手の直後につける姿が映り、私も見ていて一安心という状況でした。厳しいコンディションの中、終盤は思うようにペースを上げられず、結果的にはチーム7番手のフィニッシュとなったものの、初の予選会で粘り強い走りを見せてくれました。高田選手のように、終盤の切り替えがもう一つ上手くいかなかった点は今後の課題だと思いますが、その中でも粘り強く15km以降に順位を上げることができたのは良かったです。高いスピード能力を長距離ロードに活かすことができれば、相手が強くなる箱根でも十分に好勝負が期待できると思います。

176位 岡田祐太④ 67:02
15:34-31:08(15:34)-47:05(15:57)-63:33(16:28)-67:02(3:29)

もがき苦しみながらも、4年生の執念を感じました。10km地点では大橋選手と共に第2集団を引っ張る姿が見られましたが、15km地点では秒差ながら単独でチーム10番手を走っており、見ていて心配が勝る場面でした。ただ、終盤にペースを維持するまではいかなかったものの、苦しい状況の中、15km以降にチーム内順位を2つ上げ、全体の個人順位も上げた走りにはラストイヤーにかける想いの強さを感じることができました。夏合宿での走り込みもこの終盤の粘りに繋がったと思います。あとは課題であるスピードの強化が進めば、箱根本戦もますます楽しみになりますね。

182位 鈴木孔士③ 67:06
15:14-31:40(15:26)-46:32(15:52)-63:21(16:49)-67:06(3:45)

スタート位置が前から2番目だったので、この時点で状態はだいぶ上がっていると思っていました(ちなみに昨年はシャドラック→西村→大仲→鈴木だったと思います)。10kmまではやはり第1集団で快調なペースを刻みます。しかし、15km地点を大仲、安藤、冨田選手から10秒遅れで通過すると、そこからは苦しくなる一方で、15〜20km間は前の5kmからラップを1分近く落とし、最後はフィニッシュがやっとというレースでした。結果発表の時に姿がなかったので、熱中症や脱水症状だったのかもしれません。中々レースで結果が出ず、もどかしさを感じていると思いますが、まずはゆっくり休んで、また箱根で元気な姿が見れたらと思います。

183位 長澤辰朗① 67:07
15:34-31:08(15:34)-47:02(15:54)-63:38(16:36)-67:07(3:29)

課題は残しつつも、よく踏ん張ってくれたと思います。10kmまでは第2集団での集団走でレースを進め、集団がバラけた15kmではチーム9番手という状況でした。15km地点で姿を確認できた時は、キツくなりながらも身体は動いている印象を受けましたが、15〜20km間で16:30を超えるラップになってしまったのは苦しかったですね。ただ、過酷なコンディションで200〜300位台に沈む他校の有力ルーキーも多かったので、183位の結果は十分に役割を果たしたと言えると思います。まだ箱根を戦うにはスピード、スタミナ共に課題はありますが、成長の余地は十分の選手なだけに、ここから更なる成長を見せて箱根の舞台に立つことを期待したいです。

241位 山口聡太② 68:03
15:34-31:08(15:34)-47:26(16:18)-64:35(17:09)-68:03(3:28)

厳しいコンディションに苦しめられましたね。私はなぜか姿を確認できませんでしたが、10kmまでは第2集団でレースを進められていました。しかし、10〜15km間で一気にペースが落ち、15km地点でチーム11番手の大橋選手とも16秒の差がついたのは苦しかったですね。以降も苦しい走りが続きましたが、ラスト1.0975kmを兄の彰太選手と同タイムで駆けたところには代表選手としての意地を感じました。鈴木選手同様、結果発表の時に姿が見えなかったので、熱中症や脱水症状だった可能性もあるかもしれません。箱根まで期間はあるので、まずは身体をゆっくり休めてほしいです。

480位 山口月暉③ 78:19
15:14-31:40(15:26)-46:33(15:53)-64:29(17:56)-78:19(13:50)

本当に長く、苦しい戦いでした。前半10kmは第1集団での集団走。力があるからこその第1集団だったと思いますが、15kmでは鈴木選手と共に他3名の集団から10秒ほど遅れての通過となります。本人談で12km過ぎから意識がなかったという話ですが、YouTubeに上がっていた動画を見る限り、遅れたのは鈴木選手の方が先だったと思うので、やはりこの辺りで急激にペースが落ちたんだと思います。ラストはとても完走できるような状態ではありませんでしたが、私のような素人では到底分かり得ない想いを背負っていた月暉選手は完走を選択しました。その後のダメージを考えても、正直、誰かに止めてもらいたかったと今でも私はそう思ってしまいますが、月暉選手の想いは否定しませんし、その気持ちの強さには大きな拍手を送りたいです。復活の日を楽しみに待っています。




以下、総合成績

第1位 立教大学 10:52:36

第7位 日本大学 10:56:53

第10位 順天堂大学 11:01:25
------------------------------------通過ライン
第11位 東京農業大学 11:01:26

通過ギリギリの10位順大と、惜しくも通過には届かなかった11位東農大との差は僅かに1秒…。本当に恐ろしい予選会でした。そんな中、日大は総合7位に入り、無事に2年連続の箱根駅伝出場を決めました。本当に厳しいコンディションだったので、通過すれば何位でも良いとは思っていましたが、個人1位に入ったシャドラック選手の大きな貯金と、チーム10番手が183位で纏めた総合力が合わさった結果で、チームとして理想の戦いができたと思います。ただ、総合1位の立教大学との差を考えると、箱根駅伝で前回以上の成績やシード権獲得を目指す為には、まだまだ課題も多く残されていると思います。その課題というのは、突出した日本人エースの存在、選手層の2点と言えるでしょう。しかし、今回苦しい走りになった山口聡選手、山口月選手は、スピードではチーム上位の選手ですし、故障でメンバー外となった中澤選手、天野選手も復帰できれば大幅な戦力アップになります。それ以外にも、スピードに長けている菅原選手やルーキーの重森選手、9月の日体大記録会で大学初戦ながら好結果を残した花輪選手や吉村選手なども虎視眈々と箱根駅伝出場を狙ってくるでしょう。まだまだ上積みが十分なチームが、ここから箱根に向けてどのようなチームを作り上げてくるか、今から楽しみで仕方ありません。
色々語りすぎましたが、選手、スタッフの皆さん、この度は予選会突破、本当におめでとうございます。また、今回走った選手の皆さんは、まずは身体をゆっくり休めてほしいです。暑い中、本当にお疲れ様でした。

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