レアモデル列伝-26: 悲運のF1マシン Honda RA301
2023年4月1日に雑誌「Racing on」の524号が発売された。特集は「60年代 葉巻型F1の時代」となっていて、「空力戦争前夜、スターたちの煌めき」が副題。
読んで写真を見て「おやっ」と。表紙にはHonda RA301の写真も載っている、しかしこの車にはウイングが付いている。本文中にウイングのない301を探したが、1枚も見ることができなかった。
1968年はHonda F1第1期の終焉を迎えた年、その最後のHonda-F1でJohn Surteesが駆って最高位の2位となった車が載せられていないとは如何にも残念。そこでモデルをみながら、思いを語ろう。
1967年のItalia GPで劇的な優勝を飾ったRA300をベースにLolaとの共同開発された車。一番の問題であった重量対策を中心に設計され、2993cc 90度V12 NAエンジンとシャーシ両方の軽量化により60kgの減量に成功したものの、それでも他のDFV車より30kg以上重かったようだ。
創業者の本田宗一郎は業を煮やして新たな発想の自然空冷V8エンジンの開発を命じ、それによって制作されたRA302は大した試走もせずに実践配備、結果はアクシデントで炎上しドライバーのJo Schlesserは死亡する結果となった。
この開発でRA301は熟成不足となり信頼性が得られず、この年完走は3回であった。しかしその最高位がFrench GPの2位であり、Italia GPではポールポジションを取った結果をみると熟成さえ進めば、少なくとももっと良い成績を残せたのでは思われる。第1期Honda F1はこれで終了。その後はプロ・セナ時代まで待たねばならないとは。
このFrench GP 2位のモデルは大手ミニカーメーカーからは発売されていない。販売店のRomuがSparkに300台の特注をして完成したモデル。このモデルを見ると、サスペンションの細さや更に細いタイロッドやマフラーのステイなど注文の細かさが分かる、なおエンジンのラムパイプが赤いのはモデルをみて初めて分かった。
なお、このモデルは定価が9,990円であったが、現在オークション等では初値12,000〜16,000円、アマゾンでは52,800円となっていた。
参考文献
Racing on vol:524、ニューズムック、2023年5月15日発行、東京