22/23 ナショナルリーグ開幕前夜[ヨーヴィルタウン シーズンプレビュー]
イングランド6部ナショナルリーグがいよいよ開幕します。
EFLからの降格チームが再昇格できず、リーグは年々混沌としてきています。
ヨーヴィルタウンにとっては18/19の降格の後、4度目のナショナルリーグ開幕を迎えます。
EFLへの復帰を待ち望む一方で、チームは財政難に見舞われ、決して楽観視はできません。
新たなシーズンを前に、チームの現状をまとめます。
今季の陣容(8月6日時点)
現時点では以上の18人が在籍しています。
これに加え、レンタルでチームを離れている選手が3名(Evans, Haste, Stephens)います。
またSam Pearsonは1ヶ月のローンで加入しているので、延長されない限り、来月にはチームを離れます。
監督のHargreavesはプレシーズンマッチで一貫して5バックを採用。
中盤より前の配置は試行錯誤の途中といった印象でしたが、おそらく5-3-2で開幕を迎えるでしょう。
守備陣
GKは昨季の守護神Grant Smithが残留。シュートストップに定評があります。
2ndには昨季トーントンタウンでサザン・プレミアリーグ優勝を経験したWill Buseがローンで加入。
GKに関しては楽観的に考えられそうです。
守備陣の不安としては層の薄さが挙げられます。
右サイドバックにはJohnson、左サイドバックにはReckordが入っていますが、サイドバックをメインポジションとするバックアップは現在いません。
Williamsは両サイドバックでプレイできますが、現時点では彼ひとりでCBのバックアップも務めなければならない状況です。
ノンリーグというフィジカル的な激しさが特徴であるリーグにおいて、特にボディコンタクトの多いDFの負傷は避けられません。
チームとしてすでに行動を起こしているとは思いますが、バックアッパーの獲得は急務です。
中盤
中盤は頭数は揃っている印象です。
ボランチはSam PerryとMatt Worthingtonが有力でしょう。ただしMatt Worthingtonは警告や退場が多いので、プリマス・アーガイルからローンで加入しているCraskeの出番も多くなるはずです。
トップ下については、正直分かりません。
プレシーズンマッチではエースの Tom Knowlesが務めていましたが、ウォルソールへの移籍が発表されました。
そのため、現時点ではD'Athが有力です。
あるいはWakefieldやPearson、Hulbertらをサイドに配置し、5-4-1の形にするかもしれません。(プレシーズンマッチで一度採用しています)
FW
4季ぶりにヨーヴィルタウンに復帰したFisherは当確といったところでしょう。
前回在籍時に降格争いをするチームの中でインパクトを与えたので、サポーターからの期待も必然的に膨らみます。
彼の相棒の座はLintonとWakefieldが争うことになるでしょう。
Lintonはプレシーズンマッチでスタメンで出場し、アピールを重ねました。
Wakefieldは体調不良の影響で出遅れましたが、昨季見せた突破力は今季も大きな武器となるはずです。
筆者としては、Wakefieldをファーストチョイスに推します。
(Grivostiについては加入したばかりで、どういった選手・起用法なのか不明です)
※戦い方などについては開幕後に再度まとめたいと思います。
注目選手
今季の成績は昨季同様アタッカーの出来に左右されるでしょう。
監督と戦術が変わったとはいえ、守備陣に関しては実力者が揃っています。
昨季課題だった決定力の部分でどう違いを見せられるか、注目です。
注目選手① Alex Fisher
度々言及していますが、4季ぶりの復帰となったAlex Fisherには注目です。
前回在籍時には、EFL2からの降格争いをする中で7得点を挙げました。
優れた嗅覚とテクニックで、難しいボールもゴールに叩き込みます。
様々な形から得点を決めることができますが、特にゴール前でスクランブルを生み出すことができれば、彼の持ち味が最大限に活きるでしょう。
注目選手② Charlie Wakefield
昨季ブレイクしたWakefieldには今季も注目です。
右ウィングをメインポジションとする彼ですが、今季は中央でのプレイも増えると思われます。
突破力を武器に、昨季以上に攻撃で貢献してくれることを期待します。
プレシーズンは体調不良などで出遅れましたが、すぐに調子を取り戻してくれるはずです。
順位予想
Glovers Castが各情報誌やインフルエンサーによる順位予想をまとめています。
詳しくは以下をどうぞ。
簡単にまとめると、リーグ中位(16位~12位)で終えるという予想が多数です。
これに関しては筆者もおおむね同意です。
メンバーを中心に見れば、プレーオフ圏内の7位以内に入ることが出来れば御の字といったところでしょうか。
現実的には有識者の予想通り、中位で終えるでしょう。
ただしこの予想は一昨日までのものです。
Tom Knowlesが去った今、この予想はもう少し厳しいものに修正する必要があるかもしれません。
不明な点も多いので、順位予想については開幕後の3試合を見てから考えた方が良いでしょう。
開幕戦はEFLからの降格チームであるスカンソープ。
そのあとにレクサム、バーネットと続きます。
ここでどういう戦いができるか、それを見てから改めて予想を立てましょう。
その他
チームスタッフ
バックルームの陣容も今季から大きく変わりました。
監督の交代に伴い、アシスタントマネージャーにはChris Toddが、GKコーチにはPhil Osbornが就任しました。
また今季から新設されたDirector of Developmentには元グローバーズのMarcus Stewartが就任しています。
具体的な仕事内容については明らかになっていませんが、役職名にもあるように、チームとして若手選手の発掘・育成を中心としていく姿勢が伺えます。
経営状況について
チームは相変わらず財政難に苦しんでいます。
昨季終盤にはホームスタジアムのHuish Parkが地元議会に売却され、リースバックされた上で使用するという事態になっています。
オーナーはパンデミックが大きく影響していると話していますが、仮にパンデミックが無かったとしても、そう遠くない未来に同じような状況に陥っていたでしょう。
つまりはオーナーの能力不足(あるいは怠惰)などが招いたのです。
この問題については後日改めてまとめたいと思っています。
そんな中、Stuart Robinsがクラブの首脳陣に加わりました。
彼は地元の実業家であり、ヨーヴィルタウンの長年のサポーターです。
経営手腕を発揮し、かつサポーターとクラブの架け橋となってくれることに期待です。
※ちなみに、彼の娘さんであるSheridanRobinsさんはBBCサマセットのヨーヴィルタウン番記者として活躍されてます。
まとめ
期待と不安は渦巻いていますが、とりあえずは新たなシーズンの始まりを祝福し、フットボールを楽しむ、それに尽きるでしょう。
そのうえで結果を残すことができればベストですが。
正直に言えば、今季のEFL復帰は非現実的な目標だと思います。
今季はまずチームの環境を整備し(それはピッチ内外両方で)、新たな輝かしい歴史を築くための足掛かりとするのが現実的でしょう。