制御盤が猫足のデザイン
そのちょっとしたアホちゃんのクタヤマくんはいつもポーッとしていて話してみても独特の間がある。
外線で電話がかかって来て「森木さんは居ますか?」と聞かれて、彼は「いま、健康診断に行ってますのでしばらく戻って来ません」と答える。外線はお客様だ。社内行事の健康診断なんていう必要はまったくない。席を外しているでよい。「わかりました、戻って来ましたらこちらから連絡させていただきます」これは普通だ。で、電話メモを付箋紙に書く。
「森木さんへ」
少し固まってしまった。笑いを堪えている。
ひと言「森木さんて "木" ばっかりやな」なんと笑いをこらえて震えている。変な奴。
彼の設計はなぜか残念なのだ。
部品取付穴が無駄に大きく、取付部品の面が小さい。なので締めたら潰れたり傾いたり。面圧を考慮していない。柔らかい材料だと沈む。
それを組立現場で姑息な調整だけに頼るもんだから時間が倍かかったり。
現場から悲鳴があがっても知らぬ存ぜぬ。唯我独尊な性格。
そんな彼の設計は、意味もなくRがついている。この形の意味なんてない。カッコいいからだ。ある部品の制御ボックスの足。なんと猫足みたいにキレイな流線型。こんな必要はないのに、なぜかアソビごころ満載。
誰が何を言おうとケンチャナヨー。メイヨカンシー。
こんな奴、メンタル壊れるわけないわ。
こんな奴でも課長になってる。大丈夫かこの会社。心配なんてしない。既にわたしはここを去ったのだからどうだってよろしい。
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