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理解者であるという言葉が人を傷つける
デグーを3匹飼っている関係で、彼らをもっと広いスペースで遊ばせてあげたいということで一時期引っ越しを考えていました。
エアコン代のこととか、掃除の大変さとか、あまり深く考えずに近年増え続けていることで問題になっている空き家をリフォームした貸物件ばかり検索していました。
ちょうど地元はそういった一戸建ての物件が多く、ネット上でも複数ヒットしました。
中には2階建て木造家屋に屋根裏部屋を新たにつくり、きれいにリノベーションされて家賃3万円台といった超お得物件も‥。
結局は今、住んでいるところよりもより便利なところ(電車の急行が止まるところ)を探し、築50年ほどの気になる一戸建て物件を見つけたので、不動産屋に連絡しました。
物件内覧の初日、その不動産屋は私についてきたパートナーを見てひと言、「息子さんもついて来て下さったのですね。」
確かに私のほうが年上だと一目で分かりますが、親子ほどの歳の差はありません。
仮にそうであったとしても、関係性が分からない場合はお連れ様というのが常識ではないかということが心の何処かに引っ掛かったまま、3件の内覧を終えました。
私としても、同行してくれたパートナーとしても、3件目(ネットで最初に見つけた物件)が一番よいとの見解でした。
そして契約申請についての話の段階で、書類に年収欄があったため、正直に自分は精神障がい者保健福祉手帳を取得している障がい者であることと、年収の一部が障がい年金であることを伝えました。
その途端、不動産屋の反応が変わりました。
「精神障がい者は家主さんが嫌がる場合が多いから、年収面では審査が通っても断られる可能性が高いですね。」と、私が「いつまた仕事が出来ない状態になるか分からないからということですか?」と訊ねると、「いやそういうわけではないけれど。」と。
そして、最後にひと言。
「けれど、私は元々福祉関係の仕事をしてきた人間なのでお客さんのお気持ちは分かるので、障がい者でも入れる物件がないか一件一件一緒に探して行きましょう。」
私はとりあえず、気になっている物件の契約申請の書類を持ち帰ったものの、パートナーから、やはりあまりにも古い物件は老朽化が心配ではないかと言われ、自身の気持ちが落ちていたこともあり、こちらからも断りを入れました。
そして、後日いつも親身になって下さっている現在の支援員から、障がい者の住探しに強い不動産屋を紹介していただきました。
そのかた曰く、「障がい者であるかどうかはそのかたの極めてプライベートな情報であって、うち以外の不動産屋を使うとしても収入面でクリアーしておられるなら必ずしも本当のことを言う必要はない。もし収入面で安定しないなどといったことがあるとしても支援のかたに協力していただきながら民間の家探しはできる。出来れば保証を付けるなら保証会社よりもご身内がいい。」ということでした。
今は病気の治療もしながら、転職のことを考えている段階なので引っ越しの件は保留にしていますが、物件探しをお願いするならばひとつひとつ丁寧に教えて下さったそのかたにお願いしようと考えています。
一連の物件探しの一件で自身のことを振り返りました。
自分は福祉関係の仕事に携わったことがあるから障がい者のことは少しは分かる‥と私も同じ言葉をプライベートで他のかた(身体障がい者)に言って二度失敗したことを思い出しました。
福祉関係の仕事をしていたからの枕詞を取ると少しは違った響きに聞こえたかも知れません。
要するに本当にお互いが心を通わせて、信頼関係を築けるのかの自信がなかったのでしょう。