重箱の隅をつつく-14: 醜美の基準
またまた「Racing on」ネタで恐縮、それも21頁のCooperの文章の中「最も醜いF1と酷評され」と書かれた一文が琴線に触れたのだ。元々はかなり前のCar Graphic(CG)誌の文中にあり(写真提供のDavid Phippsの言)、Cooperファンにとっては「ホントかいね」となったのを覚えていたのが切掛け。
CooperはJochen Rindt好きが嵩じて1966年のBelgium GPで2位となったT81を入手、次いで自分的には1番好きでRindt本の表紙も飾った67年のDutch GPを走ったホイールが黄色のT81B。
ここまでくるとJohn SurteesのMexico GP WinnerのT81は外せない。(この他"Richie" GintherやChris Amonのモデルもあったがパスしたら今はどこにも無い)
67年は前述のT81と上記「最も醜い」T86が結構遅れて発売された、このT86はCooper特徴の2本の白線が無い。(そのため醜く見えたか!)
68年、T86Bの全車入手はフリークとしては当然であろう。この中でNo.16はごく最近67年の醜いT86入手時に一緒に発売されたモデル。この68年英国GPのドラーバーはRobin Widdowsという名、F1GPはこの1戦のみの参戦、結果はイグニッショントラブルでDNFの憂き目であったが、彼は同年のオリンピックにボブスレーの選手として出場したという珍しいキャリアでモデル化されたものか。
その様な選手は過去に6人存在、有名なのは4+1年JordanやMinardi、WilliamsのF1レギュラードライバーで参戦、優勝は無いが1993年Lotusで6位入賞の実績があるAlex Zanardi。CARTでは2度のシリーズチャンピオンとなり、パラリンピックにはハンドサイクリング部門で優勝した。
閑話休題、最近入手したモデルは今回題材の「最も醜いF1」の車、67年のイタリアGP(Surtees が駆ったHonda RA300が優勝)に参戦し、Rindtが駆って予選11位で決勝は1位と56秒差の4位入賞となったT86、2位はBrabham、3位Clarkであった。
さて、最近のF1は醜い(と感じる)(Hondaはご祝儀で集めているに過ぎない)、スマートな車が速いとはいうものの、過去にFord P68やChaparral 2Hの例もある様に、早く走らせようとすれば種々の付加物が付いたり、格好がまるで変わったりするのは世の常、F1が今の様なスタイルになるのは致し方ないとはいえ、67年のCooperはそれほど醜いとは思わないのはフリークだからか。
参考文献
Alan Henry (Phot: David Phipps) Jochen Rindt Hazleton Publishing 1990 England