突然の苦しさに目を覚ます蒼真。 誰かの胸の谷間で死にかけているらしい。 なんとか無事に谷間から脱出した蒼真。 なぜか、自分が女の子になってしまったらしい。 これは夢だと思い込、その場を過ごそうとする。 そこにアナトと名乗る赤髪の少女がやってきた。 少女は、あまえはもう死んでいるという。 死んでこの世界に転生したのだという。 ようやく。夢でない事に気がついた蒼真。 アナトはサインしろと、紙を差し出す。 だが、蒼真には白紙にしか見えない。 紙を取り合っているうちに、破れてしまう。
「とりあえず、町へ行くのはミーナの身体が良くなったらね」 「う、うん……」 「じゃあ、ゆっくり休んでね」 ナーナさんはそう言うと、部屋から出て行ってしまった。また何もない部屋のベッドで時間を潰さないといけない。灯りはロウソクぐらいで、部屋はかなり暗い。こんなに暗いのに、ナーナさんたちは平気なんだろうか? オレがいた世界とは、かなり文明レベルが違うみたいだ。いや、俺がいたところでもこういう生活もあるようだし、やっぱりまだ分からない。 そういや、この身体の死因って何だ
ゴクゴクとスープを飲む。とりあえず、口の中は潤った。一息ついて、改めてスープを飲んでみた。ん? これ、味がしない? いや、完全に味が無いわけじゃないけど、もの凄い薄味? 野菜と干し肉? 後は塩が少しという超薄味だ。しかも、スープの具も少ない……。これって、病人食? いやでも、パンは硬かったし……。どっちにしても、これだけじゃ足りないからおかわりを頼もう。 「あの、お母さん……おかわり」 そう声をかけると、お母さん? は嬉しそうな顔をした。 「ちょっと待っててね」
うるさいうるさいうるさい……。 「うるさーーーーいっ!」 いったいなんだってんだ? なんで、こんなにうるさいんだ? わけが分からずに目を覚ました俺の目の前には、谷間があった。何を言ってるんだ? と思われそうだが、なぜか胸の谷間が目の前にある。寝る前、部屋には誰も居なかった。それは確かだ。それがなんで、目の前に胸の谷間? 考え込んでいると、胸の谷間が近づいてきた。そして、そのまま俺の顔が谷間に押し付けられる。 「く、くる……」 息が出来ない、苦しい、でも、すげー柔
兼続はハーフ。 自分の容姿が」あまり好きではない。 ついでに、名前もあまり好きではない、 家は教会で、神父の父がいる。 母親はいない。 自他ともに認める犬バカである。 毎日、元気に学校へ通っている。 ある日、家で礼拝をしていたら、クラスの委員長が話しかけてきた。 それから、積極的に兼継へと向かっていく。 兼続はどうして良いか分からない。 そうこうしていると、家に男の人が訪ねてくる。 父親の同僚だ。 そんなある日、猫の姿をした大きなものとであう。 一目で、猫ではないということが
湯上がりの気怠さを心地よく思いながら、兼続はベッドに腰をかけた。そのまま勢いよく倒れ込むように横に成る。その後を追うように、二匹の犬たちもベッドへ飛び乗ってきた。 昨日に続き、今日も驚きの一日であった。昨夜と同じく、今夜も一花の事を考える。一花の事は嫌いではない。それはハッキリとしている。なら、好きなのかと自身に問う。 一花の姿を思い浮かべると体温が急激に上昇し、鼓動も早くなる。試しに他のクラスメートの女子を適当に思い浮かべてみたが、同じような状況には成らなかった。
今まで一花の姿をミサで見かけたことは無かった事を疑問に思い、兼続は何の気無しに尋ねてみた。とたん、一花の表情が少し不機嫌な物に変わり、何か拙いことを訊いてしまったのかと兼続は不安を覚えた。 「一花」 少し拗ねたような口調で一花が言った。それを聞き、兼続は名前の呼び方問題を思い出す。本人が名前で呼んで欲しいと希望しているわけだから、特に問題は無いのであろうという結論に辿り着いた。 「い……一花」 良いのだと理解はしていても、意識している女子を名前で呼ぶことに少し羞
風が吹いた。 その流れを追うように視線を移した先に、見慣れた制服姿にメガネの少女を見つける。薔薇の垣根を挟み互いの視線が絡まり合ったとたん動きが止まり、手の中にあるホースからは次々と水が流れ落ち、足下の芝生を濡らしていく。それまで纏わり付いていた二匹の大型犬が、慌てて離れていった。 ゆっくりと少女の口が動き何かを呟いたように思えたが、距離があるためにはっきりとは確認できなかった。興味を惹かれゆっくりと足を踏み出したとたん、遠く背後から声が聞こえ思わず振り返る。すぐに視