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何が楽しいのだろうこの女

彼女は既に55歳を迎えてしまった。毎日片道会社に1時間30分かけて滋賀県の甲賀の方からやってくる。そう、草津線に乗り換えて柘植行きに乗る。柘植って三重県なのだ。冬は雪で電車は動かない。勤務中でも大雪警報が出たら午後からでも帰っていいと許される。特別ルールみたいだ。

そんなチナツさんはもう勤めて35年になる。ずーっと同じ職場である。注文来たら手配して納期確認して販売と出荷指示をして入金の確認をする。
それと、ある程度の定番商品は在庫にして納期を短縮して回転しながら販売していくのだ。シームレスに在庫販売することが彼女の仕事でもある。

在庫の補充は難しくての彼女なりに必死で取り組んだけどうまくいかない。物によっては平気で納期720日のベアリングとか、540日のインバータとか、予算上限みながら補充の注文をして倉庫に入れる。

その倉庫はブクブク太っていって在庫金額が何億までいく。会社としても課税対象なので少し問題になる。

在庫補充の仕方を彼女は知らないが、売れ筋だけを大量に補充したものの出ていかないこともある。売れ筋にもトレンドがあるのと、悪い事に賞味期限のある商品を大量に補充してしまう。

時間が経って劣化する樹脂、ゴム製品、酸化するものとか。一生懸命だがあほだった。
社内で問題は大きくなり何とかしろと命令が下る。

彼女はディスカウントして販売すると計画しうまくいった。それで大きな会議でプレゼンをしているのを見た。

注文件数は驚きの増加となり成功しました!

はー?売り上げどうしたん。利益はどうなんだ?と言う質問もなくお咎めなし。

そんな彼女はスラットした胸の無い中世的な女を1ミリも感じさせない動物なのだ。

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