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ややこしや、祇園とJISと時々、弊社。~川崎市中原区木月祗園町編~

前回「祇」と「祗」というややこしさ3本指の字が存在し、「祇園」と表記する地域、「祗園」と表記する地域がそれぞれ存在することを書いた。では実際にどのように混在しているのだろうか。

川崎市中原区木月祗園町

川崎市に「木月園町(きづきぎおんちょう)」という地名がある。正確には「神奈川県川崎市中原区木月園町」。「氏」の下に下線がある方だ。ところがこの「木月祗園町」、現場は揺れに揺れている。「木月祗園町」であれこれ検索していたところ、毎日新聞校閲センターが運営するサイト内のブログにて、川崎では「祗」が正しく「祇」は間違いと書かれているのを見つけた。

しかし、実はそんなに単純な話ではないのだ。

上記『角川日本地名辞典』(14神奈川県)を紐解くと、

木月祇園町


一本線がない!しかし校閲ミスではない。川崎市が当初「祇」の字で登録していたのに倣ったに過ぎないのだ。では、いつから「祗」の字に変わったのか調べると、以下の内容が確認できた。

2004年8月 「祇」の字で記載
2004年9月 住居表示化と町名変更実施→木月祗園町へ

日本行政区画便覧データファイル

なぜ住居表示化の際に川崎市は字を改めたのだろう。さらに検索をしてみると、産経新聞の校閲記者が書いたこんな記事を見つけた。

この記事の川崎市への取材によると、町名は昭和15年(1940)に設定されたが、「その後、コンピューターなどの影響で『祗』と『祇』が混在するようになった」ということのようだ。そして「住居表示を機に、(本来の表記である)『祗』として改めて設定した」とのこと。
結論としては毎日新聞校閲センター内のブログで「祇」を誤りとしたのは本来の意味では正しいが、前回のブログで記載したように地名は何が正しいかは一概には言えない側面があるというのが実情だ。

さて、こうなってくると、現地はさぞかし混乱しているのではないかと想像する。私も記者の真似ごとのようにうきうきと現場へ向かった。

某月某日、私は元住吉駅に降り立った。たくさんのギオン、ゲットだぜ

東急線元住吉駅の改札を出たところの周辺地図のギオン

さすが駅改札前、現在の正字「祗」。
が、同じ地図の中でこの町名の由来となった橋の表記は「ネ氏園橋」

町名由来の重要ギオン

ところが、階段を降りて駅前の地図をみると

さっきと違う個体ギオン…

地元は見事に混乱しておるな、と一人ほくほく

わりと設置新しめギオン

「祇」を見つけ、さらにほくほく。
揺れてますね木月祗園町ぅ!

1つの表示物で2種類のギオンギオン、ゲットだぜ

珍種ですね~。

そしてせっかくなので最後にこの町名の由来となった橋である祗園橋へ。


\ はじめまして /

元々あった異体字とJISフォントの変更による字体の揺れがあった中での、住居表示化による字体統一という極めて珍しい例であるが、地名はこじらすと厄介なこともある、というお話でした。

これ弊社😉住所だいすき!データだいすき!