写ルン族 アーティスト対談【Aska×香川智彦】
写真のチカラで子どもたちの真の自立を目指すプロジェクト「写ルン族」。ルワンダの子どもたちが撮影した”さくひん”を題材に、アーティストたちがそれぞれの感性によって”作品”を創り上げていきます。
今回は、福岡を拠点にデザイナー・アーティストとして活動をするAskaさんと株式会社Brave EGGs代表・ごっちこと香川智彦の対談をお届け。
Askaさんとごっちさんの出会いから、彼女の作品にある柔らかく女性らしさのルーツをお聞きしました。
ー ちょっと、Askaさんのプロフィールの「原材料名」の部分が気になりすぎてるんですが、まずはじめにお二人の出会いから
ごっち:元々は、武者修行プログラムっていう大学生向けのビジネスインターンシップに、俺はファシリテーターとして、Askaさんはデザイナーとして参画していたんですよね。
Aska:そうそう。
ごっち:それで、そこの運営会社がコロナの影響でピンチに陥ってしまったんです。だから、ファシリテーター仲間に端を発して、「旅武者を救え企画」が走り始めたの。その中で、Askaさんと初めて一緒に同じコンテンツを作り上げていくっていうことになったのが、今みたいに仲良くなる最初のきっかけだったよね。
Aska:そう、だからここまで深く関わってるのは2020年の3月くらいからかな?
ごっち:それで、Brave EGGsとして仕掛けた「いすみ鉄道に愛を取り戻せ!写真による文化拠点構築プロジェクト」のエディトリアルデザインだったり、装丁のデザインをやってもらったり。会社のロゴとか名刺もAskaさんにお願いをして、最初はデザイナーとしてお付き合いが始まりました。
よくよく話を聞いていると、デザイナーでもあるんだけど、すごくパンチのきいたバックグランドを持った人生を生きている人なんだよね。プロフィールを見てても感じると思うんだけど。
その中の1つにアーティストとしての顔があって、作品を見せてもらったら、優しい世界観というか、Askaさんだからこそ生み出せる世界観があって、このプロジェクトでも描いてもらうことにしました。
波乱万丈なAskaの生きてきた道
ー パンチのきいたバックグラウンドってことで、気になるのが、原材料名の中にもある「ホームレス」と「ホステス」という2単語なんですけど…?
Aska:元々高校を卒業して大学にいく予定だったんだけど、理由があって行けなくなって、ただ進学校に通っていたから大学に行かないっていうのは選択肢としてありえない環境だったのね。だから、周りからバカにされてたんだけど、それが悔しくて、大学にいったやつらよりいい仕事に就いてやろうと思って、とある自動車メーカーの本社に履歴書を持って乗り込んで。
「大卒しか取らない」ってはっきり言われたんだけど、たまたまそこの九州支社長が本社にいて、その人に「君、おもしろいから、もし2ヶ月後の筆記試験をパスできたら、面接してあげる」って言われたの。
だから、絶対通ってやろうと思って必死で勉強して。ただ高卒だったから、筆記試験の前に大卒の試験を受ける必要もあったんだけど、なんとか受かって、入ったの。しかも成績1位で。
それで元々OLとして働いてたんだけど社長に「君はここで働くの向いてないから、自分のやりたいことをやったほうがいい。自分の中にやりたいことがたくさんあるのに、ここでくすぶってたらそのまま年取っちゃうよ」って言われて、退職して、そこから芸能学校に行った。
そこでダンスと演技を勉強して、ダンサーになることになったのね。それをきっかけに上京した。なのに、やっと自分のやりたいことをやれると思ったら、ダンスカンパニーの人間関係のいざこざに巻き込まれちゃって、知らない土地で頼れる人もいない中で。
挫折を繰り返して、人間嫌いになってしまった。
当時国分寺に住んでたんだけど、私はここでホームレスになろうって決めて。人と関わりたくないから、何もかも捨てようって思って、お金も家も仕事も友だちも家族も全部。
365回、ここで朝を迎えたら、ホームレスをやめようって決めて。でも時計もなくて、時間もわからないから一体いつ朝を迎えているのかもわからない。朝日が365回昇ったら、何か新しいことを始めようって思って1年間ホームレスをし始めたの。それが23歳くらい。
ー OLからホームレス……生活が一変したんですね……。
Aska:そうだね。で、365回朝を迎えたときに、銀座でホステスになったんだよね。元々ダンスのインストラクターやったり、レストランとかショーパブで踊ってたから、銀座のクラブのオーナーに「ダンサーもいいけどキャストやってみないか」って言われて、じゃあ単発でもいいですかって言って始めたら、だんだん売上が伸びてきちゃって、在籍をするようになり、そこから銀座のホステスになったの。
ー 変化が目まぐるしいですね…。ちなみに、デザインだったりアートっていうものに触れるようになったのはいつからだったんですか?
Aska:3歳のときから、バレエ、フルート、ピアノ、エレクトーン、バイオリン、フラメンコ、油絵を習ってた。父親が油絵と銀細工の先生をしてて、母親がグラフィックデザイナーで自分で会社を経営してるような人だった。
だから、小さいときから芸術だったりに触れて生活はしてきた。初めて絵で賞を取ったのが5歳のとき。そこから毎年、絵の賞を取っている幼少期だったのね。賞を取るのが当たり前だと思ってて、描いたら賞を取れるものだと思ってたから。
ー 高校から大学に進学できないってわかった段階で絵の道に進もうとは思わなかったんですか?
Aska:それは全く思わなかった。私は反抗期がすごかったから、母親に対しての反抗がすごくて、小5から20歳くらいまで反抗期だったから、絵の道には絶対に進まないって決めてて、だけどダンスをやろうって思ったのは、表現をすることが好きだったからなんだと思うんだけど。
ー それが翻って、デザイナー・アーティストの道に進むことになったきっかけはあるんですか?
Aska:アーティストやってる友だちが、合同展をやるってなったんだけど、人数が足りないから作品を出してほしいって言われて、それで作品を出したら、依頼が来るようになって。私は絵の仕事やってないって言ってたんだけど、それでもいいからって言われて受けていたら、気づけば会社を立ち上げなきゃいけない状況になってた。私は色んな人に後押しされて、デザイナーになってたなって感じ。
ー アーティストよりデザイナーが先だったんですか?
Aska:デザインの仕事もアートの仕事もどっちもしてる。今はコロナで個展はできなかったけど、その前まではずっと一人で個展をやってきてた。
ー どれくらい原材料がアートに反映されてるもの?
全部が入ってる。その時の私を込めるのが好きで、こっそり色んなものだったりそのときに抱いてる感情を作品に入れてる。ハンバーグとかエビフライが隠れて入っていることもある。
今回の作品にも、実は…。だけど、全部を伝えちゃうとその先入観で作品を見てしまうから、あんまり伝えないようにはしてる。
展示が終わった後に、実はこんなのが入ってるって伝えたりとかしてる。
今回の作品に込めた想い
Wherever you are
ー 今回の作品に込めている想いってどんなものがあるんですか?
Aska:今回、ごっちさんに声をかけてもらって、作品を作ることになったのがすごく大きくて。Brave EGGsっていうのを表現できる作品にしたいなって思って今回は描いたから、私がイメージするルワンダの子供たちと日本人である私のコラボレーションで、私にできることってなんだろうって考えて。
SAKURA Coffee
Aska:私は今回、それが「愛」だなと思って、優しいテイストで、手をつないだり、抱きしめたりっていう愛情表現を作品にしたいなって思って、今回の作品を描いた。
私は、自分にも娘がいるから、自分の中の母性を表現したいなって思ったし、ごっちさんが私の中で子供っぽいイメージもすごいある人で。大人のイメージももちろんあるんだけどね。笑
ごっち:笑
Aska:だから、2枚を相反するように描いているんだけど、”Wherever you a are”は子供を母親が抱きしめるような絵にしたんだけど、ごっちさんの子供っぽさが、抱き締めたくなるような可愛さがあったりとか、ごっちさんの性格がBrave EGGsに出てるから、それを表現したいなってずっと思ってて、それを描くのに一番適してるなって思ったのが、この写真だったんだよね。
”Sakura Coffee”で、繋がれた手を描いたのは、ルワンダと日本を繋ぐっていうメインのメッセージもあるんだけど、恋人だったり、家族、親子だったり、見る人によってその繋がれている手が誰のものなのか、っていうのを見た人に想像してもらいたくて。だから、手の大きさに大小をつけなかったり、手の形も男性的でも女性的でもないようにわざとしている。
私の中では、ごっちさんの大人っぽさというか、色気を表現したくて指先を描いたところもあるんだよね。「大人っぽさ」と「子供らしさ」を2枚で表現してる。
ごっち:そうだったのね。笑
Aska:ごっちさんの家で、コーヒーを入れてもらったのね。それで、ルワンダの国花を調べたら、コーヒーの花っていうのも出てきたから、これはコーヒーをテーマにしようって思ったら、今回使った空の写真が、コーヒーの中にミルクを垂らして混ぜた時に、少しずつ広がっていく感じに似てて。だから、桜とコーヒーの花を片方ずつの手に描いてみたの。
今回、初めて描いた絵で、これから写ルン族としての展示だったり作品作りが始まっていくところだったから、まだ繋いでいない状態にしてる。これから、どっちが握るのかも、どういう風に握るのかっていうところも、これからBrave EGGsの活動だったり、それを応援してくれる人が一緒に創造していく未来なんじゃないかなって思って、繋ぐ前の状態にしてる。
ー この2枚の作品は、やはりごっちさんという存在が大きく影響してるんですか?
Aska:もちろんそうだね。やっぱりBrave EGGsっていうのは、私の中でほとんどイコールでごっちさんだから。それに、私はルワンダっていう国に行けてないから、今後この活動に関わっていくことで、私の作品がどう変化していくのか、っていうのは私自身もすごく楽しみな部分があって。だから、今感じてる「ルワンダ」っていうものを、絵で表現しようっていうのは意識して描いてる。
私の中に、子供たちを抱きしめたい気持ちも、もちろんあるからハグっていう表現をしたかったし、日本とは違う歴史だったりバックグラウンドがあるから、親に抱きしめられるっていう価値観が日本とは違うんじゃないかなって思ってて。
ごっち:それは、他のアーティストさんもそうなんだけど、これから写ルン族としての作品がどう変化していくのかっていうのは、俺もすごく楽しみにしてて。参加するアーティストが増えていくことで、また変化も生まれるんじゃないかって思ってて。
これからの写ルン族の活動が、どう動いていくのかっていうのは、俺自身もわからないけど、ワクワクしてる。
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女性として生まれ、女性としての表現を追求しているAskaさん。
Askaさんは写ルン族のアーティストであり、デザイナーとしても活動をしてもらっています。今後、写ルン族としてのデザイン、そしてアートがどう変化していくのか。ここからの写ルン族の活動にも注目。
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【 今後の展開 】
今回の活動を踏まえ、プロジェクトチームでは新たな展開を見据えています。
具体的にはNFT等のデジタル技術を活用した子どもたちの権利保全と継続的な収入提供の仕組、運営体制、収益機会の拡大を目指した海外での展示活動など。今後半年程かけてアーティスト教育の仕組づくりを本格化させていき、2022年中には写真家育成学校を現地に設立し、本格的に自立支援に着手できる見込みです。
また、サポーターとしてプロジェクトをご支援してくださる方も引き続き募集をしています。
【 主催者概要・連絡先 】
社名: 株式会社Brave EGGs
代表者: 代表取締役社長 香川智彦
連絡先: 090-7577-4358
メール: info@brave-eggs.com
ホームページ: https://brave-eggs.com/
設立: 2021年11月11日
資本金: 100万円
事業内容:Brave EGGs Art Graph(写ルン族他、様々なアート系プロジェクト事業、写真撮影、動画制作)、Hero Program(インキュベーション&アントレプレナーシップ教育)、Strategy & DX Consulting Service
*1 写ルン族では「サポーター」として寄付を募集しております。いただいた寄付は写ルンですの調達やアーティストの作品作りの資金として活用しています。https://brave-eggs.com/crowdfunding/