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SXSW 2018 レポート vol.1

今や世界最大と言っても過言ではない、サウス・バイ・サウスウェスト(SXSW)に参加してきました! 現地の様子を2回に渡ってお伝えいたします!


SXSWとは?
テキサス・オースティンで開催される音楽・映画・インタラクティブのトレードショウ(見本市)。Twitterなどが紹介されたイベントとも知られ、世界中から4万人近い来場者を誇る。2018年は3月9日から16日まで1週間に渡り開催。街中で音楽ライブや企業主催のパーティーなどが開催され、街全体がお祭りとなる。https://www.sxsw.com/


いくつか興味深いセッションに参加しました。Vol.1ではその様子をお伝えします。

【Film + Storytelling in a Politically-Charged Era】
本セッションのパネリストは、National Geographic、RYOT Filmsなど数多くのドキュメンタリー作品を手がけた会社。人々に何かしらのアクションを起こす作品を作り続けている制作者たちによる、ドキュメンタリーの被写体やストーリーの考え方など、興味深い話を聞くことができました。印象深かったのは、ドキュメンタリーを作る上で考えるのは、観客に答え(Answer)ではなく、疑問(Question)を残すような作品を作り続けたいという言葉。人々に「考える」という行為を与えることによって生まれる観客とのエンゲージメントは、ストーリーテリングだからこそできることなのかもしれません。

【Beyond Ads: Become Entertainment 】
このセッションは参加した中で一番興味深いセッションでした。秋の上映会でも上映したHPの『The Wolf』を手がけたNYのクリエイティブエージェンシーGiant Spoonの共同設立者Jon Haber氏、カンヌライオンズ フィルム・クラフト部門でゴールドに輝いたヴェルナー・ヘルツォーグ監督作品『LO: インターネットの始まり』でプロデューサーを務めたRupert Maconick氏、ゲータレードが陸上選手のボルトの幼少期を描いたブランデッドムービー『The Boy Who Learned to Fly』を手がけたJohn Deschner氏(TBWA\Chiat\Day LAのCIO)、モデレーターはLemonadeのJody Raida氏とBranded Entertainmentを語るには素晴らしい顔ぶれ。

冒頭から「ブリーフィング」の重要性、「ブリーフィング」からいかにクリエイティブジャンプを成功させるか、の質問が投げかけられました。広告とエンターテイメントの違いは、クライアントの伝えたいメッセージや商品からクリエイティブを組み立てる「広告」と、観客が楽しむためにはどうするべきか、という疑問からクリエイティブを作り上げる「エンターテイメント」。この違いが、結果として制作されるBranded Entertainmentにも大きな影響を及ぼすのは明らかです。

プロデューサーの視点からクリエイティブプロセスの事例として、Rupert Maconick氏が手掛けたヴェルナー・ヘルツォーグ監督のドキュメンタリー『Lo: インターネットの始まり』が話題になりました。BtoBのネットワーク会社NETSCOUTの出資により制作された本作品。カンヌライオンズでの受賞のほか、ドキュメンタリー作品として評価を受け、、サンダンス映画祭でのプレミア後には配給が決まり、Netflixで配信などされています。
そもそもヘルツォーグ監督は「広告」には全く興味がなく、あくまで彼自身の「インターネット」に関する考え方を作品として制作されたそう。クリエイティブに関する制限もなかったことで、彼自身の作家性が存分に発揮された作品です。その結果、本来のBranded Entertainmentの枠を超えた展開に繋がり、配給などがつくことでクライアント自身にも還元があった実例として紹介されました。

Branded Entertainmentは、決して大企業だけのものだはありません。質疑応答ではマイノリティ向けの美容製品を扱うビジネスを展開している女性から質問が上がりましたが、パネリストたちが口を揃えて言ったのは、どんな商品・サービスでも伝えたい「ストーリー」があるか。それによって無限の可能性が広がっているといい続けていました。



vol.2では、SXSW 全体の様子をレポートします!