いろいろ犠牲にした最悪の設計
この季節いつも思い出す事件がある。事件というか事故というか…
前の会社での話、わたしがバリバリやり手の設計者だった頃、会社では競争に負けないように売価を下げて売りたいが原価も下げないと利益がない。
そこで、社運をかけたコストダウンチームプロジェクトが出来て、設計、資材、営業部署関係なしにチームを作って横串縦串取っ払ってとか、使い古されたフレーズを使ったなんちゃってチームが出来上がる。
ただし、チームを作ったとて日々のルーチンワークが減るわけではない。全力出してなお、あと3割ほど仕事が増える。残業がそのぶん増える。それで、チームにはオカヤマ(仮名)という年老いた使い物にならない老人をあてがわれ、彼に一部を任せた。と言ってもわたしは管理職ではなかったから進捗管理は別の上司がやる。デザインレビューもやる。ダメだったら製品にならないし、良かったらGOサインが出る。
当時、その設備には補助的な自動機が付いている。それをわたしが設計した。
オカヤマはそこに目をつけ、コストダウンを始める。
その手法は誰でも気がつくバカみたいな案を試作しながら実行する。
板金の板厚を薄くする。ボルト径を下げる、短くする。安全性を下げてでもコスト優先。駆動部のタイミングベルトを平ベルトにしてブーリを安くしたり、機能まで犠牲にしてやった。その機械が出荷された。
強度がなく芯がずれて据付に時間が倍かかる。約3メートルの高さに200キロの部品を載せるのだが、補強のブレースを廃止してコストを下げている。据付の時、その部品を載せたらフレームが歪んで部品を落下させてしまった。
本当に人が死ぬところであった。
バカな設計者とバカな組織は人を殺すという話。
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