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3分でわかる!ジョン・ハリントンの水洗トイレの歴史


ジョン・ハリントンとは

ジョン・ハリントン(John Harington, 1560年頃 – 1612年)は、イギリスの作家、詩人であり、エリザベス1世の宮廷人としても知られていますが、彼の最も有名な功績は水洗トイレの発明です。
ハリントンはその風刺的な文才と独創的な発明により、歴史に名を刻むこととなりました。ここでは、ジョン・ハリントンの水洗トイレの発明に関する歴史を詳しく見ていきます。

ジョン・ハリントン肖像画

ジョン・ハリントンの生い立ちと背景

ジョン・ハリントンは1560年頃にイギリスで生まれました。彼の母親はエリザベス1世の乳母であり、この関係からハリントンは若くして王室とのつながりを持ちました。
エリザベス1世はハリントンの教母でもあり、彼の教育と成長に影響を与えました。
彼はオックスフォード大学で教育を受け、文学や詩に興味を持ち、後にエリザベス朝の宮廷で詩人として活動しました。

水洗トイレの発明

発明の動機と過程
ハリントンが水洗トイレの発明に至った動機は、宮廷内の衛生状態の悪さに対する不満からでした。当時のトイレは主に「室内便器」と呼ばれる簡易なもので、臭気や不衛生な環境が問題となっていました。ハリントンはこの問題を解決するため、革新的なトイレシステムを考案しました。

彼の発明の詳細は、1596年に出版された風刺的な著作「A New Discourse upon a Stale Subject: The Metamorphosis of Ajax」に記されています。この著作のタイトルは、「Ajax」という名前が「a jakes」(ジャケズ、便所の古い言い方)にかけた洒落になっており、内容は風刺とともに彼の新しいトイレシステムの詳細を紹介するものでした。

ハリントンのトイレの仕組み

ハリントンの水洗トイレは、基本的な設計として以下の要素を含んでいました:

便器
座って用を足すための椅子状の便器。
貯水タンク
便器の後ろに設置された水を貯めるタンク。
排水管
便器から下水道に繋がる管。

使用方法は簡単でした。まず、便器に座って用を足し、終わったらレバーを引くことで貯水タンクから水が流れ、便器内の排泄物を洗い流して排水管を通して下水道へ排出する仕組みです。
このシステムにより、便器内の臭いを効果的に除去し、衛生状態を大幅に改善することができました。

ジョン・ハリントンの発明した水洗トイレ

水洗トイレの普及と影響

実際の導入とエリザベス1世の反応
ハリントンは自身の家に最初の水洗トイレを設置し、その後エリザベス1世にも同様のトイレを導入しました。
エリザベス1世はこの発明に感銘を受け、ハリントンを褒め称えました。しかし、彼の発明が当時の技術やインフラの制約により広く普及することはありませんでした。
特に、当時の配管技術や下水処理システムが十分に整っていなかったことが普及の妨げとなりました。

その後の発展と影響

ハリントンの水洗トイレの基本的な設計は、その後も改良され続けました。特に18世紀から19世紀にかけて、産業革命の進展に伴い、都市部の下水道システムが整備されることで、水洗トイレの普及が急速に進みました。
19世紀後半には、ジョセフ・バザルゲット(Joseph Bazalgette)によるロンドンの大規模な下水道建設が完了し、これが水洗トイレの普及に大きく貢献しました。

ハリントンにまつわる興味深いエピソード

宮廷での評価と風刺
ハリントンは宮廷内でその風刺的な文才でも知られており、彼の作品はしばしば政治や社会の問題を取り上げました。
「A New Discourse upon a Stale Subject: The Metamorphosis of Ajax」もその一例であり、彼の発明を紹介する一方で、当時の宮廷社会の風刺としても読まれました。
この作品は一部の宮廷人からは称賛されたものの、他の者からは批判を受けることもありました。

エリザベス1世との関係
ハリントンはエリザベス1世との個人的な関係もあり、彼女に対して忠誠心を持っていました。エリザベス1世は彼の発明を評価し、彼を「私のべんとう大使(my saucy godson)」と呼んでいました。この言葉遊びはハリントンの風刺的な性格を表しており、彼女との親密な関係を示しています。

「The Metamorphosis of Ajax」の出版
ハリントンの著作「The Metamorphosis of Ajax」はその内容が風刺的であるため、一部の宮廷人や教会関係者から批判を受けました。彼の風刺は、当時の社会問題や政治に対する批判を含んでおり、そのため一部の人々からは不快に思われたのです。この反発にもかかわらず、ハリントンの発明は長い目で見れば衛生状態の改善に大きく貢献することとなりました。

現代への影響

ハリントンの水洗トイレの発明は、現代の衛生設備の基礎を築いたと言っても過言ではありません。
彼の基本的な設計は、その後の改良を経て、今日の私たちが使用する高度な水洗トイレシステムへと発展しました。
現代のトイレは、ハリントンの発明から学び、さらに効率的で衛生的なものとなっています。

結論

ジョン・ハリントンはその風刺的な文学作品とともに、水洗トイレの発明者として歴史に名を残しました。
彼の発明は当時の技術やインフラの制約からすぐに広く普及することはありませんでしたが、長い目で見れば彼のアイデアは現代の衛生設備の基礎を築き、私たちの生活を大きく改善しました。
ハリントンの革新的な発明とその影響は、今日の私たちが感謝すべき重要な遺産です。

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