拘縮の種類
概要
「関節、筋、軟部組織に起因して関節可動域が制限されること」を拘縮と言います。
種々の原因により各関節が他動的にも自動的にも可動域制限を生じる状態。関節構成体である軟部組織の変化によって起こる関節運動制限を拘縮と呼びます。病理的には、皮膚・皮下組織・筋膜・靭帯・関節包などが瘢痕化、癒着したもの。また、拘縮は一次性、二次性に分けられます。
一次性:関節構造自体の損傷により発生
二次性:浮腫や長期間の固定などにより発生
拘縮の成因
損傷部の固定、浮腫の放置による局所の循環障害や結合組織そのものの損傷により、組織への細胞浸潤やフィブリンの析出、線維芽細胞の増殖が生じ、網状や多層に渡って堆積し可動性を失ったコラーゲンが形成され拘縮となります。
拘縮の分類
・皮膚性拘縮
熱傷や挫滅などを受傷して相対的に皮膚が不足したりすることで、皮線に垂直もしくはそれに近い角度で交わったりする創などの皮膚弾性の低下、瘢痕形成によって生じます。他動運動を行うと、拘縮障害部位周囲は循環障害を起こして、蒼白状態となり疼痛を訴えることもあります。
・骨、軟骨性拘縮
関節の全方向に自動、他動運動制限があり、レントゲン所見では関節面の狭小化、関節の変形、骨性強直が認められるため診断は比較的容易である。
・関節軟部組織性拘縮
関節の長期固定などのために関節を構成する側副靭帯、幅靭帯、関節包、掌側板の癒着や伸長性の低下によって生じる拘縮です。拘縮関節の隣接関節の肢位を他動的に変化させても拘縮の程度は変化しないという特徴があり、骨・関節性拘縮がなく皮膚、筋、腱の緊張を除去した肢位でも、拘縮関節に他動可動域制限があればこの拘縮と判別できます。
・腱性拘縮
腱あるいは腱周囲組織が損傷されると、腱は癒着し滑動性が低下します。その結果癒着部位より遠位の関節に可動域制限が生じます。癒着部位より近位の関節を変えても、遠位関節の拘縮角度が変化しないが癒着部位より遠位関節の肢位を変えるとそれより遠位の拘縮角度が変化します。手の外科ではこれを動的腱固定効果(Dynamic tenodesis effect)と言います。腱性の癒着により運動制限があるいは拘縮のある関節と拘縮原因の間に関節があれば、その関節の肢位によって、拘縮の程度及び運動状態は変化します。
・筋性拘縮
筋部の損傷や長期固定あるいは阻血性拘縮により伸縮距離が減少して発生する。動的腱固定効果を利用して判断します。
・神経性拘縮
神経症状により運動麻痺が生じ拘縮となる。神経の障害レベルによって判断します。運動、知覚、自律神経の評価を行います。
外在筋・内在筋拘縮
手の外科では筋性拘縮を外在筋、内在筋を区別して拘縮判断します。
・外在筋
手関節の肢位により指関節の拘縮角度が変化します。これは前腕部での腱性拘縮の判断と同様となります。そのため、受傷原因や損傷部位から判断します。
・内在筋
骨間筋、虫様筋による手内在筋拘縮では、MP関節を伸展位にしてPIP・DIP関節を他動屈曲させると屈曲できないか強い抵抗を感じ、逆にMP関節を屈曲位にし対象筋の緊張を取り除くとPIP・DIP関節の屈曲は容易となります。
母指内転筋、第一背側骨間筋による母指内転筋拘縮では、母指を他動的に最大外転した時に第一指間に線維化した両方の筋を触診できます。
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