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河童巻き【読切超短編小説】

江戸時代、とある村。
いつの時代にも、
寂れた村は存在していた。

これといった特産も、産業もなく、
このままでは村が潰れてしまう。
そこで、村長。
妖怪探し大会で、村おこしを企画する。

修学旅行や遠足がそうであるように、
必ずイベント事には
下見というものが存在する。

例に漏れず、村中で、
河童探しの下見兼、リハーサルが行われる。
このイベント、村の存続がかかっている。
村人全員、必死で、隅々まで見て回り、
妖怪探し大会に最適なロケハンをしていた。



すると、江戸時代の話。
あろうことか河童が見つかってしまう。

これは非常にまずい。
いるかいないか分からないから
人が集まるというもの。
本物がいるとバレると全て水の泡。

村の存続がかかっていた。
発見した数人で、殺してしまった。
秘密は外に漏らさないほうがいい。
残りの村人にもできれば秘密にしたい。

苦しい言い訳だったが、
これは亀の肉だということにして、
ぶつ切りにして茹でて、
海苔にでも巻いて食べたらどうか。



村人達全員が、それを味わった。
急なご馳走。とてもおいしかった。
ただの亀の肉のはずなのに、
何やら恐ろしいパワーが湧いてきた。

形を変えて、後世に伝わるその料理は、
かっぱ巻きと名付けられたそうだ。



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