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七夕物語【読切超短編小説】

織姫は悩んでいた。
結婚して3年が経とうとしていた頃、
ある問題が浮上したのだ。

結婚するまで、分からなかった、
夫の性格。
分かりやすくいうと、
彦星はDVを繰り返し、
アルコール依存に陥っていたのだ。

考えてみれば無理もない。
彼はただの牛飼いだった。

なのに結婚した相手は、
世界を統べる天帝の娘。
育った環境が違いすぎたのだ。
自分の価値観を、理解できるはずもない
次第に自分が惨めになっていく感覚。
ついつい酒に手をつけ、
妻を蹴り飛ばし…





ある日、鏡に映る自分を見た織姫、
ついに決断する。
もうこれ以上は耐えられない。
天帝に頼んで、離婚させてもらおう。



頼まれた天帝、非常に困ってしまう。
普通の庶民の離婚ならともかく、
私は世界のトップ、天帝なのだ。

私が認めた結婚で、
DV夫を婿に選んでしまったとなれば、
周りに示しがつかず、
天帝の地位も揺らぎかねない。

天界の大勢が、天帝の座を狙っていた。
少しでも地位が揺らぐ事、
それは天帝本人だけでなく、
一族全員の死を意味しているのだ。

かといって、愛する娘の頬の傷を
見逃すことはとてもできなかった。



そこで天帝、一計を講じる。
「理由はよく分かった。
 しかし、離婚だけは思いとどまってくれ
 私にも、立場というものがあるのだ。

 天の川というものを作り、
 1年に1度だけは、会う事にしよう。

 7月7日はほとんど雨だし、
 多くても会うのは、
 3年に一度くらいで済む。
 いい距離感ができるじゃないか。

 理由は、2人が愛し合い過ぎて、
 仕事が疎かになったとか、
 適当に取り繕ったらいい…」





7月7日の夜、短冊に願いを書いた、
沢山のカップルが星を見上げて言う。
「私達、織姫と彦星のような、
 そんなロマンチックな2人になろうね…」


【後書き】

この話の元ネタは、敢えて言うなら、

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224字

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