異能β-2 Jim Hallの奇策
奇策と言えば奇策だが、屁理屈でもあるので「リアモデル列伝」にも「重箱の隅をつつく」にも当たらないとして「異能β」とした1例
Chaparral 2Dは1966-67年まで活躍した車。No.7は1966年のニュルブルクリンク1,000kmで優勝したモデルで、これやルマンのモデルは良く目にする。 Chaparral 2Dモデルは上記以外で最初の2DであるNo.65のDaytonaのモデル(MonogramやMODELER’Sから1/24が出ている)や最終型はMarsh Modelsのキットや完成品があるのみ。フリークを自認する筆者でもこの最終型は当時ほぼ無視であった。
Car Graphicの「シャパラル」を捲って見ると、カラー写真もあり、解説はChaparral 2Fの項に記載されていた。それによるとエンジンを元の5.3ℓから2F の7ℓと同じものを用いているとの記載のみであり、後部のエアアウトレットの解説はない。
浜田一穂著「世界の競争自動車 シャパラル2D/2F」にはエンジン拡大からラジエーターが拡大されフロント形状が変わり、Daytona 24hでフロントにあったオイルクーラーがリアパネルに移動し、エアアウトレットがSebring 12hでは両サイドに開口となった。
またエンジン拡大によりリアエンドに移動したラゲッジスペースが一悶着あったと記されている。モデルを見ると、このラゲッジスペースは蓋がなく単なる四角い筒であるのが興味深い。
この筒はFIAの役員からクレームが付いた。しかしJim Hallがラゲッジスペースは大きさの記載のみで蓋や底の記載は無いと堂々意見を述べて通したとの記載を見た。
この箱というか筒は熱気抜けも兼ねており、筒を覗くと天井のシュノーケルが臨める。流石にSebringでは、恥ずかしいのかリアパネルの色を黒としたのは仕方がないか。
こんなモデルは目を皿の様にして探さないと見つからないが、フリークは入手できるととても嬉しい。
この奇策とも思えるアイデアが、Chaparral 2Hや2Jに繋がるのかも知れない。