使っていない筋肉をキープしておく方法とは?
筋収縮には、大きく分けてコンセントリック収縮(短縮性筋収縮:筋肉が縮みながら力を発揮する)とエキセントリック収縮(伸張性筋収縮:筋肉が伸びながら力を発揮する)の2つがある。
片腕を固定し、固定していない側の腕でエキセントリックトレーニング(ET)を行うと、固定した側の筋力低下を減らし、固定解除後の筋トレで生じる筋損傷を弱めるのに有効である可能性が示された。国立台湾師範大学の研究。
この研究では、座りがちな活動の多い健康な若年男性36人(平均年齢22.7歳)を、ETを実施する群、コンセントリックトレーニング(CT)を実施する群、対照群(トレーニングなし)の3群(各12人)に分け、利き腕の反対側の腕を3週間ギプスで固定した。その間、ET群では肘を曲げた位置(90°)から完全に伸ばした位置(0°)まで3秒以内にダンベルを下ろすトレーニングを、CT群では肘を伸ばした位置(約5°)から曲げた位置(90°)まで 3秒以内にダンベルを持ち上げるトレーニングを、週2回5セットずつ利き腕で行った。ギプスを外した後、すべての対象者が固定していた腕で肘関節のエキセントリック収縮を30回行い、筋肉痛などの筋損傷の程度を測定した。
その結果、固定されていた腕の筋力は対照群で17%、CT群では4%低下していたが、ET群では3%増加していた。一方、トレーニングした側の腕の筋力は、ET群では17%、CT群では6%増加しており、ET群で変化がより大きかった。ギプスを外した後、固定していた腕でエキセントリック収縮を行ったところ、筋肉痛などの筋損傷の程度は、ET群とCT群で対照群より小さく、ET群ではCT群より小さかった。
著者らは、「これらの結果は、固定されていない側の四肢の筋肉に対するETが、固定された側の筋肉に有益な効果をもたらすことを示唆している」と述べている。
腕や脚を骨折した際には、骨折した側と反対の側を筋トレをすることで、治癒後の回復期のリハビリもスムーズに進みそうだ。