Zion 3 PF Performance Review
本人が怪物であることは間違いないんですが、如何せんあそこまでバルクするとやっぱり無理もあるんですかね…。
圧倒的フィジカルでリム周りに関しては粗敵無しと言っても過言無いザイオンウィリアムソン。
高いバスケットボールIQとボールハンドリングもあり、プレイヤーとしての期待値が高いですし、チームの中核を担う得点源でもありますが、如何せん怪我が絶えないのが勿体無いところ。
今期はシーズン通して70試合に出場し、やっとシーズンを終え得つつその流れでプレイオフでの活躍を期待させてたのですが、プレイイントーナメントでのレイカーズ戦、最終盤にハムストリングの怪我で戦線を離脱。
やっとプレイオフザイオンが観れると思った矢先の出来事に、NOP陣営も大打撃だったことでしょう。
NOPとの再契約においても体重制限がつく位規格いっぱいのバルク量にすでに達しているんだと思います。
今季は積極的に減量にも挑戦しており、これでもかなり絞ってきたんですけど、結果的に足が悲鳴を上げる結果に。
ベンチに戻ったザイオンの悔しそうな仕草が今も頭から離れません。
器用に相手を翻弄しつつ、あの体躯を生かしたブルドーザーの様なプッシュ、あのザイオンらしいプレイスタイルの終着点を引き続き模索して欲しいところ。
話戻しまして、そんなザイオンのシグネチャーシューズも3作目に突入。
Zion 1/2共に試着はしていたんですが、PFのZionモデルのラストに自分が合わせることが出来ずなかなかトライすることが出来ませんでした。
今作は打って変わって…というか大きく変わりすぎて、「寧ろPFってなんだっけ?」みたいなラストではありますが、やっとプレイできそうなシューズになりましたので、今回やっとザイオンモデルをトライするに至りました。
という理由で、今回は”Jordan Zion 3 PF”を見てみようと思います。
これまではどちらかというとボリューミー寄りのスタイルだったかと思うんですが、今作は打って変わってThin&Minimalな仕上り。
特に、最も大きなトピックとも言えるインサート化がどの様な仕上がりになっているのか注目です。
では行ってみましょう。
今回チョイスしたカラーは”Fresh Paint”と呼ばれる、ホワイト基調にセメントグレーのアウトソールがシンプルかつシックなカラーリング。
個人的には一番好きなカラーだったんですか、めっちゃ余っているのかべらぼうな価格でセールで配られてますよね…。
■ディティール
まずは外観から。
イン・アウト、比較的対象に揃えられたデザイン。
インサートモデル独特のミッドソールが無いスタイリングは本当にミニマルで大好きなんですよねー。
特にこのカラーウェイのシンプルさが、余計にミニマルさを引き立てているように自分は感じています。
Zion 3もかなりの多色展開で、特にアッパーの特徴的なパターンに色を入れるか・入れないかで全く印象が変わりますが、個人的には同色で仕上がっているタイプのカラーウェイが大好物。
このカラーはセメントグレーのアウトソールの仕上がりがなんとも言えない風合いで、オフコートでも映えてくれるかと。
他、特徴的なのは大きく盛り上がった中足部。これがどの様な効果を生んでいるのか、あのマッチョをどのように受け止めるような工夫があるのか、迚も興味津々です。
サイドシルエットはアイコンすらも廃したシンプルな仕上り。
対してヒールに大きなZionロゴでインパクトあります。
刺繍で出来ており、高級感が合ってとても良い感じ。
■フィット
では早速堪能させて貰います。
まずはラストですが、まぁー賛否両論でした。
でも確かにこのラストで履ける人ってかなり少ないんじゃ…。
個人的にはこれまでのZionラスト…というよりZion シリーズのPFラストとのマッチングがかなり悪く、縦が長い&高さ方向に大分余ってしまった関係で着用出来なかったんですけど、今作はなんといっても”細い”。
私達のコミュニティーの周りは結構グローバルラストの方が好みのという方が多いと思うんですが、だとしても多分履ける方限られたんじゃ無かろうかと。
根本的な仕上り的に細いんだと思うんですが、それに拍車をかけるようにインサートの特有の土手、特に小指側のプッシュ感があるので、体感更にタイトに感じられると思います。
幸い自分はこの横幅でも問題有りませんでしたが、事前にこの辺り良く確認しておく必要があるかと。
幸いにも結構なセールス期待があるのかカラーウェイも豊富ですし、かなりの店舗でディスプレイ実施してくれていますので、現物を見るのは難しく無いと思います。
その他、縦寸が少し短め&高さは粗ジャスト〜少し空間有り。
総合して、まずはハーフアップから試着を開始されるのがオススメです。
構造としてはフォア側とヒール側が接続されるブーティーではなく、スリッパのように前後分離してる構造。
各シューレースラインの間隔が狭く、開口幅が思ったより開いてくれ無い+表面にファブリックの貼られていないフォーム直接地のインサートなのでソックスが突っかかりやすく、少し足入れはし辛い方かと。
一度足が入ってポジションが決まってしまえば快適で、剛性感のあるフューズ系のアッパーと巻き上がったフレーム、ヒールパッドも相まってサポート感の高さを体感できるかと。
特に個人的に一番好印象だったのは外踝下部付近のスペース殺し込具合。
ここのフィットがプアだと外蹴り出しの時かなり不安を感じるので、ここがしっかりと抑え込んでくれるシューズはすごく好みです。
特にこのシューズは外側中足部付近にもアウトリガーを設けられつつ、インサート側でも巻き上げてサポートされており、これも相まって接地感と安定感の高さが際立っています。
大きく張り出したヒールパッド。
これによってスペースの殺し込に一役買っています。
また、ヒールエンドのラインが結構高めに設定されている&サイドフレームがヒール周りをしっかりサンドイッチしてヒールカウンターの役割も担っているので、ヒール横ブレはかなり抑制されています。
フィッティングソリューションは特になし。全段アッパー貫通式のレースホール。
アッパーは厚みのあるフューズ系の材質に、力のかかる部分へマッドスプラッター柄のTPU補強が入っている独特(毒々)な見た目。Kobe 7の毒ガエルを思い出します。(このパターンのところに色を入れる・入れないでかなり雰囲気が変わりますよね。)
ちなみにSPモデルは刺繍でこれが再現されてたりして、これまた違った雰囲気。
あ、ちなみにスタイリング的にローカットに見えますが、フィッティング的にはミドルカットに分類されると思いますのでその点ご注意の程。
■ソールフィール
続いてソールフィール。
今回の肝はこのインサート。
Fomula 23フォームをベースにフォアボトムにZoom Airを組み合わせたインサート。
シャンクもインサート側にセット。
Fomula 23フォーム、Luka 1やJordanシリーズに搭載されているのを試着レベルで履いた・触った感触的にもう少しドライで柔らかい印象だったのですが、今回直接乗ってみると大分印象が変わりました。
沈み幅は結構ありますが、深いところでしっとり目のコシを発揮してくれている感触。反力自体は比較的ゆっくりで大人しめですが、ピックアップは取りやすい感触。
フォアのZoom Airは比較的薄め。ボトムにセットされており、Fomula 23フォーム越しに押す&返ってくる感触でレスポンスはマイルド寄りですが、こちらも反力のテンポは取りやすく感じました。
結構厚めのインサートでフロアからは少し離れている感覚ですが、フロアの感触は掴みやすいです。
というか、恐らくですが本来のフィーリング的にはもう少しフィジカルマッチョな方が常時潰しながら乗るものの様にも感じます。
そう考えると、踏んでからのレスポンスがゆっくりに感じる部分というのが納得行く部分。
重量・筋力が足りない悲しみ…。
自分の様に体重軽い&もっと早めのレスポンスが欲しい方はもっと良い選択肢あると思います。(Ja 1とか)
インサートモデルの泣き所は、屈曲の際に中足部が付いてき辛いところ。
Zion 3に関してはシャンクでしっかりとフォローしてくれているので、その感触はあまり感じなかったです。
ただ、SPモデルに搭載されてるフルレングスZoom Airのモデルの方が試着した感じ更に足に付いてくる感触有りました。
あっちはフルレングスZoom Air搭載が故にシャンク非搭載なのですが、フルレングス故の曲げ剛性がしっかり仕事してくれてる感触でした。
底材…と言っていいのか、アウトソール直上にクッショ等当り調整の素材は特に無し。
Kobe 11の様にクリアパーツのではなく、ファブリック1枚敷かれており、Fomula 23等の印字が入ってます。
なんか隠し要素みたいで結構好きです。
アウトソールはヘリンボーンとサークルパターン。
トラクションが個人的には唯一の泣き所になりました…。
もちろんフロアのコンディションもあるんでしょうけど、止まりにくい…。
XDRだから余計なのかラバーが硬めで粘りにくい材質で、グリップ限界が低い感触。
体感的に硬化し始めてるラバーアウトソールのシューズを履いているような感触でした。
埃も拾いやすく、1ポゼッション毎に拭いてないと不安に感じてました。
幸いなのは、根本的に接地面積自体は広いのでクリティカルに抜けきってしまうということは起きませんでした。
でも欲を言わせてもらえるならば、この広い接地面積・形状を活かしつつ、強グリップを発揮するラバーが付いていたらもっと好みだったのになと。
形状見てもらえると分かる通り、こんなに節々にアウトリガー出てるかなり拘りもったものをもう少しちゃんと堪能したいなと。
■重量
最後に重量。
26.5㎝で369.5g。
Nikeインサートモデルということを考えると少し重めの設定、とはいえ現代シューズの中では軽量〜中量レベル。
Kyrie Low 3なんかと親い重量感です。(26.5cm /371g)
■Over All
ということで、以下に評価してみようと思います。
フィット … 8/10
グリップ … 4/10
ベンチレーション … 7/10
クッション … 8/10
コスパ … 6(7)/10
-----------------
ALL … 33/50
項目の問題だったりグリップの問題もありスコアとしては低めの値となってますが、個人的にはあまりネガティブな印象ではなく、寧ろ意欲作に映っています。
欲を言うならXDRじゃない通常ラバーのものを試してみたいです。パッとみてる感じSPモデルの方がXDRの表記がないので(表記してないだけかもですが)、状況見てもしかしたらトライするかもしれません。
そのくらいには、特性としては個人的には結構気に入りました。
雑な表現ですが、特にKobeシリーズ、とりわけ11を好んで利用されていた方には結構嵌るかもしれません。外側中足部にアウトリガーを入れてるモデルというのはそこまで多くなく、しかもインサートモデルであることも相まって、ミドルカット版Kobe 11というのが最終的な個人見解でした。
これまでのZionモデルの流れから考えると大きく方向転換した本モデル。
リークを見る限りこの方向性は継続されそうで、そう考えるとマイルストーン的なこの3を一度試してみるのも悪くないかもしれません。
多色展開したこともあり結構セール幅も大きいですしね。
…ただ、トラクションだけ、そこだけ十分にお気をつけください。
存分に”Shock The World”を感じられたので、自作も楽しみに待っています。