まぜるねりこむわたす
根管治療
いわゆる
歯の神経の治療のさいごに
仮の蓋をするためにセメントを練る
学生時代に
混和と練和という異なる言葉を学んだ
かんたんにいえば
混ぜるか
練り込むか
みたいなことだった
仕事にはそういった似たような作業が多くあり
話すことと同じくらい
「混ぜる」は
好きな仕事だとおもう
治療経過に応じて
粘度を調整して
手早く確実に準備
手渡すまでのタイミング
動作や時間がすき
リズムをとる
治療をするのは先生で
わたしができることはほぼなくて
準備や補助や
さいごに蓋をするものをつくることのみだから
せめてもの気持ちとしていい感じに経過していますようにとこころをこめたものが
するっと先生のストッパーに載せられていく
お守りのようなセメントが歯のなかに入る
治療は患者さんにとり
決してうれしいものではないだろうけど
スムーズに治療が進んでいくと
予約通りに来てくれてえらいなあというきもち
応援のきもちでほくほくした想いになる
こころがこわれて
しばらく
いまの仕事ができなくなったことがあった
そのときはパン屋でバイトをした
かわいい夫婦だいすきなひとたち
常連の幼稚園児のリュックに付いているたくさんのキーホルダー
ジョギング中の人
現場作業のかた
近くの商店のひと
トレーを2個も3個も使ってもりもりに盛って買ってくれる方
周年祭
おばあちゃん
いろんな人が来て
いろんな話をしてくれた
とてもたのしかった
まったく意識してなかったけど
混ぜる作業と話すことが多かったからしあわせだったのかも
捏ねる
形成する
焼く
作ったパンをわたす
手をはなれたらしごとはおわる
端っこを見るのがすごく好きなのだなあと思う