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できる人はみんなやっている?「良い問いを立てる」質問力の鍛え方を一流科学者たちに学ぶ
はじめに:思考の道具を授ける本
今回ご紹介するのは、思考に役立つ道具を授けてくれる という一風変わった本についての考察です。この本は、単に実用的な知識を提供するだけでなく、世界の見方 や 人間とは何か という根源的な問いに対する解像度を高めてくれるとされています。最先端を行く科学者たちが、それぞれの視点から世界をどう捉えているのかを知ることは、私たち自身の思考を深める上で非常に有益です。
良い問いがすべてのはじまり
この本で特に強調されているのは、良い問いを立てることの重要性 です。良い問いが生まれれば、自ずと良い答えが見つかる、あるいは新たな研究の指針が決まるとも言われています。
たとえば、筆者は自身の例として、「脳が生きているとはどういうことか」 、 「脳を理解するだけで脳は理解できるのか」 、 「脳など必要か」 といった問いを挙げています。これらの問いは、一見すると答えのない哲学的な問いのように見えますが、これこそが次の研究へと繋がる重要な問いなのです。
問いを立てる読書術
また、問いを立てながら本を読む という読書術も紹介されています。これはSQ3R法という学習法で、漫然と読むのではなく、「この本を読むことで何を解きたいのか」 という問いを常に持つことが重要です。そして、読んだ内容を自分の言葉で説明することで、理解が深まるとされています。
科学的概念を日常言語へ
この本では、科学的な概念を日常言語に溶け込ませる試みがなされています。たとえば、「市場」、「プラセボ」、「無作為標本」、「自然主義的誤謬」 といった言葉は、科学的な文脈だけでなく、日常会話でも使われるようになっています。これらの言葉は、私たちが世界を認識する上での 「手軽な抽象表現」 として、思考を一段階レベルアップさせてくれるでしょう。
本書の問い:人々の認知能力を向上させる科学的概念とは?
本書では、151人の科学者に対して、「人々の認知能力を向上させ得る科学的な概念は何か」 という問いを投げかけています。この問いに対する答えは多岐にわたり、それぞれの科学者の専門分野や視点によって異なります。
認知能力が向上する とは、今まで見えなかったものが見えるようになり、今まで分からなかったことが分かるようになる ということです。つまり、世界をより高い解像度で認識し、より深く理解するための道しるべとなる概念を探求することが、この本の目的と言えるでしょう。
まとめ
この本は、単なる知識の集積ではなく、私たちが世界をどう捉えるか、そしてどのように思考を深めていくか という問いに対するヒントを与えてくれます。科学者たちの思考プロセスを垣間見ることができるだけでなく、私たち自身の思考力を鍛えるための良い機会となるでしょう。
良い問いを立てることが、思考の第一歩である
科学的な概念を日常言語に取り入れることで、思考の解像度を上げることができる
認知能力を向上させるとは、世界をより深く理解することである
この本を手に取り、あなた自身の「良い問い」を探求してみてはいかがでしょうか。
次回予告
次回は、この本の翻訳者による「あとがき」を読み解き、さらに深くこの本の魅力に迫ります。