おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか 第4話感想
おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!の四話目が放送された。今回のお話はシリーズの中でも折り返しと言える重要な話数だった。これまでは主要登場人物の紹介、彼らのバックグラウンドや抱えている課題に触れてきたが、今回は新たな登場人物も顔を見せた。またようやく我が推し東啓介さんが喋った!これまで背中や横顔カット中心だったが、セリフを話している姿に両手を組みながら拝んだ。ありがとう……本当にありがとう……。
第4回 2024年1月27日(土)放送 あらすじ
不登校の理由は何?父と息子のブルース!!ギャルの精神が世界を救う!?
人の趣味嗜好はおっさんのパンツと同じ!?ひとつの気付きを得た誠(原田泰造)。そんな中、不登校中の息子・翔(城桧吏)が久しぶりに学校に行くと言い出す。思わず褒めてやろうとする誠だったが妻の美香(富田靖子)に止められ、そっとしておくことに。そう。誠は、我慢できるようになったのだ!
とは言え、心配な誠は再登校初日に、翔を学校の近くまで車で送ることに。いざ、校門の前で立ちすくむ息子に、誠は胸を張ってある言葉を贈って――。
その頃、大地(中島颯太)は実家に帰省する恋人の円(東啓介)に、円の父親の還暦祝いを渡していた。自分の親への気遣いに嬉しくなる円。だが、実家からの電話では「まだ恋人はいない」と口にしてしまい――
一方、学校に行った翔にも試練が…。キャラの濃すぎるギャル三人衆、謎のメイク女子(並木彩華)、そして翔が所属している野球部の面々。少しだけアップデートした誠を中心に、おっパンステージ2の幕が上がる!
(おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!)
今回の話はドラマのストーリーが動き出した重要な話だったた。沖田家と大地との関係性を丁寧に描いてきた1~3話だったが、ここへ来てドラマの本筋に入るための大きな展開が巻き起こった。
ドラマは翔が学校へ行く決断をしたところから始まる。長らく引き籠りだった翔は家族や大地の力を借りて徐々に外の世界へと関心を向けていく。玄関の扉を開けることすら怖がっていたが、カルロスとの散歩、両親への思いを重ね学校へ行くという決断を下した。後押ししたのは大地だろうが、彼を通じてアップデートした誠もきっと翔に良い影響を与えたはずだ。
前回の感想ブログでも書いたが、誠のアップデートが進んでいることの分かる場面がある。誠は可愛らしいデザインの定期入れを店舗で見ており、店員から「娘さんにですか?」と尋ねられる。一回目は曖昧に言葉を濁すが、二回目の誠はどこか誇らしげに「いいえ。息子にです」と答えていた。これに呼応するように定期入れを受け取った誠も「可愛い」と頬を綻ばせていた。まだまだぎくしゃくした二人だが、誠は翔を受け入れ彼が生きやすい世界になってほしいと願うのだった。
四話でも誠のセリフやモノローグからそれが伝わってくる。翔が学校へ行く決断をし、誠が車で送っていくまでの時の場面だ。後部座席で緊張する翔に、誠は寂しそうに内心こう思う。
「(こんな時に掛けてやる言葉も思いつかないなんて本当に父親であることは難しい)」
(おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか)
そして車を止めた後、言葉を選びながら誠は続ける。
「このまま帰ってもいいんだぞ。もしかして男子の制服が嫌なんじゃないか。もしそうなら無理しなくていい。私服通学の学校とか制服を選べる学校に転校すればいい」
(おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか)
翔は誠の言葉に驚き「お父さんってそういうこと考えないと思っていた」と告げ自分は服装というよりも乱暴な言葉や態度が苦手だと言った。そして「綺麗になりたい」とも。心を閉ざした翔が誠に初めて見せた自分の柔らかいところだ。
学校へ行くことを決めて車を降りた翔だったが、そんな翔に誠は言葉を選びながら声を掛ける。
「翔、自信を持て。父さんの長年の圧力に耐えてきたんだ。こんな頭の固い回らず屋は学校にはいないだろう。お前には充分な免疫がある」
「(親の仕事はこうやって子供の背中を送ることなのかもしれない)」
(おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか)
誠は幼少期、女児に間違えられるほど可憐で可愛らしい見た目をしていた。そのせいで同級生から心無い言葉を掛けられ自己防衛のためにも男らしい見た目、男らしい言葉遣いを使うようになった。誠が翔に「男なんだから」と声を掛けていたのはそんな過去の自分のような思いをしてほしくないという願いもあったのかもしれない。だが、それは間違っており翔には翔の人生がある、そして翔の人生を切り開いていくのは翔しかいないと誠も気付いていくのだった。
偏見でガチガチだった誠が葛藤しながらも真っすぐ息子を愛する言葉だったと思う。
学校へ行く決断をした翔だが、クラスに入るとギャル達が自分の机を占領していた。大量のエネルギーを使い学校に来たものの「退いて」と言えない翔。ギャルににらまれ思わず逃げ出してしまう。そんな時、心の支えになったのは大地の言葉だ。
「無理かもしれないのにやってみようと思っている僕えらい」
(おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか)
大地に言われた言葉を何度も反芻し自分を鼓舞する翔。立ち上がりもう一度教室に入りギャル達に「退いて」と告げる。緊張した翔に対しギャル達は「可愛い顔してるね」と翔の容姿を褒めた。そしてギャル達のコスメを見てその仲を深めていく。
印象的だったのは翔のコスメを見た時の反応だ。目立たないよう、緊張気味に背中を丸めて教室に入ってきた翔だったが、ギャル達の新作コスメを見た途端目を輝かせた。実店舗へ行きづらい分、目の前に現れたコスメの使い勝手を確認して頬を綻ばせた。そんな翔の反応を見てギャル達は自分に合うコスメ選びを手伝ってほしいと頼む。好きなことで誰かの役に立てた。この経験が翔の心を前向きにしたのは間違いない。
さらにギャル達は「この後カラオケに行こう」と声を掛ける。翔は行くかどうか迷っていたがギャル達は「嫌なら嫌っていいんだよ」と告げた。相手のことを慮るだけではなく自分の心も大事にしていい。ギャル達の言葉に翔は「また今度にする」と応えるのだった。
誰かの役に立てた、その誰かに遊びに誘ってもらえた、その誘いを自分の心と相談し断ることができた。これは翔にとって大きな経験となったと思う。
小さな決断を重ね大きな成功体験を得た翔だったが、そこに暗雲が立ち込める。女子生徒の一人がただでコスメ選びに付き合った翔に対し「ギャル達に媚でも売ってんの?」と宣戦布告ともいえる発言をぶつけるのだ。女性生徒は自分なりの思想を持っておりそれを翔にぶつける。
「私は頼まれたらメイク教えてる。私が教えるのは自分が時間と労力をかけてものにした知識だから。教えたお礼にその子が使わない化粧品や試供品をもらってる。絶対にただでは教えない。それが私の誇り。だからあんたがやってることは迷惑。売ってるの。余計なことしないで」
(おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか)
対価を得てコスメの知識を提供していた女子生徒からすると翔の行動は自分の市場を荒らす不届き者。翔は女子生徒の勢いに押され俯いてしまうのだった。
新たな課題が現れるも大きな一歩を踏み出した翔に対し大地は自分の知らぬ間に大きな局面へと立たされていた。
獣医学校に通う大地は恋人の円とのお家デートを楽しんでいた。大地は円に喜んでほしくて彼の父親の還暦のプレゼントを渡すが、円の表情はどことなく浮かない。自分のセクシャリティをオープンにしている大地に対して本当のことを言えていない円。大地はそんな円に気を使い「プレゼントは恋人からでも友達からでもどちらでもいい」と告げるが、円は「それは考えさせてほしい」と明言を避けた。
不穏な雰囲気のままドラマは終盤を迎え円は地元の両親との電話で「恋人はいない」と告げる。円の背後には大地のプレゼントが置いてあり……というところで話は終わる。
ようやく……ようやく求めていた東啓介さん出演回……!今まで背中カット、横顔カットはあれどちゃんと話している姿は初めてだったかもしれない。顔がいい……!そしてスタイルが良い。さすがは股下180cmと言われた俳優。翔のことを大事に思いつつも両親に本当のことを言えない、繊細な演技をしていた。特に博多弁(?)を話した時は「円先輩そちらのご出身なのね~」ともろ手を挙げて喜んだ。5話目は誠と円先輩が乱闘する雰囲気を感じさらなる活躍に繋がりそうと心を躍らせている。沖田家と円先輩の今後に注目だ。