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天野馨南子『まちがいだらけの少子化対策』2024年7月いわく「日本人は絶滅危惧種」ゆえ,少子化問題の基本理解に関したズレを早く修正すべきである

 ※-1「〈チャートは語る〉出生率『東京 0.99』別の顔 独身女性流入が押し下げ 『改善』の地方は流出」『日本経済新聞』2024年7月21日朝刊1面(冒頭記事)

 この記事から以下に紹介する文章は,同じ内容であるが別途に掲載された『日本経済新聞』2024年7月20日 5:42,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA196950Z10C24A6000000/ の紙面から活字を拾っている。

 この解説記事は,現状における少子化問題に関する「通常のというか,別言すれば通俗」とでも指摘してみたらよい「少子化問題」の要所を,あらためて理解しなおす必要を報じていた。

 その主旨は,この記事の見出し文句に書かれている文面のとおりであるが,いままでは,ふだんからとくに気づくこともなく,なんとなく見過ごしていた日本全国都道府県における「出生率(合計特殊出生率)」と「出生数じたい」との相互関係を,統計資料そのものに即して,もっと慎重に分析・解釈する必要を強調する点にあった。

 ということで,以下にこの記事を紹介しよう。
 
 a)【この記事のポイント】

  ★-1 東京の出生率は若い女性の流入が押し下げ
  ★-2 東京の既婚女性の出生数は全国平均超え
  ★-3 女性流出の地方は出生率が見かけ上改善

 補注)要は,統計上の数値そのものをどのように受けとめ,解釈するかについてとなるわけで,

 いわば「出生率と出生数の相互関係」が全国都道府県別の次元において,とりわけその相互関係的な人口統計の動きに即した観方でもって,「全体的な俯瞰」とともに「部分的に各県が相互にいりくんでいる有機的な動向」としても,慎重に観察,識別,認識し,解釈する必要が不可欠であった点が強調されていた。

【参考記事・資料】-『時事通信』2024年2月27日から-

この人口統計の年次推移に関してはここ7から8年
出生数の減少傾向が
「加速し出しているグラフ」にもみえるところが気になる

〔記事に戻る→〕 女性が生涯に産む子どもの数が2023年に1を割りこんだ東京都。0.99に沈んだのは,多くの独身女性が就学・就業を機に東京に流入して数値を押し下げたためだ。

 別のデータをみれば,意外にも東京で子どもは多く生まれている。一方,地方の状況はより深刻との見方もできる。

 補注)この記事の指摘「見方」という点はおかしい。東京の事情に関していえば「意外」ではなかったし,これに対比するに「地方の状況」はもっと深刻になっていた。

〔記事に戻る→〕 「最初の数年は仕事に追われ,『いつか結婚できるだろう』と思っていたらこの年になった。東京は同世代の未婚者も多く一人でも生きやすい」。就職を機に上京した大阪府出身の女性(32歳)は話す。

 厚生労働省の〔2024年〕6月の発表によると,東京都の合計特殊出生率は0. 99と全国の都道府県で唯一1を下回った。全国平均〔のそれ〕は1. 20と過去最低だ〔になっていた〕。

 b) なぜ東京の出生率は低いのか。家賃や教育費の高さにくわえ,統計のからくりがある。

 合計特殊出生率は未婚を含む15~49歳の女性を分母,出生数を分子とする。大学や企業が集まる東京には進学や就職で多くの若い独身女性が転居するため,分母が膨らみ出生率は低くなる事情がある。

論より証拠の好例

 補注)その「未婚を含む15~49歳の女性を分母」とは,いちおう「懐妊する可能性(懐妊力:生命の再生産力)を有する女性」を指し,つまり,「胎内に子を宿すこと,妊娠」を意味する「懐妊」ができる女性としての,生理的・肉体的能力を意味する。

 なお,そのあたりの現実的な様相一端はたとえば,つぎの記事にその実例「集」が,著名人関連の話題に限るが,紹介されていた。この記事からは,つぎの表のみこの本文中に抜き出し,かかげておくことにした。

有名人ゆえ注目される現象であったが……


〔記事に戻る→〕 2023年に15~24歳の女性は7万2千人が東京に転入した。転出を差し引くと約4万人の純増だ。この長年続く傾向がなければ東京の出生率はいまも1を上回っていたはずだ。

 くわえて「勉学や仕事に力点を置く人が東京に行く傾向が強いため,結婚や出産の年齢が高くなりがちだ」(上智大の中里 透准教授)。

 国立社会保障・人口問題研究所によると,女性の50歳時点の未婚率は東京都が23. 8%で,全国平均の17. 8%を上回る。

 東京は別の一面ももつ。過去10年間の出生数の減少率は2割程度で都道府県でもっとも緩やかだった。2020年の結婚している女性千人あたりの出生数は76. 4人と,全国平均(74. 6人)を上回る。

この逆転的な関連性に注意したいという説明

 補注)なお,以上の説明関しては「有配偶者出生率」という用語が持ち出されていた。関連する説明(その統計数値を算出する数式)が,つぎの厚生労働省の説明のなかに出ている。くわしくはこちらを参照されたい。関連の数式が並んでいる。

 
 文京区に住む30代の母親は「共働き夫婦にとって東京は子育てしやすい。家賃は高いけど職場とのアクセスが大事」という。2023年に生まれた長男のために都の子育て応援金10万円でベビーベッドなどを買った。

 中里准教授は「経済的に余裕のある夫婦は子どもが多い」と語る。財政力のある東京都の子育て支援が充実している面もある。

 都心は家賃や生活費が高く,収入によっては出産を機に郊外に移り住む世帯は多い。2023年の総務省の統計によると,東京からの流出超過数は年齢別で0~4歳がもっとも多い。

 0~14歳の子どもの転入超過数が多い自治体は,さいたま市がトップで東京都町田市,神奈川県茅ケ崎市が続いた。

 補注)以前,「貧乏人の子だくさん」という表現があった。だが,これはもう『日本昔話』に属するような話題。ウィキペディアからの説明を借りると,その表現は,こういう「昔における家族の姿」のことを表わしていた。

 つまり貧乏人は,遊ぶ金もなく子作りに励むくらいしかないので,結果として,子だくさんの幸せな環境に恵まれるものだ,というのである。

  子だくさんは,「律義者の子沢山」にみられるように,将来,高い人間生命の再生産力がみこめるということで積極的な評価である〔ということだが,この記述においては,ひとまずの説明として聞きとどめておくことでよい〕。

 しかしながら,貧乏なのに子だくさんなのでは,本当はもっと貧乏になってしまうのではないかという疑問が,通常,論理的にかなった説明になると思われるが,昔はともかく,前段のように説明されてもいた。

 c) 敗戦まで,対外戦争ばかり遂行してきた過去の歴史を有する旧大日本帝国は,とくに大東亜戦争を向かえるころになると「産めよ,殖やせよ!」という標語が叫ばれていた。

 【参考記事】がこれ。

 だが,それが基本としては,いったいなんの文句であったかといえば,国家の有事にさいして必要な「兵隊の供給源:人的資源」の確保をするためにその標語が昂揚されていた。

 ところで,現在日本の自衛隊3軍,2023年度における新兵(隊員)要員の充足率は,なんと51%とだったという実情ゆえ,近い未来のうちには徴兵制が施行されるかもしれず,また経済的徴兵も大いに採用されるかもしれない。

 そうなるとますます,結婚して子どもを設けても大きくなって,1人前のわかものになったら,戦争にとられる(命を召し上げられる)ようなこの国に本当に移行するようだと,出生数・率はますます抑制されつづけ,その回復どころでなくなる。

〔記事に戻る→〕 地方をみると,ここでも統計のからくりに遭遇する。高齢化や過疎化が進んでいる一方,合計特殊出生率が改善している自治体は少なくない。

 長崎県五島市や京都府宮津市などでは2022年までの5年間の平均出生率はその前の5年に比べて上昇したが,出生数は減った。若い女性が都市に転出したため,分母となる女性の数が減って出生率がみかけ上改善した

この程度の理解がいまごろになって指摘された事実には
唖然とするが……

 「希望の職種や待遇の良い仕事がみつからない」「希望の進学先がない」。国土交通省の2020年の調査で,多くの女性は東京に移った理由をこう答えた。

 d) 2023年,都道府県でもっとも出生率の高い沖縄県(1.60)でも,出生数は前年比約1千人減って約1万3千人だった。

 補注)出生数が約1万3千人だと措定した場合,仮にこの1年分の新生児誕生でもって80歳まで全員が生きられるとしたら,沖縄県の人口は約104万人となる。

 以上,あくまで仮の話題となるが,現在(2023年)10月1日時点の沖縄県の人口は146万8375人であり,2022年と比べ初めて,259人(0.02%)減少したという。前段に示した仮計算の数値との差だけみても,42万人にもなる。

 しかし,今後,沖縄県においても実際に推移していくに違いない出生数の減少は,さらにどの度合を深めるはずだから,以上のごとき推定(推理)はまだ甘い。

〔記事に戻る→〕 出生率が高い地方の自治体に子育てがしやすい環境があるわけではない。むしろ,子育ての前に地元を離れていることで人口減のリスクを映しているともいえなくない。

 東京への一極集中や生活費上昇,地域の魅力不足にくわえ,十分に上がらぬ賃金。少子化の解消には大きな複数の課題を,地域の実情に合わせながら多角的な視点で取り組むことが欠かせない。(日経・引用終わり)

 さてここでは,以下のように断定的に表現してみたい事項があった。

 現政権(⇒「統一教会風自民党」という「前世紀的に旧套である〈家・家族観〉にいまだに囚われている政党」と,「創価学会の指示待ち子分格であり,しかも〈平和と福祉〉を標榜する公明党」との野合政権)とによる少子化対策は,実質的には顕著な効果を挙げえておらず,すなわち,ほとんどなにもなきにひとしい現実に終始してきた。

 つまり,自公民風の現政権は,少子化対策に関してその実体的な効用を,ろくすっぽ発揮しえないまま,いままでの長期間にわたり,実質的には漫然と過ごしてきたと指弾されても,なんらおかしいことはない。。

 そうした自民党と,プラス「下駄の▼ソ」である公明党との政権の体たらくぶりを横目にしながら,つぎに触れておきたいさらなる話題もあった。

 e) 前明石市長であった泉 房穂は,少子化対策に関して明石市という一地方自治体における実践としてだが,前段の『日本経済新聞』の記事に指摘されている少子化問題の深刻な状況に向けて,より有効性ある政策を発想・実行し,実際に成功したとみなされる効果を生んでいた。

 ひとつの市における泉・前市長の努力であったとはいえ,その結果が日本全国のすべての市町村において応用可能である点については,たとえば,泉自身がつぎのように説明していた。

 ここでは以下に,その記事のリンク先・住所しか紹介できないが,ひとまずこちらに移動して一読してほしい。2024年元日に公表されたインタビュー記事であって,それほど時間をかけずに読めるし,泉のいいぶんはすっきりと頭に入る内容でもある。


 そもそもの話,日本の少子化対策も含んだ全体的な経済政策の運営ぶりは,公共投資型中心とならざるえないような,地方自治体に対する補助金支給体制を基本としていた。それゆえに,少子化問題を解決するための基本的な前提全般が,まともに十全に整備される可能性・必然性を欠いていた。

 しかし,泉 房穂は,地方自治体の立場からその基本的な前提条件を,既存勢力(明石市議会や地元の商店街など地域社会全体のこと)の全面的な反対にめげることなく準備・実施した。つまり,少子化対策として直接的有効な施策を実行してきた。

 それにくらべて現政権の岸田文雄は,アメリカへの追随・服属のためでしかない「安全保障・軍事同盟にかける10兆円単位の予算ひねり出し」や「原発の新増設」までいいだす始末であって,

 まさに80年近く前までの戦時的な標語でいえば,非国民・国賊的な采配しか「できない」,しかも「世襲3代目の政治屋」のボンボンとしてまったくの無策ぶりをさらけだしている。
 
 いまの自公民政権に,まともな少子化対策などできるわけがなかった。それを期待するのはへそで茶を沸かすごときの無理・難題(?)であった。

 

 ※-2 天野馨南子『まちがいだらけの少子化対策-激減する婚姻数になぜ向き合わないのか-』金融財政事情研究会,2024年7月が指摘した少子化問題に対する誤感

 a) この天野馨南子の最近作,『まちがいだらけの少子化対策-激減する婚姻数になぜ向き合わないのか-』2024年については早速,本記述が※-1でとりあげた『日本経済新聞』の記事に言及したブックレビューが,同書を的確に批評する意見として披露されていた。

 その寄稿以外にも,参考になりそうな意見を含んだ寄稿もあったが,やや焦点の向け方・絞り方で違和感をもたせたので,こちらは紹介せず,前段にもちだしたそれのみを引用してみたい。このレビューは天野の本を適切に紹介していた。

    【 adhoc3 5つ星のうち 5.0 優先すべきは未婚対策
      = 2024年7月23日に日本でレビュー済み =

 一昨日〔7月21日〕の日経新聞〔朝刊〕一面トップに,「出生率『東京0.99』別の顔」というタイトルの記事があった。それによると,東京の出生率が低いのは,多くの独身女性が就学・就業を機に東京に流入して数値を押し下げたためという。別のデータをみれば,意外にも東京では子供が多く生まれており,地方のほうが深刻な状況らしい。

 本書の主旨もこの記事と一致する。合計特殊出生率は「未婚女性の割合」と「既婚女性一人当たりの出生数」の2つに影響され,日本の少子化の決定的な要因は「未婚女性の割合」の上昇,即ち「未婚化」にある。完結出生児数(夫婦あたりの子供の数)は半世紀前の約9割の水準で,それほど減っていない。

 補注)本ブログ筆者がここであえて指摘しておきたいのは,『日本経済新聞』の当該記事は,実は(本当のところは?),天野馨南子『まちがいだらけの少子化対策-激減する婚姻数になぜ向き合わないのか-』金融財政事情研究会が2024年7月11日に公刊されたのをしったうえで,

 多分そうだったと推理したうえでの推理となるが,担当記者たち(林 咲希,山崎 純,田中健斗,グラフィックス 藤沢 愛)が,この本を読んでから急遽,自社なりにこの種の記事を書いてみようという構想を抱いたのではなかったかと推測してみる。

 b) 天野馨南子が7月14日に公刊した,この単著『まちがいだらけの少子化対策』と『日本経済新聞』の21日に報道したこの解説記事とは,時期にその前後関係を判断してみるに,偶然の一致にしてはいささかならず出来過ぎていた(?)という印象を強く与えた。

 しかも,『日本経済新聞』の担当記者は3名いた。この人数であれば1週間でこの程度の記事は十分まとめられる,書ける。天野の本も特別に難解ではなく,いいまわしそのものはいくらかくどい傾向がみられたが,全体としてはしごく読みやすい文章であった。

 天野はまた,統計図表などを適宜に利用しながら論旨を展開するかたちで,今回の『まちがいだらけの少子化対策-激減する婚姻数になぜ向き合わないのか-』を制作・発行していた。

 要するに,※-1で言及した『日本経済新聞』2024年7月21日朝刊の当該記事は,天野馨南子『まちがいだらけの少子化対策-激減する婚姻数になぜ向き合わないのか-』7月14日発行を大いに参考にしていたと,推測させるのが妥当に思われる中身であった。

 しかも,この日経同日1面の冒頭の掲載した記事となって,出生率「『東京0.99』別の顔 独身女性流入が押し下げ 『改善』の地方は流出」は,天野のこの本を脇に置き参照しつつ,日経なり特徴を出す努力を重ねて「同旨の調査記事」を制作・報道したと観てよい。
 
〔レビューに戻る→〕 出生数が不変でも,出生率は未婚女性の数が増えると下落し,逆に県外への転出超過などで減ると上昇して少子化対策が効いたような錯覚を起こす。このため出生率の高低を少子化対策の指標にすると,地方を手本にした出産後の子育て支援策に重点が置かれやすい。だが優先すべきなのは未婚化対策のほうなのだ。

 日本の少子化は婚姻数の激減が主因であり,とくに地方では若い女性の流出で男性よりも女性が減ってカップルが成立しづらい。地方は男性に比べて女性に働きがいがある雇用が少ないのも原因の一つで,地方の創生には女性の居場所づくりをおこなて,就職時の定着をめざすことが重要な課題となるだろう。 (引用終わり)


 ※-3 なお,『日本経済新聞』の当該記事には「Think! 多様な観点からニュースを考える」という読者(限定された識者)からの「当該記事へ寄せられた感想」も掲載されていた

 なおこの感想については,「掲載される投稿は投稿者個人の見解であり,日本経済新聞社の見解ではありません。」といった断わりも付すかたちになっていた点はさておいて,今回の記事に対しては,こういう意見が寄せられていた。

          分析・考察-小黒一正のアバター
         (小黒一正・法政大学経済学部教授)

 重要な特集ですね。2020年の国勢調査データから,都道府県別の平均出生率(出産可能な15歳-49歳の女性人口1000人当たりの出生数)を計算すると,最高は沖縄の48. 9,第2位は宮崎の40.7ですが,東京の平均出生率も31. 5で,最下位でなく,42位。

 この指標の「出産可能な女性人口」は未婚の女性も含むものであり,東京の都心3区(千代田区・港区・中央区)に限定すると,平均出生率は41. 7で,沖縄に次ぐ2位にランクします。

 さらに都心3区のうち中央区だけを見ると,平均出生率は45. 4にもなります。合計特殊出生率以外の別の指標やデータも眺めながら,議論をおこなう必要があると思います。

 -2024年7月20日 7:17 (2024年7月20日 7:18 更新)-

7月21日の朝刊より早い版での「記事」に対する反応であった

 東京の都心3区(千代田区・港区・中央区)のうちでも,港区などはとくに年収が高い労働者層が多い区域である。

 現状において,貧乏人は結婚など望みにくいし,ましてや子どもを儲けることはなおむずかしいとなれば,結婚以前に恋愛をして……という気持ちすら萎えている一定の若者層・集団がいる時代になった。

だから,出生数じたいと合計特殊出生率との相互関係は,いちいちをもっとこまかく緻密に,そしてなおかつそれぞれを有機的に絡めた分析が,しかも,都道府県全体にまで個々別々に具体的な調査・分析・解明としてなされたうえで,さらに日本全体の少子化対策を国家全体の立場から構想・立案・実施できるような考慮・手順が必要と思われる。

 ところが,現状における少子化問題の基本理解は,きわめて表相的な対策にかかわる範囲内・程度に跼蹐していた。このままではいずれ,日本の人口はドンドン減少していくことは,ほぼ確実というか確定的になりつつある。

 --以上,日本の人口問題としての少子化を話題にしてきた。

 さて,ついこのあいだまでは人口を急増させてきた中国が,日本のそれこそおおよそ10倍もの単位をもって減少させる少子化と人口減少の大波にすでに直面しだしている。

縦軸の横幅はひとつ区切り20年である

 20世紀中であればひとまず地球上の人口が爆発的に増大し,したがって食料問題が深刻化すると予測されてもいた。ところが,現状(ここでは2022年時点)においては別途,14億人を擁するアフリカの人口が,2050年には25億人まで増えると予測されており,世界人口の4分の1がアフリカとなると予想されてもいる。

 なかでも,アフリカで人口がもっとも多いナイジェリアは,米国を抜いて世界第3位の人口大国となると予測されている。アフリカの人口問題の将来は,政治・経済発展の各次元において均衡ある成長が,持続的に可能たらしめる国家社会の体制として,これからいかほどにまで整えられるかどうかにもかかっている。

 すでに中国においても先進国の前例に似て,少子化現象に必然的につづく高齢社会の到来と,国家全体の人口統計そのものが急激に減少・縮小していくにしたがい,衰退を余儀なくされる時期が近い未来に必至である。

 その意味では,欧米諸国や日本・韓国・台湾,そして東南アジア諸国などのように,少子化が急速に進展,定着している国々においては,この人口減少問題に即座に対応するという気合いでもって,すぐに本気でとりくみ,現状に働きかけ根本からの改善策を講じないことには,

 21世紀の半ばまえまでには顕著になる人口減少によって国家が消滅しかねない事態が発生しないとは限らない。日本もノンキでいたら,あと25年ほどあとの2050年ごろには,どうなるか不安がいっぱいである。

 ところで,厚生労働省や総務省の公表してきた関連の統計は,その未来に向けた見通しに関して,いつも大甘な展望をしがちであった。それでは,どのような統計を準備し提供したところで,今後における自国人口問題の解決に向けたまともで適切な検討資料の提供は無理である。

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