闇がありそうな倒産だった
そのA社は転注(発注先を変える事)の必要性は現在まったくなく、しかも長年とりひきのある優良企業なのだ。このタイミングでの転注は疑惑だらけ。M部長は新しいB社への訪問頻度は毎週だ。北陸なので日帰り可能だが彼はいつも土日絡めて週末に訪問する。なにかいいことがあるのだろう。その後も謎の転注は増えていきB社を肥やしていくし仕事も増えていく。
仕事が増えすぎて挙句は大型研磨機、長物旋盤も新型で買い揃え、自社トラックも買った。北陸なので冬は雪が降る。会社から製品の出し入れは雪を避けるのにブルドーザーまで買っている。景気の良いときはこれでよかった。
B社のお客様別依存比率、T社(発注先企業)の仕事がA社の何パーセントになるかのだいたいの指標がある。購買担当者ならリスク分散などを考え、だいたい30%を超えないようにしなければならないと教わった。超える場合は2社購買とか検討する。M部長はアホだからリスク管理はしない。故意かも。
とうとうB社のT社依存比率は70%を超えてしまった。
T社業界には波がある。だいたい4年周期でやってくる。悪いときもくるがその波はすぐにやってきた。
T社の売り上げが半減したら、B社の注文は半減する。しかも比率70超なのでたちまち新型専用機の稼働時間比率は下がり人も余る。代わりの仕事も急に持ってこれない。お金が廻らず手形が落ちない。あっという間に倒産してしまった。
これはすべてM部長のせい。B社のM社長とは同郷の旧知の間柄。なにかいろいろ裏がありそうなのだ。聞いたところではM社長は過去何個か会社を倒産させている。計画倒産マフィアかもしれない。