konaka

映画の感想や日記などを書きます。

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最近の記事

【詩】としとしと

血のついた紙、月極の駐車場 青いアスファルト ぐらぐらとつぶだち ほんとわたしたち 男だったらよかった ミーアキャットの尻尾!うそあれは紐 禁煙のご協力ありがとうございます ばかなんじゃないのか、 浅はかだよね考えが 噛み締めすぎて 神経がないんだって どうしていつも、 拳銃なんて見たことないのにさ やめたら? 通り過ぎる自転車 流れていく、流れていく笑い声 帰り道 いつも泣きたくなる

    • 【詩】散歩

      砂の声、ひかり 雲と空の境界に さらさらと流れ落ちて 踊っている 踊っている 蔦の覆う屋根の 錆びついた朝の 風! 整然と飛び跳ねる 砂の声、ひかり 10年を数えていたら タイルはふわふわとして あなたは生まれたとき 青よりももっと白い 光を見た 私が死んだとき 鳴いた一羽のひよどり それはたしかに 砂の声だったのだ

      • だらしない

        最近毎日暑くて、冷房をつけっぱなしにしているので、換気をさぼってしまっている。涼しいけど空気が淀んでいる。 停滞している日々が部屋にも滲み出ていてよくない。 やっぱり私はだらしないのが好きじゃない。 散らかっていたり、汚れていたり、楽しく気持ちいいことを優先している人たちはのびのびしていて魅力的だし、そんな友人たちはみんな愛おしい。だけど私自身は、元来そういうタイプの人間ではないんだと思う。 私は、〈より良い自分〉に少しでも近づきたいという、漠然としているけど強固な思想

        • ロンドン滞在期(before)

          2023年の9月にイギリス旅行をしました。 イギリス人と結婚してロンドンに住んでいる叔母とその子どもたちに祖父を会わせるためです。 行く前に旅の不安をなくすため、できるだけ落ち着かないシチュエーションを想像して架空の日記を書きました。いずれafterも載せる予定です。 ・波止場に近づくにつれ、風が強まった。できるだけ陽に当たっていた時間の長そうなコンクリートブロックを選んで、腰を下ろす。一緒に来た祖父は、どうにか煙草に火をつけようと、悪戦苦闘している。この国の9月は、想像よ

          『ロブスター』ラストシーンにまつわる雑記/ネタバレ含

          ヨルゴス・ランティモス監督の『ロブスター』のラストシーンについて書きます。 ※100%と言っていいほどネタバレです なぜラストがよかったか まず、主人公はホテルでの「カップルにならなければならない」というルール、森での「カップルになってはならない」というルール(この2つを合わせて「ルール」と呼ぶ)、どちらも破る異端の存在として、物語の中に位置付けられている。 その上で、この世界には「人は自分と共通点を持つ者にしか惹かれないし、そういう者としか共存/共生できない」かつ「上

          『ロブスター』ラストシーンにまつわる雑記/ネタバレ含

          『瞳をとじて』感想/ネタバレ含

          ビクトル・エリセ監督の『瞳をとじて』を鑑賞したので、ネタバレを含む感想を書きます。 ※一部監督の過去作である映画『ミツバチのささやき』のネタバレも含みます。 【映画の感想】 3時間近い上映時間のせいもあるが、誰かの人生を追体験するような、それも1人ではなく複数の人の人生が時に重なり合い、また離れていくのに寄り添うような重厚な作品だった。 冒頭から、椅子に座った2人の会話の中で物語の背景やあらすじが明らかになるという演出が繰り返され、ほとんど小説の朗読を聞いている気持ちにな

          『瞳をとじて』感想/ネタバレ含