複雑な介護保険制度を理解し、その知識を活用するには?
現代日本のように、人口の65歳以上の割合が21%を超える
「超高齢社会」において、いつか自分や家族が利用することになる、
あるいはその制度のもとで働くことになるかもしれない、
「介護保険制度」に対する理解を深めることは必須ではないだろうか。
ただ、現実問題として、介護関連産業で働く者でさえ、
私を含め多くは介護保険制度に対する理解はおそらく曖昧であり、
目まぐるしく多忙な日常の中に自分が埋没してしまいそうになるのを
感じつつ、なんとか日々の業務をこなしているというのが
実情であると思われる。
(そのため、私は利用者さんやその家族に介護保険制度についての
説明を求められても、言葉に詰まってしまう。
相手の立場に立てば、自分や家族が実際に利用する制度について、
そのサービスの提供者に説明を求めるのは当然のことなのだが。)
では例えば、介護福祉士の国家試験の勉強をして、
介護保険制度に対する理解が深まるかと言えば、
私自身の経験に照らせばそう単純なことではない。
まず介護福祉士の国家試験については、全ての設問が【選択式】であり、
難易度もはっきり言って高くないため、
過去問数年分を見ておけばなんとなくの理解でも受かってしまう。
(全く勉強せずに合格したと豪語する猛者も少なからず存在する。)
またその試験科目1)についても、高齢者介護を成り立たせる制度に
照準を当てて全体像を理解させるというよりは、
高齢者の心身に対する理解や尊厳、コミュニケーションといった
「実践優位」な内容が多い。無論そういった科目も重要なのだが、
そこに重点を置きすぎると、社会から見た高齢者介護のあり方と
介護専門職としての自己規定にズレが生じてしまわないだろうか。
言い換えれば、近視眼的に日々の業務こなすだけが
介護福祉士の仕事なのだろうか。
今社会的に問題になっているのは、その財源も含めた介護保険制度の
持続可能性であり、今後さらに高齢化が進むなかでの介護人材確保と
その解決策としての介護職員の処遇改善であり、
倒産や撤退が相次ぐ介護事業所の継続性である。2)
いずれの問題を理解するにも、
介護保険制度を中心とした高齢者介護の全体像の把握がかかせない。
そして介護の現場においても、
この種の「大局的」な問題から派生した課題が数多く存在しており、
もはや現場職員の誠意と頑張りだけでは、その解決は覚束ない。
前置きが長くなったが、今後noteに投稿するブログを、
私自身の勉強と問題解決のための「場所」にしたい。
1)詳しくは公益財団法人「社会福祉振興・試験センター」の
ウェブサイト(https://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/index.html)に
過去3回分の試験問題が公表されている
2) 高野 龍昭「介護保険20年 さらなる『社会化』のために」
NHK解説委員室 2020-4
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/428439.html