写ルン族 アーティスト対談【芸術家Sayuri×繁田穂波×香川智彦】Vol.1
写真のチカラで子どもたちの真の自立を目指すプロジェクト「写ルン族」。ルワンダの子どもたちが撮影した”さくひん”を題材に、アーティストたちがそれぞれの感性によって”作品”を創り上げていきます。
7月10日から中目黒の「スペース ユーティリティ トーキョー」で個展を開催している水棲生物画家の繁田穂波さんと書芸家でありアーティストとしても活動するSayuriさん、株式会社Brave EGGs代表・ごっちこと香川智彦の3人での対談の様子をお届け。
哲学的な話から環境、アートとビジネス、そして水族館の話まで幅広い話題が出た対談は、Sayuriさんが口火を切り、繁田さんとごっちとの出会いを聞く形で始まりました。
Sayuri:二人はいつからのお知り合いなんですか?
繁田:Nozomiさん*の個展かな?
*Nozographyとして活動しているアーティスト。写ルン族のプロジェクトにも関わってくれている。
ごっち:阿佐ヶ谷でNozomiさんの個展があったときかな。だから、去年の冬?
繁田:冬の頭頃に初めてお会いして
ごっち:そこから、先日三軒茶屋Orbitでお会いしたのが3回目?
繁田:そうですね、しかも私がこの写ルン族のプロジェクトに参加させてもらうことになったのも、そのOrbitで決まったっていう。
ごっち:そう。繁田さんがどんな作品を作るかっていうのはずっと知っていて、写ルン族にも参加していただきたいなぁと思っていた矢先にOrbitでの展示に来てくださって。それも最終日、片付けをしているときに!
繁田:その日にしか行けなくて。
ごっち:だから、片付けてた写真をいくつか出して、どれか描いてくださいってその場でお願いしたんだよね。
繁田:だから、マット紙とか額装もそのままで。マット紙が黄色だったから、それに合わせて黄色の絵の具を使ったんです。初めて黄色とか使いました。普段は青系の色しか使わないので、黄色はちょっと挑戦の色ですね。
Sayuri:これは、何の絵の具を使ってるんですか?
繁田:普段は、日本画を使ってるんです。なんですけど、このあとアトミックジャングル*っていうつかささん*の…
*atomic jungle アーティスト・鈴木掌の森、アトミックジャングルに住む仲間たち。世にも美しく生命のエナジーを存分に浴びれる空間。照明を落とした中、ブラックライトを当てることで浮かび上がる作品を楽しむことができる。現在、三軒茶屋Orbitにて開催中。
*鈴木掌 さまざまなプロジェクトを展開するアーティスト。写ルン族との関係も深い。
Sayuri:あー、つかささんの!私も出ます。
繁田:そうそれに出させてもらうんですけど、この作品を出してって言われてて。だから、蛍光塗料で描かねばと思って…
ごっち:蛍光塗料で、この細い線ってどうやって描いてるんですか?
繁田:筆で描いてます。
私、普段は日本画を塗り重ねて、そこから削って描いていまして。白い部分が地の部分で。
ー じゃあ一回全体を、幾度か塗って、そこから描きたいものを削り出していくってことですか?
繁田:そうですね。
水の生き物から感じるエネルギー
繁田:私、完全青系の人なんですよね。
Sayuri:いつから青系なんですか?
繁田:私、水の生き物だけ描いてるんですけど。やっぱ、海とかそういうのにエネルギーを感じてて。私が描きたいのは、死生観とか、生まれて死んで戻ってくるっていう、その循環で。みんな海から生まれて、海に返っていくと思ってて、海の生き物はそれを表すのにぴったりなモチーフだなって思ってて。原画はもっとざらざらとした質感でいい感じなんで。しかも、角度変えてみると反射してキラキラしてるように見えるようにしてて。
Sayuri:うわ、見たい。
繁田:7月から中目黒で個展*をやっているので是非。アトミックジャングルにも、今度は蛍光の日本画の塗料を手に入れたので、トライしてみようと思って。
*7月10日〜25日まで開催中。詳細は、記事最下部にて。
ごっち:蛍光の日本画の絵の具なんてあるんですね。岩絵の具ですか?
繁田:岩っていうか、蛍光顔料なのかな…?私がよく使ってるのは、水干(スイヒ)っていう土が原料なんですけど、もうちょっと顔料よりの感じだと思うんですけど
刺激を受け、創作意欲が湧き続ける
ごっち:お二人みたいに極端に何かとんがったものが自分にないからこそ、お二人みたいな作品の素敵さがいいなと思えてるところもあって。だからものすごく影響を受けてたりします。お二人のような表現方法をやってみたら、どうなるんだろうとか。
Sayuri:これから尖るんじゃないですか?
ごっち:写真は尖らせようとは思ってます!今年ルワンダに行ったら、こんな構図で写真を撮ろうって頭の中で色々考えてるものがあって。どれだけ荷物増えるんだろうって感じなんですけど。笑
繁田・Sayuri:笑。楽しみですねぇ。
ごっち:ルワンダにつかささんがファウンダーになったアフロ・カーサっていうダンスグループがあるんですけど、つかささんの弟子のデオの家の周りが壁画がいっぱいなアート街みたいになってて。それを夜、きちんとライトアップして、その中でストロボを焚いて写真に収めたいな、とか。ストロボにセロファンを貼って、色が重なるようにしたいな、とか。背景はモノクロで、人だけカラーを乗せるとか。そんな感じで作品を撮ろうって思ってます。
繁田:行くだけですね。あとは荷物問題。笑
ごっち:そうだね。笑
海のない国で撮られた写真に載せる海の生物
ごっち:海のない国に、海の生き物がっていう、その違和感がめっちゃ面白いよね。
繁田:そうなんです。私環境とかにも意識して作品を作ってて。それで、日本画の絵の具を使ってるんですよ。日本画って岩とか土とか貝殻とか、元々自然由来のもので。なるべくゴミを出さないようにしようと心がけてるんです。
元々は、ボールペン画家だったんです。で、海にプラスになることをしたいのに、ゴミを出しながら絵を描いてるっていう状況に違和感を覚えて、日本画の絵の具で削っていくならそんなにゴミも出ないなって思って。
2020年の9月とかに方向転換したんです。日本画の画法になったのはホント最近で。
だから、ルワンダがプラスチックフリーになってるっていうのを聞いたときにめっちゃシンパシー感じちゃいました。ストローとレジ袋が廃止なんですって。
ごっち:あるんだけどね、だいたい紙袋で代用できちゃう。
繁田:まぁでも、私が思うのは、プラスチックが悪いんじゃなくて使ったあとのことだと思うんですよね。
プラスチックも元々石油から生まれてて、石油は地球から生まれてるわけだから結局同じなのに、処分の仕方が整ってないから問題なんだよねって常に言ってるんですけど。
Sayuri:そうやって環境のこと考えてるのは昔からなんですか?ボールペン画を描いてるときから?
繁田:描いてるときに、生き物の勉強をより一層するようになって。
水族館の方とか研究者の方と知り合いになることが増えて、いろんな課題とかを認識するようになったんですよね。そんな中で、私がアーティストとしてできることはなにかなって思って、環境に対してアクションしていこうって。
描くモチーフだからこそ、知りたい
ごっち:ものすごい水族館オタクなんだよね?
繁田:そう。アートにするには知らなくちゃっていうのがあって。だからいろんな水族館に足を運んでますし、話を聞いたりしてきました。
Sayuri:え、オススメ知りたい。
繁田:関東ですか?川崎近いんですよね?カワスイ(川崎水族館)行きました?
Sayuri:まだ行ったことないです。
繁田:ぜひ行ってください。淡水のみの淡水魚水族館なんですけど、相当楽しいと思います。しっかりと生き物を見せつつ、今流行りのプロジェクションマッピング的な要素もあって、エンターテインメントになってる。
生物の状態もすごく良くて、かつ水槽のレイアウトがすごくいいんですよ。昼と夜で展示内容が変わるんです。なので、すごく見応えがあるんです。
一人で行っても楽しいし、カップルで行っても親子でもいいし。クッションフロアになってるから、子どもが転んでも痛くない。
しかもカラーリングが、水族館ぽくない。モノトーンの魚なのに、バックが赤パーン!みたいな
Sayuri:あ、そうなんだ!それはかっこいいですね!
繁田:大体、青とかグリーン系が多い中で、こんな見せ方あるんだ!って思いました。
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写ルン族のプロジェクトのために描いてもらった作品について話をする前に、環境・水族館の話で盛り上がりすぎてしまいました。次の記事で、Sayuriさんの生い立ちから、お二人の作品についてお届けします。
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Event Information
水棲生物画家 繁田穂波 Solo Exhibition
7.10 sat.-25 sun. 13:00〜20:00
スペース ユーティリティ トーキョー https://www.space-utility.com
1F/Gallery & ONLY FREE PAPER
2F/Design Room
東京都目黒区中目黒3-5-3
03-3792-1990
展示詳細
https://www.space-utility.com/shigeta
Instagram LIVE
21021.7.16 fri. 19:00〜20:00
繁田穂波/水棲生物画家
@shigeta_honami
写ルン族 六甲展
7月28日(水)〜8月1日(日)
〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町南六甲1034
六甲山サイレンスリゾート
※詳細決定次第アナウンスいたします