食中毒に気をつけましょう
今年は猛暑のようです。というか結局毎年暑いですよね。というわけで、食べ物が腐りやすくなる時期に突入するので、昔取った杵柄的に注意喚起をしておきます。
◆大多数の人が勘違いしていること
「この食材は新鮮だから大丈夫」「加熱したから大丈夫」ほとんどの方がこう思っていると思います。調理師免許を持っている料理人や、講習を受けている食品衛生管理者でもこう思ってる人が多いです。少なくとも間違いではないのですが、原因によっては鮮度が関係ない場合も加熱しても難しい場合も多々あります。十把一絡げにするのは大変危険なので解説していきます。
◆食中毒予防の三原則
①菌をつけない
調理前に手洗いをちゃんとしたり、場合によっては手袋をしたり、食材をよく洗ったり等でそもそも食材に菌がつかないようにします。
②菌を増やさない
冷ますためや解凍のために常温放置をするのはやめましょう。冷蔵庫を過信せずになるべく早く消費しましょう。温度と時間管理ですね。
③菌をやっつける
よく加熱して食べましょう。調理器具及びキッチンは清潔にしましょう。特にまな板は野菜用、魚用、肉用と使い分け、魚や肉を調理したあとは次亜塩素酸ナトリウム(いわゆるキッチンハイター)で殺菌・消毒をすると良いです。
この3つの複合がとても大事になります。
◆食中毒菌等と予防策
【o-157】
大腸菌の一種です。ベロ毒素というもので大腸の血管を攻撃します。牛の糞便から検出されます。牛を解体する際にどうしても付着してしまいます。極少数の菌でも発症してしまうので、鮮度が関係ありません。(新鮮だから生食できるという勘違い)熱に弱いので75度以上に加熱します。
【サルモネラ】
人や動物の腸管内等どこにでも居ます。低温や乾燥にも強いです。肉や卵は必ず冷蔵庫で保管しましょう。熱に弱いので食べる際は加熱しましょう。
【腸炎ビブリオ】
魚介類のエラや体表についています。塩分が好物で濃度2~5%で増殖します。ただし、真水では増えることができません。魚介類は調理前によく真水で洗いましょう。
【カンピロバクター】
鶏の腸管内によく居ます。大気中では発育できませんが、わずかな酸素があれば増えます。熱に弱いので加熱して食べましょう。
【ノロウイルス】
人の腸管内のみで増えます。十分な加熱と、接触感染するので手洗いはしっかりしましょう。飲みすぎて嘔吐する人がいた飲食店のトイレなんかが発生源になりやすいです。アルコール製剤は効かないので、次亜塩素酸ナトリウムのキッチンハイターで漂白しましょう。
【ボツリヌス】
土中に広く居ます。酸素が苦手です。逆に言えば瓶詰め、缶詰等の保存食品が原因となりやすいです。運動神経を麻痺させる毒素を作り、最悪の場合死に至ります。熱や消毒に強い芽胞を作ります。毒素自体は100℃数分の加熱で失活するので、よく加熱して食べましょう。
【セレウス菌】
自然界に広く居ます。嘔吐型と下痢型があります。嘔吐型は米飯類で毒素を作ります。学校行事や部活、イベント等で保護者が作った大量のおにぎりで食中毒を起こすのがこれです。熱に強く100℃30分の加熱でも不活化されません。長時間放置しないでなるべく早めに食べましょう。
【ウェルシュ菌】
人や動物の大腸内、土や水に広く居ます。熱に強い芽胞をもっていて100℃30分の加熱でも死滅しません。43~47℃が一番発育します。2日目のカレーで腹痛を起こすのは概ねこれです。なので、常温でカレーやシチューを冷ます、または再加熱をすると芽胞の発芽が促進されます。酸素に弱い嫌気性菌なので、加熱する際はかき混ぜて酸素を取り込みましょう。カレーやシチューは鍋ごと常温で冷まさずに小分けにして急速に冷ますとか、氷水の入ったボールに鍋ごとつけてかき混ぜながら急速に冷ます等をしましょう。
【エルシニア】
犬や猫等のペット、家畜、野生動物の腸管内に広く居ます。0~4℃の低温でも繁殖します。(冷蔵庫を過信しない)動物と接触後はよく手洗いしましょう。十分な加熱をして食べましょう。
【黄色ブドウ球菌】
人や動物の粘膜に居ます。菌自体は熱に弱いのですが、エンテロトキシンという熱にも乾燥にも強い毒素を作ります。一度毒素が作られると不活化されません。調理前に必ず手洗いをします。傷がある手で調理するのは出来る限り避けましょう。もしくは手袋をしましょう。菌が増えて毒素を作り出されないように冷蔵庫で保管しましょう。
【アニサキス】
鯖・鯵・秋刀魚・鰯等の青魚や鰹・鮭・イカ等の魚介類に多くいる寄生虫です。基本的には内臓に寄生するのですが、鮮度が落ちてくると筋肉へ移動するようです。勘違いされてますが、しめ鯖等を作る際の塩漬け、酢漬けでは死にません。-20℃で24時間以上冷凍するか、70℃以上に加熱して食べましょう。
◆まとめ
食中毒を起こさないための三原則は基本として、新鮮だから大丈夫、冷蔵庫で保管しているから大丈夫、加熱しているから大丈夫といった過信はありませんでしたか?皆様の安全な食生活の参考になれば幸いです。