全日本大学駅伝関東地区選考会 振り返り

昨日(6月23日)、相模原ギオンスタジアムにて、全日本大学駅伝関東地区選考会が行われました。日本大学は2年ぶりの本戦出場を目指し、最後まで全力を尽くしましたが、残念ながら総合9位に終わり、上位7チームに与えられる全日本大学駅伝の本戦出場権を獲得することは出来ませんでした。最初から総括をするのも違いそうなので、まずは各組の結果にコメントを加えて、レースを簡単に振り返っていきたいと思います。


1組
20着 山口聡太② 29:44.85
30着 中澤星音③ 30:31.86

山口聡選手…序盤は後方から集団の様子を窺う走りでしたが、4000m付近ではいつの間にか10番手付近に上昇。ただ、中盤以降は動きに固さが見られ、TVerで見る限り6000m付近では表情にもやや苦しさが見られました。結果として、レースが動いた7000m過ぎに集団から遅れてしまいましたが、そこからある程度粘りを見せて20着で纏める走りが出来たのは一つの収穫でしょう。春は1500mに取り組んでいた事もあり、まだスタミナ面は現状の課題ですが、今後はその課題の部分を強化して、箱根予選ではもう一皮剥ける走りを期待したいです。

中澤選手…序盤から集団後方でしたが、結果と現地で見た様子を合致させると、敢えて後方に位置したというわけではく、ペースが速く、一杯一杯の追走だったのかなというレースでした。それでも、5000mまでは何とか先頭集団で耐える走りを見せましたが、その後に集団から遅れてからは3:10/km前後のペースが続く厳しい走りになりました。2月以来の復帰戦ということを考えれば最低限粘る走りを見せたものの、当然この走りでは納得はいかないでしょうし、夏を怪我なく過ごして、箱根予選では自身初の個人二桁順位を狙うような走りを期待したいです。



2組
20着 鈴木孔士③ 30:16.90
25着 大仲竜平③ 30:25.24

鈴木選手…普段のレーススタイル通りに、序盤から積極的な位置でレースを展開。終盤まで位置を極端に下げることはなく、順調にレースを運んでいましたが、TVerを見た限り6000m付近から表情はやや苦しかったでしょうか。レースが動いた7000m以降に先頭から徐々に離され、以降は順位も少しずつ下げていく苦しい展開になりました。ただ、直近の状態を考えると、正直もっと苦戦をしてもおかしくないと思っていたので、復調傾向にあることが見て取れたのは一安心でした。箱根予選は主力として耐えるレースではなく、稼ぐレースをする姿を見たいですね。

大仲選手…スローペースの中、序盤から位置があまり定まっておらず、集団の外で終始走りづらそうなレースになっていました。ただ、そんなスローペースの中でも、中盤以降は決して楽ではなく、一生懸命もがく走りに見え、7000m付近で先頭集団から脱落する苦しい展開。以降は持ち味の粘りで順位を上げたものの、とても本来の力が発揮できたとは言えないレースになってしまいました。4月に復帰してから、というより昨年秋以降は中々スピードに乗ったレースが見られないのが心配ですが、夏で何かきっかけを掴んで、箱根予選では一皮剥けた走りが見られることを期待したいと思います。



3組
10着 高田眞朋② 29:12.19 PB
28着 冨田悠晟③ 30:02.60

高田選手…序盤は後方に位置していましたが、これはいつものスタイル。先頭集団のペースが上がった3000m付近では第二集団でレースを進めていましたが、5000m過ぎに単独で先頭集団に追いつく賭けに出ます。ペースが上がる度に、前10人程とは離される展開でしたが、そこで粘って最後まで前を追うことができたのが今回の大きな収穫でした。最終的にトップと14秒差、4着の選手とは3秒強の差で10着に入った走りは本当にお見事の一言でした。もう主力と言って良さそうなレースでしたが、大事になるのは好走した次戦。次戦でも強さを証明し、新たなエースへと名乗りを上げてほしいです。

冨田選手…序盤の位置取りが後方で、その時から若干状態面での疑問を抱いていましたが、2000m過ぎにペースの上がった先頭集団についていけず、第二集団にいた時点で疑問が確信に変わりました。近くに高田選手がいたので、何とか2人でリズムを刻みたいところでしたが、それも叶わない程、高田選手の状態とも大きな差がありました。個人的には1桁順位や悪くても10番台前半を期待していた選手なだけに、本当にまさかの結果で、冨田選手自身もこの結果は相当悔しかったと思います。箱根の欠場に続いて、ベストの状態でレースに臨む難しさを思い知った大会になってしまいましたが、箱根予選ではこの悔しさ必ず晴らす快走を期待したいです。



4組
2着 シャドラックキップケメイ② 28:25.28
33着 安藤風羽④ 29:54.75

シャドラック選手…最序盤は自重していましたが、山梨学院のムトゥク選手が引っ張る展開になってからは終始2番手でレースを展開。力を見せたいところでしたが、5000m13:53で通過した直後にムトゥク選手に離されてしまいます。7000m以降は3:00/km近いペースにまでラップが落ち込み、2着は確保したものの、大きくタイムを稼ぐまでには至らない結果となりました。力は疑いようがないですが、現状はまだ安定感に欠けるのもまた事実。今回や過去のレースを分析して、箱根予選はベストの状態で2年連続の個人トップを目指してほしいです。

安藤選手…序盤から後方の位置でレースを展開。2000m程までは違和感を感じませんでしたが、その後も一向に位置が上がらず、気づいた時(4000m過ぎ)には集団から遅れてしまう厳しい走りになりました。周回遅れにされたムトゥク選手に食らいつくなど、エースとして最後まで懸命な走りは見せましたが、最終順位も33着と悔しさの残る結果に終わりました。4年生は忙しい時期でもあり、その影響も少なからずあったと思いますが、それ以外にも何か原因があったような走りだったと思います。走力の絶対値が上がっているのは間違いないですが、昨年今年とレース結果に波がある点は今の安藤選手の課題でしょう。今回の反省を活かし、箱根予選では後輩達を背中で引っ張るエースの走りを期待したいです。


総合9位 日本大学 3:58:33.67

日本大学は総合9位。全日本大学駅伝の出場権を最後に勝ち取った総合7位の神奈川大学との差はちょうど1分という結果でした。どの大学にも言えることかもしれませんが、各選手が力を発揮できれば十分に本戦出場が狙えただけに、ピーキングの難しさを感じたり、また、復調途上の選手を起用せざるを得なかった選手層の薄さという課題が見えた大会でもありました。各方面からの厳しい意見等も拝見したので、私の方では先述した各選手に対するコメントくらいで特にこれ以上言うことはありませんが(そもそも言う資格があるような人間でもないですが…)、今回勝負に負けたというのは紛れもない事実なので、今回の課題を次の目標である箱根予選に必ず活かし、箱根予選では日本大学の強さを存分に見せつけてほしいです。選手の皆さん、昨日は本当にお疲れ様でした。

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