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飽きることなく靴下を編む

「猪谷さんの靴下」を、ここ何年かただひたすら編んでいる。靴下だけ。

友人の小説出版祝いに編んだ靴下。
タイトルにちなみ足元を赤く染めた。

なぜそんなに続けられてるかというと、
質の高い昔の毛糸が今は中古として安価で手に入ること。もともと冷え性でこの靴下の保温性に開眼したこと。自分の生み出した靴下で誰かが冷えを回避できること。などなど色々あるのだけど

一番は、手を動かした分だけ、成果がある。

という、とても単純なこと。

なにか物事を成し遂げようとしたとき、それが自分一人でなく誰かを巻き込むとき、やればやっただけ成果が見える、得られるなんて、まず無い。

そんなとき、ひたすらに輪針を動かしていくと編み上がる靴下は、私のストレスを流してくれる。するーっと。

ストレスは流れ、手の中で靴下が編み上がる。こんな幸せはそうそう無いなと、一人ほくそ笑む。


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