見出し画像

宝探し

⬇このnoteで書いたのですが、私の職業は養護教諭(保健室の先生)で、20代の頃、大規模な特別支援学校に勤めた後、その新設分校に配属されるという経験をしました。

その時に書いた日記を紹介します。

今日は休日参観だった。

生徒は午前中に帰って、午後はゆっくりまったり。

なんか今の校、保健指導とか健康相談活動とかフツーにできそう。

というか、そういう出番もすでに生じつつあったり。。。

肥満指導、タバコの害、性のこと、ファッションのこと、などなど。

ああしよう、こうしよう。
ああしたい、こうしたい。

夢は膨らむし、やりがいはある。

まぁ、いいことばかりではない。

うちの校は特にお金が無く、私物やもらい物で埋まっていく保健室。

幸い、近くに今年度で閉校になる高校があり、そこの養護教諭さんにお世話になって、たくさんの物を譲ってもらえた。

年度当初は半泣きだった私だが、おかげ様でなんとか無事に乗り切れている。

思いがけず、ぬいぐるみもいただいた。

その高校の相談室にあったもので、子育てを終えた先生方が持ってこられるとかで、たくさん並べてあった。

その中から、これとこれと、あ、これもこれもと夢中で選ばせていただき、うちの保健室の、スカスカの本棚に可愛く飾った♪

そして、保健室の掲示板に貼るポスターも欲しかった。これまた譲ってもらえた。

まるで宝探しだった。保管されていたポスターの中から、ルビ付きとか内容がどうとか見ながら選ばせてもらった。

そうして入手したポスターたち。大きな掲示板に何枚も貼ってある。

ある日、体育でコワモテのG先生が、貼ってあるポスターを1人の男子生徒に読ませておられた。
そのポスターは、睡眠についての内容だった。

おっ活用してくれてる、、、と思いきや、睡眠のことを理解させようとしておられたのではなく、どれだけ漢字を読めるか試しておられたのだった。そのポスターはルビ無しだったので。

少したじろぎながら、おっかなびっくりの男子生徒。彼は入所施設で暮らしていて、一見、障がいの無い普通の子に見える。

言動も普通っぽいが、漢字をなかなか読めなくて、やはり知的なつまずきがあるのだ。

彼は昨日も今日も保健室に来た。いずれも外科的事由だが、見たところ著変はなく、しかし本人は痛みが気になるという感じだった。

以前、大したことないケガでも大げさに訴えたことがあり、私はその気になって心配したが、担任はお見通しということもあった。どこまで本当のことを言っているかわからないフシがある。

ただ、彼のような子は、それこそ宝探しのような人生かもしれないと思うのだ。私が保健室で丁寧に対応することも、貴重な宝になりうるかもしれない。

そんなことを考えながら、「ほんまかぁ?」とか「大丈夫やと思うけど」「すぐに治るわ」などと言いながら、処置をする。

彼、今日は帰り際に、元気そうに「ましになった」と報告に来てくれた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?