G.T. Cut Academy EP Performance Review
G.T. Cut がいつのまにやら一気にNikeのメインストリームに躍り出ましたね。
Greater Thanシリーズ、Hyperdunkが終了した今Nikeにおけるフラグシップの新しい形として展開されるこのシリーズは、今のバスケでの多様化したプレイスタイルに合わせて、3つの選択肢からチョイスできるという新しいアプローチ。
おそらく最初は実験的プロダクトだったのではないかなと自分は感じていて、Hyperdunk以降シリーズをうまく育てられなかった&シグネチャーラインも”様々な問題”でセールスが徐々に陰りを見せていた中で、そうそうにフラグシップモデルを再興し、セールス基盤を作りたかったと思います。
(その実験で3パターン準備できるところNikeの大きさも感じますが)
そんな中始まったGreater Thanシリーズ。特攻隊長を務めたG.T.Cutは、これまで長らく不在だったインサートシステムを採用&NBAプレイヤーから高い人気を誇っていた(というより、それを履いて育成年代を越してきた)”Kobeシリーズ” Likeシューズということで、一気に人気を爆発させ、ここ日本でもべらぼうな価格で二次流通したのも懐かしの思い出。
それに続いたRun・Jumpに関してもかなりの話題性があり、結構なセールスを出せたのではなかろうかと。
とはいえ、Cutに比べると大きく差が開けられ、”Run”は”Hustle”という名称で再リファイン、”Jump”に至ってはモデルの顔だったJokicを失い、Townsや他のプレイヤーによってセールスを引き上げられるかが継続できるか否か一つのカギになりそうです。
話が大分それてしまいましたが、Cutの話に戻りまして。
Cutにおいては2ndモデルにおいても継続して高い人気を誇り、ついにはテイクダウンモデルにフォークする段に来ました。
こう見ると、長らくPF,SG向けにHyperdunkを販売していたのに、”ガードプレイヤー向け”として定義したCutが圧倒的人気を誇っている現状に市場の時代の流れを感じます。それ程までに”ポジションレス”が進んだのか、と。
という訳で、今回はGreater Thanシリーズ初のテイクダウンモデル
”Nike G.T. Cut Academy EP”を見てみようと思います。
Academyというくらいですから、どちらかというと育成年代向けモデルといった方が正しいでしょうか。
初めての1足に丁度良い価格。性能は果たして。
今回選んだのは初期カラーのブラックxグリーンストライクのカラー。
地味にGreater Thenシリーズのプレスイメージに一番近い配色なのがこのテイクダウンモデルという、なんとも、なんとも。
■ディティール
では早速見させて頂きます。まずは外観から。
これまでのG.T. Cutシリーズのシルエットを落とし込んだスタイルに仕上がっているなーと。
ヒール後端の張り出しの少ないぽてっとした部分とか、すごく特徴を掴んでいるな、と。
特に現行のG.T. Cut 3の雰囲気をうまく盛り込んでいますね。
質感は正直チープ。というよりバジェットなり。
それでも刺繍でパターンを作っていたり、その刺繍も途中で色を変えていたりと、芸の細かい仕上がり。
過剰な装飾など不要な人間からしたら十分な仕上がりです。
アッパー全面はメッシュ、シューレースホールだったり局所局所でレザーによる補強が入ってます。
■フィット
では堪能させて貰います。
構成としては、ハーフブーティーにアッパーがを重ねる構造。
バジェットモデルの大半がスリッパのように中足部から前のみをブーティーにしてること多い中で、前後連結されたブーティーを採用してるところに結構力を入れて作ったんだなーというところを感じます。
EPラストではありますが、縦幅はジャスト・横幅はジャスト〜ほんの少し広め、高さ方向だけ注意。
箱出し状態ではジャスト〜少しタイト目くらいなんですが、使用していくとインソール&ミッドソールの沈みによって少しずつクリアランスができていく感覚。
試着する際はその点も踏まえてマイサイズ・ハーフアップまで様子を見たうえで、ソックス2枚を基本少し時間眺めに取って様子見てみてください。
ヒールパッドはバジェット成の控えめのパッド。
ヒールを引っ掛けるには十分なので抜け感はそこまで感じられないのですが、どちらかというと横方向に対する剛性が少し心許ない感触。
シューレースホールは全段アッパー貫通式。各ホールに補強等は特に無く、またフィットに関するソリューションも特に無し。
ロックダウンは全体的に均一に抑えてくれる感触なので特に不満はないのですが、ここでもやはりサポートが少し心許なく感じます。
特に横方向の動きに対して不意に少しだけ逃げるよう感触があって、それだけが少し気になるところ。素材・価格を考えるとこの辺りは致し方ない所なのかなと。エントリーモデルとしては十二分ですし。
■ソールフィール
続いてソールフィール。
インソールは他のバジェットモデルにも採用されている青いフォームのちょっと厚め・序盤だけ少し硬めのもの。
ヒール下にロゴ入れてることが多いですが、G.T. Cut Academyに関しては何も無し。何も無し!!
潔い!とも思いつつ、少し寂しいとも思いつつ。
底材に薄めのクッションが1枚。
この点は他のバジェットに比べてコスト掛かっている部分かなと。
お待ちかねのミッドーソール。
結論から言うと…少し癖が…。
構成としてはダブルレイヤーフォーム+フォアフットZoom Air。
フォームに関しては言及ないですが、ヒール周りはRenewのフィーリングに似ていますし、Zachさんもそう言っているからそう言うことでw。
ダブルレイヤーがどうなっているかも紹介してくれていますので、是非みて見て下さい。へー、こうなっているのかな…。
感触的には全体的に柔らかめなフォームに乗っている、と言う感触。
そこにダブルレイヤーがどうこう、と言うのは一部以外は余り感じられず。
一部、と言うのはヒール。
特にヒールから入るステップは注意してください。大きく沈む。
また、このヒール後端の柔らかさはデザイン的にヒール周りを敢えて張り出さなかった事によって余計に助長、と言うより言葉選ばずに書くならば安定感を下げている要因とも言える感触。結構グラつくフィーリングが顔を出すのでこのあたり大きく好みの分かれるポイントかなと。
フィジカル強めで恒常的に潰してプレイされるプレイヤーには特に問題に感じないと思いますが、ウェイト軽く・ポイントでヒールを使うようなプレーをされる方は要注意してください。
フォアのZoom Airはボトムロード。
確実に”乗ってる”感を感じますが、感触としては少し薄めに感じます。
また、個体差かもしれませんが2回使った以降、ぎゅむぎゅむ言う様になりました。
フォーム越しに踏む感触なので結構マイルドに感じます。
反力の立ち上がりも穏やかめ。吸収の一番深いところでポンと帰ってくるイメージ。比較的コントロールしやすく、とっつきやすい仕上がりになっているかなと。
そして、もう1点の癖どころはこのフォアズーム。
基本的に後継のバランスでヒールが残ろうとする感覚。フォア起点で動きたい人間なので、ヒール厚めのインソールと組み合わせて少しフラットよりにバランスを整えたいところでした。
アウトソールは全面ヘリンボーン。
各パターンは細め。少し粘る特性のラバーで結構埃を拾いやすい感触。
特にこの時期は早め早めで拭って上げると良い感じです。
■重量
最後に重量。
26.0㎝で311g。
バジェットらしいというか、Flytrap 4(26cm/310.5g)やWitness 3(25.5cm/314.5g)何かと同じクラスで、現行ラインナップでは最軽量クラスかと。
■Over All
ということで、以下に評価してみようと思います。
フィット … 7/10
グリップ … 7/10
ベンチレーション … 8/10
クッション … 8/10
コスパ … 8/10
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ALL … 38/50
1stモデルとしては十二分の性能を持っているし、プレイを続けてきたプレイヤーでもある程度満足のいく高いコストパフォーマンスを誇るシューズと呼べるかと。
若干後傾のバランスとヒールの柔らかさに気をつける必要はありますが、そそれ以外は総合的にバランスよく仕上がっているのかなと。さすが”Academy”と付けるくらいはあるな、と。
このクラスでこのレベルなんだとすると「お値段はるモデル」のハードルはもちろん上がるわけで、それに見合ったバリューがあるのか、本当によく考えさせられます。
そういう意味ではNikeも若返りの段に来ているのかもですね。Ja 1然りBook 1然り。もちろん1stモデルなのであまりコストを掛けられないというのはあるかもしれませんが、必要な機能を必要な分だけ搭載し、低価格で抑えている&ハイパフォーマンスを叩き出せてしまっている所から履くシューズをしっかり選ぶことを考えさせられます。
おそらくフラグシップのG.T.シリーズはこれからも継続されるでしょうし、それに応じたビギナーモデルもしっかり育ててくれると思いますんで、今後にも期待しておこうと思います!