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パンダの故郷・マイクロ水力CDMプロジェクト
2014年1月にUNFCCCに登録したプログラムCDM"Micro Hydro Power Plant Promotion Programme in Regions on the Upper Reaches of the Yangtze River, China"をご紹介します。
WWF China (世界自然基金中国)と四川省政府と協力して三井物産環境基金の助成により、マイクロ水力のプログラムCDMの開発を行いました。無電化の四川省凉山彝族(イ族)自治州越西県申果庄パンダ保護区に、3kWのマイクロ水力発電機110台を設置しました。
四川省涼山のパンダの保護区は、寒さの厳しい平均海抜2,000m以上の山岳地帯に位置し、森林にはジャイアントパンダなどの絶滅危惧種が生息し、5,000~6,000種の植物相の故地とされ、非常に豊かな自然と生態系が残されています。そして、多くの谷や川があり、水資源が豊富です。
保護区及び周辺で生活をしている住民のほとんど全てが少数民族のイ族で、貴重な民族文化もまた残されています。コミュニティーは、グリッドからの距離が遠くて農家も分散しているため、多くの人たちは電気の無い生活を送っています。利用できるエネルギー資源が乏しいため、自然資源への依存度がとても高く、イ族の人々は長年にわたって暖房、煮炊き、湯沸かしに森林を伐採して使用(年間7t/家庭)しています。加えて森林開発も行われたため、希少動物や野鳥の生息地が破壊を受け、パンダをはじめとする動植物の保護事業に対して脅威をもたらしていました。
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イ族の人々は、農業や牧畜に従事していますが、自然環境が厳しく地理的な制約もあり、その生産性は低くて現金収入が少なく貧しい生活を送っており、当時の1人当たり年収は1,300元(約18,500円)以下で、貧困層に属します。
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プロジェクトでは、少数民族の無電化地域に、3kWまたは5,5kWのマイクロ水力発電機を設置し、 1台で3家庭から6家庭に電力を供給します。川に沿って導水路を造り、落差(落下エネルギー)や水流の勢いでタービンを介して発電機を回し、発電を行います。農家は、電気で煮炊きを行うこと等により森林伐採量を抑制して、森林を保護し、生態系の保全に貢献します。電化することで木(薪)の伐採量を削減して、木のCO2固定量を増やすプロジェクトです。
ベースラインシナリオは、1家庭の煮炊きによる非再生可能バイオマス消費量は10kg/日(3.65t/年)です。プロジェクトケースは、マイクロ水力発電で煮炊きを行います。 1農家の煮炊きによる非再生可能バイオマス消費量は0kg/日(0t/年)で、マイクロ水力発電のCO2排出量は“ゼロ”です。3kWのマイクロ水力発電機で3家庭に電力を送り、11t/年の非再生可能バイオマス消費量を削減し、11.7tCO2e/年のCO2を削減します。
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マイクロ水力発電機は、ベアリングだけは良いものを使う必要がありますが、直流モーターを改造して製作することができます。無電化の地域で、寄付ではなく、地域の人たちが自分たちで製造できればいいなと思っています。
これからも、温室効果ガス削減と電力へのアクセスができるような、Sustainable Developmentとシナジー効果があるカーボンクレジットを開発していきたいと考えています。