春色に寄せて『30㎝の物語』

通りの向こうから
一組のカップルが歩いてくる。
楽しそうに話をしているけれど
女の子はちょっぴり恥ずかし気だ。
並んで歩いているけれど
手もつないでいないし
肩をぴったり寄せ合って
歩いている訳でもない。
二人の姿が実に初々しい。
今日が初めてのデート?

心理学的に 
人は無意識に知らない相手とは
60cm以上の距離を保つそうだ。
そういえば
向かい合わせの長い座席の電車に乗った時
人は一定の距離をあけて座りますね。
60cmぐらい…。
一人分の距離でしょうか?
反対に30cmは
「他人ではない距離」だそうです。
家族 奥さん 旦那さん 彼女 彼氏なら
30cmの範囲内に入り込んでも大丈夫ですね。
ピッタリくっついても問題ないですね。
親友も大丈夫そう。
でも 知らない人だったら
この30cmという距離は…
やっぱり近すぎますね。

60cmの距離から
30cm以内に入り込めるかが
その人との「関係」
言い換えれば「親密度」の変化を
示すと言えるでしょう。

冒頭の初々しいカップル。
笑顔がそれぞれに素敵だ。
きっとこれから時間をかけて
今の距離感を少しずつ縮めていくんだろうな。
「お互いその素敵な笑顔を忘れないでね…」
すれ違いざまに心の中で呟いた。
桜が満開に近い ある春の日のひとコマ。

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