Book 1 EP Performance Review
やっとゲットすることが出来ました!
ただのパフォーマンスシューズを転売の標的にするの本当にやめて欲しい…。
いやー確かにこのシューズはオフコートでも映えるスタイリングではあるんですが、とはいえ一応ちゃんと”競技用”なので、競技で使用したい方に回ってくれたらなーと思います。
まぁ大元を言えば需要に対して供給をしっかりと準備できれば良いんですが、盛り上がりを見せているとは言えまだまだ市場の小さな日本。
準備数量に限りるのはまぁしょうがないかなと。(あれ、その為に予約という方式があるのでは…)
というわけで、今回は”Nike Book 1 EP”を見てみようと思います。
Book 1、サンズのスターSG Devin Bookerの1stシグネチャーシューズになります。
シグネチャーシューズを出せる基準がとても重たいことで有名なNike。Bookerにおいても、26歳という若さで3度のオールスター選出を果たし、サンズでも安定した高パフォーマーであることを評価されたことで、シグネチャーシューズのリリースにこぎつけました。
シグネチャーシューズはプレイヤーにとっての一つの夢ですよね。
このハードルの高さは、イコール希少性・ロイヤリティーを維持するメリットはありますが、現代においては他社、A社やP社、台頭するアジアブランドなどがガンガンシグネチャー込みの契約を勝ち取り続けている中で、優秀なプレイヤーを他社に取られてしまう懸念もありますよね。
これらを危惧してか、Nikeのハードルも少しだけ下がったようには見えています。特に昨年・今年においてはJa Morantと本シューズのBookerがシグネチャーシリーズに加わったのは新しい流れかなと思います。(Morantの個人問題はさておき…)
ブランドの維持とプレイヤーの獲得、トップシェアだからこその天秤の難しさは今後も続きそうな課題になりそうです。
話を戻しまして、このBook1。NBAプレイヤーは比較的多いと思いますが、例にも漏れずBookerもかなりのシューズマニアの一人。
Book1を作るに当たり、彼が求めたものは『未来のクラシック』というコンセプトとのこと。
この辺りはディティールの項目で後ほど触れていこうと思います。
では早速見て行ってみましょう。
今回チョイスしたのは”Barely Grape”という淡いパープルが特徴のカラー。
夏に爽やかなカラーですね。
このカラーからやっと準備数が取れたのか、Nikeから購入することが可能になりました。
■ディティール
ではまず外観から…というよりは色味から先に触れましょうか。
これ、他の方からも結構な件数で報告ありましたが”左右で若干色味が違う”という事。
もちろん個体差はあるんでしょうが、自分のシューズも確かに左右差があります。
これを品質が低いと捉えるかは難しいところ。
素材表記見てもらえるとわかる通り天然皮革らしいので、染め工程でムラができるは仕方ないのかなーと個人的には思っているところ。
確かに気になる人は気になりますよね。
今回のカラーは特に淡いカラーが故に余計に目立ってしまっているのかなと。濃色だったら多分あまり気にならないと思います。
もし気にされる方は濃色を狙われるのが良いかと。
話を戻しまして外観。
個人的にはかなりそそられるこのデザイン。
Booker自身が大好きなAF1やJordan 1、Blazerなんかをモチーフに「クラシカルとパフォーマンスの両立を目指した」というこのデザインコンセプトは個人的にはかなりどハマりしております。
オールドスクールなこの風貌、いやー普通に今の時代にも映えます。
そりゃそうですよね、今も尚Jordan 1やDunk、AF1が廃れない理由がないよりそれを表しているかと。
このカラーでは、スウッシュと履き口のところにパテントレザーを入れることで華やかなアクセントポイントになっています。
トゥボックスのこの仕上がり。
これだけで好きな人には萌えポイントですよね。
近年のモデルは1枚で立体的な形状を作ることができるようになり、またフィット的にも無駄がない構造化が可能になっていますが、こう言ったレザーの組み合わせを使った構造体の素敵さ・雰囲気が良いですよねー。
■フィット
では早速堪能させて頂きましょう。
まずはラスト。
ここ最近のNikeラストがまた変化しましたよねー。全体的に若干短めになった様に自分は感じています。
それはさておき、このシューズのラストにおいてはJa 1とほぼ共通と表現できるかと。
縦が少し短め・横幅は自然に足が広がる程度〜やや広め・高さ方向は高め。
マイサイズからハーフアップまでをみつつ、時間をかけて試着されるのがオススメになろうかと。
個人的にはトゥボックスがふっくら・丸いフォルムしていて上方向に逃げてしまうのが少し気になるところ。
構造に関して、ここで話をコンセプトに関してに戻します。
『未来のクラシック』ということで、”クラシカルな風貌に最新のパフォーマンスシューズの機能を”というのが基本コンセプトになります。これはKobeシリーズの”Protro”のコンセプトと類似しますね。
じゃあ、逆に”最新のパフォーマンス”ってなんなんでしょう。
AF1やJordan 1のスタイリングの時代から比べて現代はどの様に変化したでしょう。
・フォームやZoom Air、クッショニング素材の変化
・フルスリーブ構造やシューレース連動型のフィットソリューション
・アッパー素材の変化
・アウトソールのラバー配合比率変更のグリップ強化
ざっくりあげるとこのくらいですかね?
でもこれらって本当にパフォーマンスに大きく影響しているんでしょうか?
(蛇足:私がこの活動を始めた当時、「最新=最強」と思っていましたし、長期的にその考えがありました。ただ、さらに昔から活動されているクリエイターさんや皆様の知見、また復刻モデルに興味が出てきてトライしていく中で「あれ?現行モデルよりも良いのでは?」と思うこともしばしばあり、改めて履いてきたシューズと歴史、変化をみた時に『大きくパフォーマンスは変化していない』という結論に至ってしまいました。
誤解なき様、もちろん最新のテクノロジー、最新の素材による良さはあります。ただ、それらは局所的な課題の解決だったり、反面的なデメリットもあったりで、一概に「全てが良くなっている」とは決して言い切れない、というふうに感じているという理解です。)
そうなんです。蛇足はさておきで、一つのソリューションが全体に波及して、シューズ全体の機能が引き上がった!というソリューションって実は存在していないと思っています。
プレイスタイルが変わればソールの硬さの好みも変わり、軽さを求めれば反面的に耐久性は引き下がっているケースも有るわけです。
話を戻します。先に結論から申し上げると、『未来のクラシック』というコンセプトの元でクラシカルとパフォーマンスの両立を目指して作られた本作において、”最新のパフォーマンス”としてフォーカスされているのはソール周りのみ、になります。
その上で改めて、見ていきます。
構造は潔く、クラシックの王道であるシュータン構造。
シュータン下部がアッパーに縫い付けれているのみ。
アッパーは外側のレザーと内側のライニングの組み合わせ。ライニングは気持ち程度ですがクッションが当てられており、足あたりとスペースのを若干埋める効果を作ってくれています。
シューレースラインは全てアッパー貫通式のレースホール方式。Flywireなどフィットサポートソリューションは皆無です。
そうです、この通り構造はクラシックのそれのまま、です。
いや、これ決してネガティブな表現じゃないんですよ。
むしろ逆説的に、フィットに関して”これ以外に何が必要なんですか?”という意味でもあります。
マテリアル的に、特にレザーによる足馴染みでフィットが増してくる感触は寧ろ心地良いです。
ヒールパッドはボリューミーで踵をうまく抑え込んでくれます。
総合的なフィットに関して、ロックダウンは甲部分を抑え込んでくれて中足部に関してかなり好感触。カットラインはロー寄りのミドルカットという感じで、ヒール後端に対するロックダウンはそこまで強くないです。
ただ、ボリュームのあるヒールパッドで上手く引っかかっているので、抜け感で不安を感じる事は特になかったです。横方向だけは少し心許無く感じますが、及第点。
個人的なクリティカルはトゥボックスの高さの方で、このスペースをうまく殺し込むセットアップだけはしておきたいかなと。
そう考えるとグローバルラストや、ソックス2枚想定を基本とした方が満足度高いかもしれません。
■ソールフィール
続いてソールフィール。
まずはインソール。
結構立体的な形状で、Orthliteライクなブルーのよく見かけるインソール。
薄めながらしっかり反発感じられます。
底材にも1枚クッション。
それより、どちらかというとクラシックな製法による懐かしの”紐チラ”の方に萌えます。
さてさて、お待ち兼ねのミッドソール。
…なんですが、先に正直な感想を述べてしまうと、自分にはマッチしなかったです;。
セットアップに関して。
フルレングスCushlon2.0フォーム+ヒールZoom Airという組み合わせ。
ヒールのZoom Airはトップロード。
Cushlon2.0は間違いなくNike現行のスタンダードフォーム。
クラシックスタイルに現行のフォーム・特性を組み合わせているという点においては間違いなくコンセプト通りかなと思います。
ただ、前述の通りそれがアップグレードなのかダウングレードなのかは人其々。
特性としてはソフト・フレキシブルなフォーム。
現行のトレンドに則っていますが、個人的にアジャスト出来ない点の1つ目でもあります。
というのも、あまりソフト過ぎてしまうとダッシュの際の前・中足部の曲がり幅が大きくなってしまい初速が出し辛い&足が疲れてしまいやすいというのが実感で、もう少し固く・反力がある方が心地よく感じる為、です。
(再三言っていますが、これは好みの問題です。)
どちらかというと問題はこっちで。
大前提として、全体的にそこそこ厚みもあることから沈み幅も多め、ステップの衝撃の大半は何事もなく往なしてくれるかと、…が、2点程。
まず1点目。
ブレ抑止&ミッドソールの膨らみ防止の観点からか、アウトサイド側のミッドソールはケージされているのですが、その狙いよりもおそらくフォームが柔らかすぎてしまっているのか、エッジだけが立っていて足にフィードバックを返します。つまり角が足に刺さってきます。(刺さるというのは大げさですが)
確かにソフトなフォームでブレを抑止したい考えは理解できるのですが、クラシックが故に直角に近い角度でストンと落ちてしまう形状が災いしてしまった様に感じます。
現代デザインであれば大半はミッドソールデザイに丸みを帯びているのでこの特性は出ないかと。
2点目。
個人的にはこちらの方がクリティカルと感じており、なんなら故障に繋がってしまうかもしれないと危惧してるんですが、近年の方はあまり気にならないorクリティカルでは特性なんですかね?
それは、前述の通りソフトで厚みのあるフォーム+”外側は”ブレ防止の為ケージされている、の反対。つまりインサイド側はノンケージのミッドソールフォーム露出形状であること。
これによって何が起きるか。
母指球横はカバーされていない
=体重をかけるとそこが沈み
=基本的に回内気味
な特性であるということ。(ちなみにこれはLuka1でも似た特性があり、着用を見送った要素でもあります。)
なんだろう、股関節の柔らかさの問題なのか、自分はこの内転寄りのシューズを履くと膝に負担が入ってしまい、いつも以上に脚への疲れが出てしまいます。
確かに母指球にものすごいフォーカスをしやすい形状・構造ではあるんですけど、どうにも自分にはマッチしないんですよね。
それ以外は基本的に上で書いた通りでソフトで厚みのあるフォーム、大半の衝撃を殺してくれているので、吸収性を求める方には有りなのかなと。
アウトソールはクラシックモチーフの全面ヘリンボーン+ウェーブ上のグルーブが入ったもの。
この時期でも急ストップするということもなく扱いやすい特性かなと。
ホコリ付着しても結構安定してトラクションを維持してくれて、扱いやすいと思います。
■重量
最後に重量。
26㎝で382g。
AJ 35と全く一緒でした。
素材を考えると十分に軽量な部類かと。
(あれ、でもそう考えるとJa1の軽さが余計光るな…。26cm/340.5g)
■Over All
ということで、以下に評価してみようと思います。
フィット … 7/10
グリップ … 8/10
ベンチレーション … 6/10
クッション … 6/10
コスパ … 7/10
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ALL … 34/50
すみません、随分辛い評価になってしまったかも…。
(項目的にベンチレーションなど辛いポイントもありますしね…。)
結構期待値も高かったので、自分の中での落差が結構大きかったのでいささか申し訳無さも感じつつ、とは言え個人的にはこの数値自体が腑に落ちているというのが事実でして…。
モデル・仕上りとしては本人の狙い通りではあると思うんです。
何を隠そうBooker自身が特に好んで使用していたのはKobeシリーズ。
Kobeシリーズのフレキシビリティな特性を自身のモデルにも採用し、
また自身の趣味でもあるクラシックなモデルのモチーフと上手く融合することを狙ったコンセプトはとても意欲的。
また、プレイヤーとしても大きく影響したというのは周知の事実でもあり、コンセプトのヒント・エッセンスとしてはKobeシリーズで展開された”Protro”のそれと全く同じ概念でもあります。(Kobeは自身のシリーズだけでそれが出来ますが)
そういった面でも、一種、Kobeイズムを継承したプロダクトの1つなのかなーなんて思ったりもしています。
今作の特性こそ自分のそれに合わなかったのですが、彼自身のキャリアとしてはこれから上り調子=これからもシリーズ継続されるでしょうし、
何と言ってもスタイリングの良さがこのモデルの一つの魅力でも有り、寧ろオフコートでも格好良い事もあって、この系譜・コンセプトが継続される事を期待しています。
…できたら、特性も合うモデルが出てくれたら歓喜します!
といった感じで、ちょっとキツ目にはなってしまいましたが、引き続き期待値は高めですので、引き続き今後の動向を追っていければと思います。