町工場の社長に怒られる
わたしが外注課に異動後はじめて担当をもたされたオカダイ鉄工所さん。はじめて現場を見せてもらった。職人が三人、事務員ひとりの小さな町工場で、社長は竹を割ったような江戸っ子みたいな人でわたしに対しても遠慮はなくずけずけと意見をする。
いちおう見積もりを取って発注するのだが、だいたい長い付き合いで無理に儲けようとせず、また疑いもなく見積もり価格と同じ値段で注文できた。やはりわたしも購買のプロなのでしっかり内容を確認して見積もりを依頼する。
ただ見落とした図面があった。先日図面を20数種渡した中でとんでもない図面があったようだ。
オカダイ社長に呼び出され応接室に座って彼は言う。〇〇さん(わたし)の仕事は、誰よりも優先して取り掛からせてもらう。けど、この図面はあかん返す!テーブルに置いた一枚の図面を、右手の人差し指中指薬指3本で図面を滑らせてわたしに返す。すーっとこっちに滑ってきた。
薄板の板金に16ミリのボス。それにはφ10の穴が開いている。外径16には段があってそれはφ14その段に板金の穴に溶接。
内径10には公差h8が付けてあって穴径10にはH7の公差。という図面。
あかんやろ。こんな図面持って来たら。パッと見たらわかるやろ〇〇さんやったら。うちでは出来ん。やれるところに出してくれ。
考えたらこんな薄板にボス溶接。実質薄肉のボスに全周溶接で穴径φ10h8やて。熱でぐにゃぐにゃになる。後工程でも薄板板金はビビって開けられない。開いたとしてもガタガタ。
おたくの設計ってほんとダメだな。〇〇さんもちゃんと教育しなあかんわ。御社はこんなんじゃいい仕事はできないで。って言われて情けない思いだった話。