レアモデル列伝-32 種々の本に1枚の写真もない(?)モデル
Can Amを含めレース関連の洋書は数十冊以上所有している。その中には優勝はおろか上位入賞もない車なのにどの本にも1枚は写真が載っているモデルが何台かある。
例えばCaldwell D7「レアモデル列伝-9:Sam Posey & Caldwell D7」、例えばMatich SR3「レアモデル列伝-6:Matich SR3 Frank Matich Can Am 1967」、Can Am参戦はないがNassauやRiversideでの写真が数々あるFord X1などが挙げられる。
しかし、これらの本に全く写真がない車のモデルを入手したので供覧する。
1973年のWatkins Glen、Scooter Patrickが駆ったMcLaren M8Fがそのモデル。
McLaren M8Fは71年をシリーズ1・2位で飾ったレースカー。72年にM20を開発、M8Fはプライベートチームに放出、72年の第6戦ではワークスのM20やPorsche 917-10を相手にFrancois Cevertが優勝したことからも、その素性は素晴らしいと考えられ、有力プライベートが挙って購入した。73年は72年程の活躍はしていないが、それでもプライベートは魅力に映った様だ。
Scooter Patrick
結構な年数のCan Amのレース、有名処ではMario AndrettiやJim Hallも1勝すらしていないが、Scooter Patrickは第1期のCan Am最終戦で優勝の経験がある。
興味のある方は筆者が記したnote「事実は小説より奇なり-6 たかが1勝、されど1勝」の一部にあり、ご一読願いたい。
さて、その戦績だが、モデルとなった73年のWatkins Glenは第3戦、予選12位で決勝10位、変わった車での出場ならまだしも、これでは大手モデルメーカーのモデルにならないのは当然だ。73年は初戦から参戦、他のレース結果では第1戦のMosportは予選11位、決勝4位。以後2戦は予選8位で決勝DNF、4戦のMid OhioはDNF、5戦のElkhart Lakeで、予選6位、決勝6位で、どうせならこちらの方が戦績は良いが。6戦は予選9位、決勝6位、7戦は予選10位で決勝8位、最終戦は予選11位、決勝DNFと惨憺たる結果である。
それでは何がモデル化を促したか。Can Amでは長いラムパイプが特徴だが、第3戦と4戦でそれまで無かった当時のF-1等で流行っていたインダクションポットを着けたことか(Racing Sports Carsに写真があるのは1・3・4戦のみ、5戦以降の写真は不明)で、3戦を選んだのか、その辺が判らない。
編集後記
この記述後、再度〜再々度に数々の本を虱潰しに探したら、2枚の写真を探し出した。一つは「Can-Am Anniversary」No.59の後に青いインダクションポット、もう一枚は「McLaren」に、Riversideの有名な下り坂でこれまたNo.59の前にNo.8を探し出した。こんな記事を書かなければ、まずスルーしたと思われる(実際スルーして記憶に無かった)。記事を書くために種々の本を検索するのも、結構な楽しみだ。
2023.09.02
参考文献
・Racing Sports Cars McLaren M8F
The Racing Sports Cars.com https://www.racingsportscars.com
・Dave Friedman, McLaren Sports Racing Cars MBI publishing USA、2000
・George Levy Can-Am 50th Anniversary :2016