読書老子の朝日記No.2
睡眠本を何冊か読んでいて、大事にしている。
睡眠の大切さと尊さに深く思いをいたすようになった。
睡眠とは、私たちのなかに太古からインストールされている生命のシステムだ。それが損なわれると身体のあちこちに恐ろしい悪影響が及んでくる。
心血管疾患しかり、ガンしかり、心臓病しかり、肥満、認知症しかり、心臓発作しかり、そして寿命が縮む。まだまだあるだろう。
「睡眠をばかにしてはいけない、睡眠こそが、長寿と幸福のすべての源だ」と言ったのは、偉大な漫画家、水木しげるさんである。睡眠研究は、全くその通りだと証明している。
スイスの作家、ロルフ・ドべリ氏は、『Think Clearly』で、「尊厳の輪」というアイデアを語っている。
「尊厳の輪」とは、いかなる事情があろうとも、いかなる条件でも、決して譲ることのできない個人的な優先事項であり、ポリシーのことだ。
それはどんなに大金を支払うと提示されても、譲ることのできないポリシーだ。
この「尊厳の輪」のなかには、健康も含まれる。だとするなら、睡眠も含まれるだろう。
私たちの「尊厳の輪」は日夜攻撃にさらされている。
世間という怪物は、数多の微毒の矢を放ってくるのだが、それが重なれば、じわじわと蝕まれる。
睡眠不足がなぜここまで慢性化してきたのか。
その背景にあるのは、工業化によって、社会システムが睡眠という「生命システム」に侵攻したことだ。不眠王エジソンの発明の影響も大きい。
だが、睡眠ファーストの理念と普及は、いい意味で、現代の啓蒙主義者とでも呼びたくなるような、勇気ある人々の活動によって前進している。
睡眠は生命の根源に関わる尊いシステムであり、私たちが協力して守っていかなくてはならない。
睡眠においても、ベストエフォートが実践できるだろう。