事実は小説よりも奇なり-17:Gil de Ferranの駆ったPENNZOIL CART Car
Gil de Ferranという名前を見て、あるいはジル・ド・フェランという名前を聞いて、「ああ、彼か」と思いつく人はレース関連を生業にしている人でもそう多くはいまい。
モデルカーレーシング(今のスロットカー)が始まった頃、表題のステッカーは色々な車に貼ってあった。彩としては良いが何の事か分からず貼り付けたのは、単に見栄えだけだったが。
Wikipediaによると、Gil de Ferran(ジル・ド・フェラン)はブラジル出身の元レーシングドライバー。CARTシリーズの2年連続チャンピオン、Indy500優勝1回。Jim Hall Racing、Walker Racing、Penske Racing等に所属。
CART, IRL参戦
1995年から彼のキャリア中、最も長く参戦したCART, IRL参戦
1995年から彼のキャリア中、最も長く参戦したCARTに進出。同年ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたほか、1996年にはJim Hall Racingに所属、Reynard 961を駆る。
Walker Racing (99年には服部尚貴、2000年には中野信治、2001年には高木虎之介が所属)、2000年と2001年には史上5人目となる2年連続ドライバーズチャンピオンを獲得した。また2001年にはIRLへのスポット参戦(2戦)を果たし、翌2002年からはCARTを離れIRLへレギュラー参戦を開始、シリーズ3位を獲得した。翌2003年にはPenske RacingでIndy 500優勝の他、引退レースとなったシーズン最終戦でも優勝し、総合2位に入賞。同シーズンを最後にドライバーを引退した。
2005年、20年以上のレースキャリアをかわれ、F1チームであるB・A・R Hondaのスポーティングディレクターに就任。
モデルは2023.10.30に入手、1996年のクリーブランド空港コースで優勝した車。市街地コースを走るため、前方のウイングが大きいのが特徴。
1995年のIndy 500の勝者はPlayer’s LTD/Team Greenから出場したJacques Villeneuve、カナダ人のIndy優勝は初めてであった。Gil de FerranはReynard 951で参戦(このレースで961は使用されず、多くは951で941の参戦もあった)、1周目のアクシデントでDNFとなった。
PENNZOILのモデルはこれで6台となった、他の4種5台については、ほぼ1年前「note」「事実は小説よりも奇なり-9:PENNZOIL モデルの悲劇と喜劇」に詳しく記している。
「事実は小説より奇なり-16 トンデモメーカー製PENNZOIL Indy Carは入手困難モデル」も参照されたい。
Chaparral 2Kについては「異能β-3 テキサスの白い怪鳥-7 これもChaparral」を参照されたい。
Indy Carと名付けられているが、Indy 500の予選で通過しなかった、有名モデルも結構ある。2回のCARTチャンピオンであり、F-1ドライバーも経験、更にパラリンピックでの優勝経験のあるAlex Zanardiも本戦の出場経験はない、速度が遅かった分けではなく、CARTとIRLとの分裂による政治的な事柄が原因であったのは残念ではある。「note」「重箱の隅をつつく-14:醜美の基準」を参照されたい。
編集後記
さて、今回の話は人が主役か車が主役か分からないが、元々はPENNZOIL Indy Carを集めていて、このモデルを購入したのであって、車が主役であろう。
6台並べたモデル、1台だけプラスチックの覆いが被っている。高価なTameoの製品、力一杯引っ張れば外すことができるが、その時に底板も外れる可能性があり、今回は覆いをしたままのみっともない写真となった、外れたモデルをご覧になりたい方は「事実は小説より奇なり-16 トンデモメーカー製PENNZOIL Indy Carは入手困難モデル」をご覧になれば分かる。
政治の世界が人生を左右することが多い、オリンピックにしろ万博にしろ、マサカと予想だにしなかった事柄が後になって判明、あの時こうしておけば等々、人生は苦難の連続である。
Gil de Ferranもそんな関係で結構苦難の道を歩んだようだが、彼の洒落た日本語名は「知るど知らん」として筆者の中で生きている。
掲載早々、内容の間違いを指摘して頂いたので11.03に一部訂正した。嬉しい限りだ!
2023.11.03
2023.12.30に56歳で逝去された報が入った。 2023.12.30
引用文献
・檜垣和夫 インディー500 二玄社 1994
・Donald Davidson & Rick Shaffer INDIANAPOLIS 500 AUTOCOURSE 2013
・林信次 INDY 500 1911-2017 三樹書房 2018