One Take 5 PF Performance Review
遂にテイクダウンモデルだけになってしまった…。
NBAにおけるファッショニスタでと言っても過言の無いRussell Westbrook。ちょっと私には理解しきれないセンスのコーディネートやシューデザインなんかをする訳ですが、例にも漏れず彼自身のシグネチャーシューズは独特な世界観を持ったプロダクトシリーズと呼べると思います。
まぁもちろん独特な世界観(…これは私の独断と偏見かもですが)なことも有りつつ、彼自身のパフォーマンスの波、キャリアへの陰りも有り、おそらくメインシグネチャー側のセールスは伸び悩んでいるのかなと思います。
その結果、Westbrookがシューズ表現できるのはテイクダウンモデルだけになってしまいました。
というわけで、今回は”Jordan One Take 5 PF”を見てみようと思います。
テイクダウンモデルだけになってしまったとはいえ、シグネチャーシリーズを継続出来ているだけ、まだ良い待遇なのかもしれません。
ましてや現在35歳。(Lebronが39歳、今年の末に40歳を迎えるっていう化け物を除いて)基本的にはキャリア終盤と言っても過言は無いと思いますし、若い世代の台頭も有り、世代交代の波からは逃れられないかと。
PGもシグネチャーシリーズを終了されてしまいましたしね…。
振り返るとRussのキャリアも山有り谷有り。特に近年は大分苦しい時期を過ごしている様に見えます。というかもはや冷遇にすら見えており。
彼のアグレッシブでエネルギッシュなプレイがマッチするチーム・局面がどうしても限定的になりやすい事は確かで、レイカーズでは上手くマッチできなかったと思います。とは言え盥回しされる程酷いかと言われるとそんなことは無いと思うんですよね。
今年は強豪デンバーでシーズンをスタート。強力なロスターと彼のエネルギーでどういったシナジーを生み出すのか楽しみです。
さてさて話を戻しまして、そんな彼のテイクダウンモデル5作目。
これがどういったモデルになっているのか見ていってみましょう。
今回チョイスしたカラーは”Humble Biginings”と呼ばれているこちらのカラー。
サンドベージュとホワイトにブルーの差し色が素敵な組み合わせ。
Quai54カラーと迷ったのですが、なんかこのクラシックな配色がどうしても惹かれたんですよね。
■ディティール
ではまず外観から。
Russの生み出すプロダクト、個人的にはデザインや機能・サイズ感含め”奇抜”な事が多くて当たり外れが…。
このシューズはルックスに関してはオーソドックスで良かったのですが、試着のフィーリングが…。
なんかこう、「あれ、これすげーな(色々な意味で)…」みたいな感触でして、正直スルー対象のモデルでした。
ただ、なんかこう振り返った時に気になるモデルって有りませんか?
(自分にとってそれが最初に起きたのはHyperdunk 2015なんですけど。)
なんか見れば見る程じわっと来るというか、特にこのカラーが出た時はもうヨダレダラダラで。なんでしょうねこのスルメ感。
話を戻しましてスタイリングの話。
Russモデルのスタイリングって基本的に押しの強いデザインが多いんですけど、今作は一点穏やかというか現在のトレンドに沿ったというかクラッシクさを上手く混ぜ込んだようなデザイン。
サンドベージュ+バックスキンの風合いが余計にクラシックさを際立たせているこの感じがなんとも心惹かれる。(体育館シューズ感)
またレザーの比率が高め+アウトソールの巻き上がりとトゥボックスを覆うTPUレイヤーの組み合わせがクラシカルとモダンの絶妙なバランスを取っているなーと。(”ネオクラシック”感を感じられますね ※何も言ってません)
なんかテイクダウンモデルにしては異様な程に拘られている様な感じがするんですよね…というのは多分この想像は外れていないと思うんですが、今作は普通のテイクダウン、つまりメインシグネチャーからの”テイクダウン”では無く、メインモデルを出さない事前提で生み出された継続シリーズが故かなと。
理由は正直良くわからないです。
冒頭でも書いた通りシンプルにシューズのセールスが奮っていないからなのか、はたまたキャリアの終盤に伴ってのクロージングなのか。もしかしたら序盤の契約で決まってたことなのかもしれませんし(PGはそう決まっていたという話を聞きますし)、昨シーズンはこっちのテイクダウンモデルを好んで利用していたからかもしれません。
真意は不明ですが、この流れはあまり良い方に進んでいるようには見えていないんですよね。
このモデル、実はかなり多色展開な力の入れ様で、メインモデルに取って代わるようなラインナップの仕方をしている様にも見えますし、”最後だから”の様にも見えており。もし最後なのだとしたら少し悲しみはあります…。
話を戻しまして、このOne Take 5は本当にテイクダウンモデルと呼ぶにはかなり豪華な仕上りしてるんです。
例えばふんだんに使われた天然皮革のレザー、例えば折り返しデザインの下に入れられたメッセージ。このカラーには別色のシューレースが付属していたり、後述の機能も然り。
ここまで力が入っているのであれば、ぜひラインの継続をしてもらえたらなーと説に願うばかりです…。
■フィット
では早速堪能させて貰います。
まずはラスト。正直これが毎回鬼門なんですよねRussのプロダクト。
なんだろう、私の踵の形状が合わないのか、毎回ヒールが”深い”と感じるRussモデル。
One Takeシリーズに関しては若干マシなんですが、このシューズでもやはり若干は感じます。
そのうえでのサイジング、
縦はジャスト〜若干短め・横は少し広め・高さ方向はメッシュ素材故に逃げてしまいやすくて大変という感じで、自分はハーフアップをチョイスしましたが、まずはマイサイズから試着を開始して貰ってソックス2枚やインソール交換も見据えて選択されるのが良いかと思います。
特に個人的には爪先部分が上方向に逃げてしまうのがどうしても気になってしまうので、これを潰せるようなインソール・ソックスの組み合わせを組みたくなります。
構造はスリッパブーティ。トゥボックスまで一体成型で、左右がウィングとして独立サポートする構造。
AJ1みたいな構造ですね。憎い仕上りです。
レースラインは全箇所アッパー貫通式のシューレースホール。
所々切り込みが入れられており、プレイ中のが動いても適切なフィットを維持しようとする工夫が見て取れます。
なんかちょっとWhy Not Zer0.2感も感じますね。
ヒールパッドは結構ボリューミーで踵に良く引っかかってくれます。
総合して。
スリーブに入れられたウレタンは他のテイクダウンみたいなクタクタするものでは無く結構コシのある素材でしっかりとした感触。
足入れに対してしっとりとまとわりついてくれる感触ですが、ラストがちょっとルーズ気味。
左右の独立アッパーによって中足周りはダイレクトなロックダウンを提供してくれますが、トゥ周りだけはどうにかして解決方法見つけるのが良いかと。
■ソールフィール
続いてソールフィール。
まずはインソールと底材ですが、唯一テイクダウンらしさを感じました。
インソールは薄めでのっぺりしたいつも通り。
若干サテンチックなサーフェスで滑る感があるので、とっとと変えてしまうのがオススメかなと。
底材もクッション追加などもなく素。
いやいいんです、余計な雑味不要の潔さ。
続いてミッドソール。
フルレングスファイロンフォーム+フォアにZoom Air。
Zoom Airはトップロードで、足裏にその感触を感じられます。
搭載されているZoom Air自体はフォアを広域にカバーするいつものタイプなので別に対した厚みがあるわけではないです。ただちゃんと武器になっており…。
まず大前提。
ここ近年のNikeミッドソールはCushlon・Reactが主流になってますよね。
基本的にはソフト・吸収寄りのフォーム特性で現行トレンドに沿っていと思いますし、それから比べると旧世代なファイロンフォームは反発こそそこそこあれど固く・吸収性も今一歩。まぁ故に安い訳でもあるんですけど。
One Take 5も例にもれなくお安いモデルですのでファイロンフォームが使用されていますが、これがまぁ心地よい。
前作ももちろんファイロンフォームだったんですが、フォームって成形方法・厚み・合成によってかなりの差が出るんですよね。
前作に比べてかなり固くなっている印象。
なので、吸収を求める方は避けた方が無難と思います。
※これは何度も話題に上げますが好みの話。個人的にはある程度の硬さがあったが方が足に変な力が入らず疲れ辛いです。
そこに組み合わされたZoom Airの”武器”という意味。
このファイロンフォームに前述の薄いZoom Airを組み合わせたところで、実は大した反発を発揮することはないです。どちらかというと吸収側に作用すると思います。
それをどう武器に昇華しているのか、それはZoom Airの直下、アウトソール側にTPUのプレートが1枚入っていることにあります。
通常のトップロードだとZoom Air部分に体重を掛けた時にボトム側にいるフォームに反力が逃げる嫌いがあるんですが、このOne Take 5ではプレートによりフロア側から・フラットにZoom Airへ反力を返ってくる状況で、かなりのレスポンスで押し返してくれる感触があります。
実は、最初はこのフィーリングこそが意味不明に足に伝わっていて理解出来ていなかったんですが、実際にプレイしてみると結構快適で。
トラクション。
トレッドパターンは基本的には全面シンプルなヘリンボーン。このあたりもクラシックさを踏襲してのことかと。
フォア側はシンプルな縦方向。中〜後足は斜め方向に走ってます。
グリップ力はこの時期で必要十分という感触。
変な粘りも無く扱いやすく、色違いによるグリップ差も特に気になりませんでした。
ただ、徐々に寒くなって来たこの時期、ちょっと埃は拾いやすめかもしれません。
破綻するほどスリッピーになるわけではないですが、適度に掃除されるのがオススメ。
バランスは若干後傾気味。
■重量
最後に重量。
26.5㎝で412.5g。結構な素材感の塊な感じなので少し重めなのは納得…なんですが、そうですか、G.T. Jump 2 EPと粗同じか…。(26cm/414g)
■Over All
ということで、以下に評価してみようと思います。
フィット … 6/10
グリップ … 7/10
ベンチレーション … 7/10
クッション … 7/10
コスパ … 9/10
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ALL … 36/50
率直な表現ですが
「うぉ!結構良い感じだ!言うなれば”Ja 1”のテイクダウンだなこれは!
…あれ、そもそもJa 1がそこまで高く無いからJa 1で良いか。」
でした…w
現行のバジェットモデルの中では珍しくハードな作り。
価格もセールに入ると1万円を下回り、パフォーマンスを考えるとかなりコスパは良い方と呼べるかと。但しトゥ周りの対策をしっかりとする必要はありますが課題はそこだけなので、そこさえ解決出来れば、硬質なソールが好みの方には十分に満足頂けるかと。
但し!改めて。
上記でも書いた通り、もう少し頑張ればJa 1が買えてしまうんですよね…。
寧ろカラーに拘らずセール落ちしたものだと価格が並んでしまうことも。
って考えると、積極的に選択する価値が…。
似た特性、Russ自身もかなりの強フィジカルで速さ・強さを持ったプレースタイルなので似た特性になっているのは割と納得の行く仕上り。
今作、かなり多色展開している&現在において次作の話が出てこないことを考えると今作がラストになってしまうんでしょうか…。
個人的には今作の仕上り的にぜひ自作も見てみたい所存。
テイクダウンシリーズだけでもRussのシリーズが継続してくれることを切に願います。