能登半島地震救援活動よりも米英両国だけでなく「加,仏,独,蘭,インドネシアの各国軍も初参加した「陸自第1空挺団・新春恒例の〈降下訓練始め〉」のほうが大切な行事なのか? まさに軍隊は国家を最優先に守るが国民はその後にしか守らない,あるいは放置する本質を露骨にお披露目した
※-1 『軍人勅諭』1882年は戦前,天皇陛下が一番大事だと教えこんだが,21世紀の自衛隊3軍はこの軍隊組織としての存在じたいが,いまの日本国においてはもっとも大切な存在なのか?
a) 本日におけるこの記述は,2024年1月1日午後4時10分に発生した能登半島地震の被害・損失,被災した人たちがこうむっている現実的な諸困難を念頭に置いて,昨年12月からこの1月上旬にまでつぎつぎと発生した諸事件を念頭に置きながら論及し,議論てみたい。
「岸田文雄」的により明確になった『自民党政権の体たらくぶり』は,そのダメさかげんさが徹底したかたちで,ヨリ赤裸々に現象している。さらには,最近急に別の新しい話題として浮上したのは,吉本興業内の実力者ダウンタウン松本人志にまつわる問題であった。彼自身が「裸の王様」である立場から冒してきた一連の「女性に対する性加害被疑事件」が,いまさらのように世間に露呈させられる状況ができあがっていた。
この新年もまた,森嶋道夫に『なぜ日本は没落するか』(岩波書店,1999年)と指摘されてから四半世紀もの年月が経ってしまった「いまの時期」,その間にというまでもなくこの国においては「これもダメ,あれもダメ」のもう「ダメ,ダメだらけ」のこの国になりはてている。
その実情は本当に悲しくなる。若者たちが国外に出たがるこの国になっているようだとしたら,例の「衰退途上国」という自虐的な「自国に対する表現:認識」がなされていても,これを否定することはできない。
b) 自民党は,派閥の政治資金パーティー(裏金悪用問題)をめぐる問題を受けて1月11日,再発防止策や派閥のあり方などを議論するために設置した「政治刷新本部」の初会合を開いたという。
だが,この「政治刷新本部」の組織・人事,その布陣をみただけで即刻,これは「不可能事を可能事にみせかけるための策略」の,そのまた以前のきわめて幼稚な策謀であった点は,一目瞭然であった。
その「政治刷新本部」の構成と派閥の内訳は,自民党の国会議員38人で構成されたいた。岸田総理大臣が本部長を務め,麻生副総裁と菅前総理大臣の総理大臣経験者2人が最高顧問に就いているというのだから,この「頭」部の陣容をみただけで,これに対する即座に返しうる反応としては,誰の口からいわせても「こりゃ,ダメだ」という印象しか語ることができない。
また,茂木幹事長が本部長代行を務めており,党執行部のメンバーも名を連ね,女性局長や青年局長を経験した中堅・若手の議員もくわわっているそうだが,その姓名の一覧をみただけで,ああやっぱり「こりゃダメ・ダメだ」という確信を,よりいっそう深めることにしかならない。
さらに聞いてみると,「派閥ごとの内訳」は,こういう陣取りだそうである。このような人数割り(割り当て)をしたところで,「まな板の鯉」が自分で咥えた包丁を振りまわすことにしかならず,刷新などはじめからできるわけがない。
この刷新本部に「自民党のなにか」を変えることができると問われても,完全に未知数以前のナゾナゾ物語である。そこでできることといったら,せいぜい茶番劇。というのは,派閥単位ごとに「パー券裏金問題」が展開されているというのに,この派閥の勢力に合せて人選したというこの布陣であるならば,この問題を国民の目線からそらす狙いにかぎっては,一生懸命にとりくむかもしれない。
▼ 最大派閥の安倍派 10人
▼ 麻生派 3人
▼ 茂木派 7人
▼ 岸田派 5人
▼ 二階派 2人
▼ 森山派 1人
▼ 無派閥は,派閥を離脱した岸田総理大臣を含め10人
c) だいぶ昔の話になる。『軍人勅諭』は1882〔明治15〕年1月4日,明治天皇が陸海軍軍人に下賜した勅諭である。その正式名称は『陸海軍軍人に賜はりたる敕諭』であった。
明治憲法(大日本帝国憲法)下の帝国臣民になる平民たち(もちろんもっぱら男性)が徴兵され軍隊に入営した以後は,つぎのような文句を連ねた経文が,人間が自分の生命というものを完全にまで否定できる「異常精神を確立しておくこと」を,無条件に強要していた。
以下で「義」とは天皇の存在を意味する用語であり,「鴻毛」とは臣民のための形容であった。要するに,帝国臣民たちは「天皇の赤子」だとする昔の国家秩序・価値観のなかでは,吹けば飛ぶようにとても軽い「いのち」の持主でしかありえないと教えこまれるかたちで,洗脳されていた。
「義は山嶽より重く死は鴻毛より軽しと心得よ」といったり,
「死は或いは泰山より重く或いは鴻毛より輕し」といったりして
こうした古諺(こげん)をわざわざいいかえては
「普段は命を無駄にせず,けれども時には義のため,喩えば天皇のため国のために,命を捨てよ」
という意味に講釈されたうえで,徹底的にその教義が教導された。
もっとも,武士道「葉隠」にあるような個人の尊厳を重視したものとは明確に差異があった「異常心理の世界観」が,将兵たちに向けて強要されていた。しかし,その異常が異常とは理解されない工夫としては,兵士たちの意識下にまでそれを浸透させうるように,徹底的な洗脳がほどこされた。
そうした軍人勅諭を完全に暗記させられた帝国臣民としての将兵たちが,明治史以来,旧大日本帝国が繰り返してきた侵略戦争の先兵となった。
d) しかしながら,旧大日本帝国はその後において,それも明治維新の77年後になると,どういう顛末を迎えたか?
自国の官民から310万人もの戦争犠牲者を出した。東アジア地域では各国から総計で2千万人以上の犠牲者を生んだ。
敗戦した旧日帝は,戦争のために動員・派遣され,外国の地に残された兵士たちや,あるいはそれまでに植民地にしていた国々や占領支配してきた地域に暮らしていた人びと(旧帝国臣民=日本人・日本民族たち)を,その現地に残留したままでよいから,そちらで生きていくことまで押しつけようとした,いわば,それを「敗戦処理」の一環に利用しようとする措置まで考えていたのだから,
軍国主義一辺倒だった旧大日本帝国の政治的な本性のありかが,敗戦という重大事の発生を契機に,いったい奈辺にあったかは申すまでもない。もっとも,明治時代から「坂の上の雲」めざしてきた「旧大日本帝国」と「この陸海軍」は,1945年8月の敗戦とともに消滅した。
ところが,雲散霧消したはずだった,いわば,旧日帝陸海軍流の「かく戦えり……」の思い出に浸りたいする旧時代的な感覚は,現在の自衛隊関係者のなかにもまだ「消し炭」のように残っている。
それゆえか,つぎの2024年1月11日における報道のように,旧軍の存在形態をとても懐かしく思いこんでいる自衛隊員風の「時代錯誤」が,今日的にも表現される行動様式となっての出来事であったが,亡霊的に九段下あたりにさまよい出たことになる。
e) 現在の自衛隊は,靖国神社と特定の関係はないとされている。しかし,寄りによってこの1月になってからつぎのような報道があった。『毎日新聞』から
陸上自衛隊で航空事故の調査に携わる「航空事故調査委員会」の幹部らが今〔1〕月9日に東京・九段北の靖国神社を参拝したことを,毎日新聞記者が確認した。(続く記事は以下の枠内〔 ↓ 〕につづくとおり)
同じ『毎日新聞』における本日の「社説」も紹介しておく。前段の記事を受けた論説である。陸自幹部,陸将たちを真っ向からきびしく批判している。
軍人たちのこうした扇動的な行動(ある意味,意図された特定の狙いを設定していつもりでもあるそれ)は,敗戦国となったこの国の九段下に位置する「靖国神社」において,「いまどきに好戦的な勝利神社」「性」,いいかえれば,「賊軍神社」になりはてていたこの元陸海軍直営神社に参拝にいって祈願したとする自衛官の行為は,二重にも三重にも倒錯した精神構造を意味する。
しかしながら,21世紀のいま,この日本社会のなかで,現役自衛官たちが,それも陸将・陸将補たちが靖国神社に出向いて,いいかえれば「過去においては帝国陸海軍直営の元国営神社であって,現在においてもなおその基本特性を受けついでいるつもりであるこの靖国神社に参拝する」といったごとき,小林弘樹陸将などの宗教行為は問題があり過ぎた。
f) 要するに,「政教分離の原則」に抵触するおそれがきわめて大であって,「日本の軍人(自衛隊員)」として厳重に留意し,遵守すべき行動規範から完全に逸脱したかっこうで,国家神道的な意味を発するほかない宗教的な行為を意図的におこなった点は,当人たちの意向とは別個に,検討を要する「宗教的な問題」となる。
そのあたりの問題について,防衛省・自衛隊が全然承知していないわけではなく,靖国神社を隊員の慰霊施設として宗教的に利用することは,これまで企図されていない。この理解が,単に表相的なものでしかないにしても,防衛省・自衛隊側が「政教分離の原則」問題を,それなりに慎重にあつかわざるをえないでいる点は,いちおう伝わってくる。
ここで,途中に入れておくつぎの画像資料は,市ヶ谷にある自衛隊施設の敷地内にあるもので,いままで主に訓練事故による物故者を慰霊するための「メモリアルゾーン」の位置が記入されている。
ともかく,2024年1月1日には能登半島地震という甚大が災害が発生していた。いま(今日は13日)もなお,その救助・支援の活動が必死になっておこなわれてきている。この時期に,陸上自衛隊の陸将層のエラい人物たちが靖国に参拝したとなれば,
わざわざというかあえてなのか,79年前にすでに「敗戦神社」になっていた靖国神社に参拝したこの「軍人(自衛隊の陸将や陸将補たち)」は,きっと「なにかに関して国家神道という次元」において宗教的に意義のある,つまり,軍人の立場ゆえいつも「なんらかの勝利は意識しつつ,同時に軍人として士気高揚のためにも」必要だと思い,この神社に祈願に出向いたものと推察するほかない。
今回の行為は「自衛隊員の物故者(訓練中の特定の事故死亡者)に対する慰霊行為」である意味づけがあったと指摘されている。だが,わざわざこの九段下の元国営神社に出向き参拝するという行為だったとすれば,国家神道的に「特定の作為的な意図がこめられた〈意思の明確な表現〉である」としか受けとりようがない。
ここではひとまず,前段に説明したメモリアルゾーンの存在とは離れて,靖国神社に彼ら「軍人(自衛隊の陸将や陸将補たち)」は出向いたものと推理しておく。
g) ところで『デモクラシータイムス』というネット放送が挙げていた,それも「能登半島地震の発生に対処するためであった自衛隊の出動態勢」に関してとなるが,その動員経過を説明する2表を紹介しておきたい。
一言で断定できる。岸田文雄はこの大地震に対する初動を誤ったというか,全然対応できていなかったというか,それ以前にそもそも「やる気(その気)」が明確に表示していなかった。
「その間」にこの首相はテレビに出演したりして,ほかの話題を盛んに語ってはいたものの,能登半島地震に関する災害出動を国家最高責任者の立場から当たりまえにとりくんでいた様子が,まともにはうかがえなかった。
この「世襲3代目の政治屋」もまた,国家最高責任者としては完全に失格であった。それほどにもだらしなく,大災害に対する初動体制の発動に関して「失策,失敗」を重ねていながら,そのあとにみせる彼の顔つきはなんとも感じていないふうにしか映っていなかった。
多分だが,鈍感だという前に,首相の立場から大地震が発生した直後から自分がいったい,なにに,どのようにとりくめばいいのか,まったく理解しようとしていなかった。要は,国家最高指導者の責務が全然自覚できていなかったのである。
ここでは,岸田文雄が首相の立場として,能登半島地震への即時的な対応を怠り,完全に間違っていた事実,いいかえれば,その「〈緊急の初動〉必要性を漫然と無視した」失策については,つぎの文書がその点を明確に指摘している。
岸田文雄のことを本ブログは「丸出だめ夫」にたとえて,徹底的に揶揄しつつも,こき下ろしてきた。だが,ただし「丸出」姓のこの「だめ夫」君の場合は,どこまでもマンガの世界の話だから害はいっさいない。けれども,岸田の場合は,この人が首相であるがゆえ,百害あって一利なしの状態で災害後における対応が進行してきた。
上記の画像資料の内容は,『朝日新聞』だとこのように,関連する情報を報じていた。
岸田文雄がこの陸海空自衛隊側の準備を聞いていないわけがない。防衛大臣が「スピード感をとくに重視し,人命救助を第一義として全力で対応する」と力んでいったところで,肝心の首相がこの防衛省・自衛隊側の準備をハナから無視しているようでは,この「世襲3代目の政治屋」は完全に詰んでいる。ましてや「スピード感」になると,岸田はゼロ。
次項※-2の記述に入る前に,以上のごとき自衛官高級将校による,それもみえすいていたところの,神道神社のなかでもっとも端的に国策性の臭いを有する靖国神社に参拝した問題を,以上にように論及してみた。※-1のこの記述は,全体の構成のなかでは「前提をなる話題」をとりあげたみたつもりである。
※-2「岩井奉信氏『最悪の政界全体の問題』自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑」『日刊スポーツ』 2023年12月19日9時54分, など一連の関連した報道,
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202312190000113.html
「政治とカネ」の問題に詳しい日大岩井奉信(ともあき)名誉教授(政治学)が2023年12月19日,フジテレビ系「めざまし8」(月~金曜午前8時)に出演し〔て,こう語っ〕た。
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる疑惑問題について「捨て置ける話ではない。最悪の問題。前々からこの数字はおかしいと思っていた。派閥ぐるみでやっていた」と非難した。
「30年以上みてるし,リクルート問題と比較されるが,この問題は明らかに法律違反を組織的に長くやっている」と指摘した。(引用終わり)
※-3「なにからなにまで遅すぎる能登対応 寒さと飢え,災害関連死は岸田人災」『日刊ゲンダイ』2024/01/10 17:00,ttps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/334476
違法な裏金づくりのためなら,あの手この手の悪知恵を働かせるクセに,大災害に直面した国民にはまるで関心がないとしか思えない。
その恐るべき政治的な鈍感力をまざまざとみせつけられている国民は,怒りを通りこして驚愕しているのではないか。最大震度7を観測した能登半島地震に対する岸田政権の動きだ。
被害を受けた石川県では〔1月〕10日も,警察や消防,自衛隊などが不明者の捜索を続けたものの,道路寸断や天候悪化などで被害の実態把握が難しい状況。発生から1週間以上が経過しても,連絡が取れない安否不明者が68人にも上っている。
県によると,10日午前9事までに確認された死者は203人で,珠洲市が災害関連死を含めて91人。ほかに輪島市81人,穴水町20人,七尾市5人,能登町3人など。能登町でも災害関連死が1人確認された。
県内の避難者は約2万6000人に上り,輪島,珠洲両市を中心に約3300人が孤立状態となっているほか,断水も5万戸を大幅に超えている。
防衛省は救助活動のヘリに加え,昨年4月に沖縄・宮古島周辺で墜落事故を起こした陸自ヘリ「UH-60」も現場に投入して物資輸送をおこなう方針を決定。9日目にして,ようやく本格的な活動が始まったわけだが,国民誰もが感じているのが「なぜ,いまごろなのか」という疑問だろう。
◆ 能登半島では早急な地震対策が叫ばれていた ◆
地震発生から一夜明けた今月2日,防衛省は陸上自衛隊中部方面総監を指揮官とし,陸海空3自衛隊部隊の指揮系統を一本化した1万人態勢の統合任務部隊を編成。ところが,9日時点で,実際に現地に投入された隊員数は約6300人だ。
同じ震度7を記録した2016年の熊本地震や2018年の北海道胆振東部地震では,3~4日目で派遣隊員数が2万人を超えており,秋田県の佐竹知事が9日に秋田市内で開かれた連合秋田の新春賀詞交歓会で,政府対応について「少し後手後手だ」などと批判していたのも当然ではないか。
木原防衛相は会見で,野党などから自衛隊派遣の逐次投入を問題視する声が出ていることに対し,道路の寸断や半島先端部という地形的制約などを理由にしつつ,「その時点で必要となるもっとも効果的な活動を見極めつつ人員を振り向けることとしている」などと,もっともらしく説明していたが,いいわけと受けと取られても仕方ないだろう。
災害予測はむずかしいとはいえ,能登半島では近年,地震が続いており,早急な対策が叫ばれていたはずだ。2023年5月5日にも,今回と同じ珠洲市を中心に震度6強の地震が発生。直後におこなわれた衆参の災害対策特別委員会では「能登半島の群発地震」が取り上げられ,監視,観測の強化の必要性や,地形や地域住民の高齢化に伴う地震発生時の救助・救援作業の困難さが課題となっていた。
つまり,岸田政権が昨〔2023〕年の段階で,能登半島で頻発していた地震の備えに本気で取り組んでいれば,これほど後手後手の対応にはならなかったのではないか。
衆院事務局に30年余り勤め,災害対策にも関わった元参院議員の平野貞夫氏がこういう。
「最大の問題は,災害に対して各省庁が縦割りで動いていること。強力な権限をもった省庁がないことがありますが,岸田首相にはそれらをまとめる力がない。歴代自民党政権は国土強靱化などと称して多額の税金を投じてきましたが,結局,票と自分たちのカネになるところに予算をつけただけ。実際の災害にはなんら役に立たないのです」
◆ 岸田も馳も頭のなかは防災対策よりもパー券を売ることばかり ◆
「現地の状況を把握したうえで適切な時期を考える」と視察に慎重姿勢だった岸田首相だが,ようやく〔1月〕13日にも,被災地を視察する方向で調整に入った,と報じられた。
岸田は現地視察のさい,財政支援や被災者の避難先確保について政府方針を示し,復旧・復興に万全を期す姿勢を強調するつもりらしいが,いまさら感はぬぐえないだろう。
岸田周辺は,総理大臣が現地入りすれば,現地の救命,救助活動や復旧作業に支障をきたすなどと,それらしいことをいっていたが,詭弁を弄するとはこのこと。地震発生直後から,これまでの岸田の動きを見ていると “本気度” がてんで感じられないからだ。
4日の年頭会見を「地震関係の公務がある」などといって切り上げながら,その後,民放テレビに出演し,番組キャスターや政治ジャーナリストらと笑顔で政治談議。
8日の「首相動静」を見ても,「午前10時現在,公邸。朝の来客なし」「午前中は来客なく,公邸で過ごす」などと完全に休日モードだった。
岸田は,連日のオンライン会議で現地状況を把握し,指示を出しているから問題ないと考えているのだろうが,それならそれで,やるべきことがあるのではないか。なんといっても,能登半島地震の非常災害対策本部の本部長なのだ。
後手後手との批判を受け,“やっている感” の演出に懸命なのだろうが,国民はとっくにお見通しだ。
◆「赤坂自民亭」から続く腐った体質は変わらず ◆
200人超の死者を出す大惨事となった2018年7月の西日本豪雨の発生時,東京・赤坂の議員宿舎で「赤坂自民亭」という名の酒宴が開かれ,当時の安倍首相が初動体制の遅れを国会で指摘されていたが,この酒宴で,安倍の隣で赤ら顔でニヤけていたのが,党政調会長だった岸田だった。
つまり,災害に苦しむ国民生活なんてしったこっちゃない。その腐った体質,姿勢はなにがあっても変わらず,批判の声が高まれば,かたちばかりの反省のポーズを見せ,国民が忘れるのをひたすら待つ。この繰り返しなのだ。
そんな国民愚弄の体質にどっぷりと漬かった元自民党国会議員の馳〔浩〕が,この非常時に石川県知事というのも,県民にとっては不幸というよりほかないだろう。
地震災害による負傷の悪化や,避難生活の負担による疾病で亡くなる「災害関連死」とみられる死者はすでに7人に達しているが〔その後も増えているが〕,愚鈍,無策の岸田と馳という「やっているフリ」コンビに今後の対応を任せていたら,この先,どれほど被害者が増えるか,2次被害が拡大するのか分からない。
ジャーナリストの横田 一氏がこういう。
「現地入りした医療関係者によると,自衛隊,県,国などの指揮命令系統がばらばらで混乱していると聞きました。本来は県が主導し,夜でも飛行可能な自衛隊ヘリを活用するべきなのにまったく機能していないと。岸田首相も馳知事もそろってリーダーシップもなにもなく,いたずらに時間だけが過ぎているよう。最悪な状況です」
岸田も馳も,頭のなかは防災対策よりもパー券を売ることばかり考えていたのだろう。まさに最悪の人災だ。
※-4「奪われた離島を奪還訓練 陸自習志野演習場で第1空挺団『降下訓練始め』」『産経新聞』2024/1/7 18:32 https://www.sankei.com/article/20240107-X243WS63Z5NB5BB3PCXXCTWTVM/
陸上自衛隊習志野演習場(千葉県船橋,八千代両市)で〔1月〕7日,陸自第1空挺団が新春恒例の「降下訓練始め」をおこない,約9千人の市民らが見守った。
自衛隊で唯一の落下傘部隊である第1空挺団は,不法占拠された離島を,敵国から奪還するとの想定の約1時間の訓練を公開した。
敵国の制圧を想定した訓練ではまず,上空1800メートルから潜入する部隊の隊員10人がパラシュートを開き,降下。その後,地上340メートルあたりを飛ぶ輸送機から40人の隊員もつぎつぎと降下した。ヘリで迫撃砲や車両,隊員を輸送する訓練なども披露された。
昨〔2023〕年,米英両国が初参加したのに続き,今年はカナダ,フランス,ドイツ,オランダ,インドネシアの各国軍もくわわった。
視察した木原稔防衛相の能登半島地震で亡くなった人たちへ黙禱をささげたあとに訓示。
「災害対応は待ったなしだ。防衛省・自衛隊は引きつづき,被災者のため全力で活動する。こうしたなかでも,国の守りは揺るぎない。国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜く」と,能登半島地震と国土防衛の両面に備えることを強調した。そのうえで「皆さんは日本国の宝だ。強い使命感をもち,日本一の精強部隊として任務に励んでほしい」と述べた。(引用終わり)
この木原 稔防衛大臣の発言をこの記事で読んで,聞いて一驚した。「災害対応は待ったなしだ」などと訓示したが,その「待った」をするどころか,なにもしないで(出動もさせないで),外国軍との訓練を最優先させていた。
しかも,今回の能登半島地震の場合だと,もっともその必要性が高かったはずの陸上自衛隊第1空挺団が,被災地には関心など向けずに,外国軍との共同訓練に励んでいた。ふだんどおりに,である。木原防衛大臣は,自分の頭中のどこかの部品が壊れているのではないか?
さらにいうと,この新年になって陸上自衛隊第1空挺団が実施した外国軍との共同訓練を見学する側にまわった,「9千人ほどの庶民の気持ち」のほうも問題にならないわけでない。能登半島地震の被災者のことを他人事で観ていることができるのか,という疑問があるからである。
木原防衛大臣が「災害対応は待ったなしだ」などとか,自衛隊員に対して訓示した,「皆さんは日本国の宝だ。強い使命感をもち,日本一の精強部隊として任務に励んでほしい」という文句が,能登半島地震のために避難生活を余儀なくされている石川県民や,なによりも,すでに死んだ人たちやまだ行方・生死すら不詳である人たちの存在など,そっちのけで吐かれていた。
その空挺団の訓練を中止にすれば,その種の文句を述べてあいさつなどする必要はなかったはずである。ところが,大地震という自然災害の発生のために「甚大な被害を受けている現地の窮状」をそっちのけにしたまま,陸上自衛隊第1空挺団は「日本国の宝」だから,特別に「強い使命感をもち,日本一の精強部隊〔である〕として任務に励」ませる訓練を,外国軍との共同演習の形式でもってする機会となった,この新年正月7日に実施させた。
以上,陸上自衛隊第1空挺団が新年においてした訓練としての顔見せ行事は,陸自の精鋭部隊のそのかっこよさをみせる機会としたかったのか,能登半島地震の発生などそっちのけにしたかたちで,中止にはしないで予定どおり実施した。
能登半島地震発生後における国側の対応姿勢は,前段でジャーナリストの横田 一が批判していたとおりに問題だらけであった。橫田の指摘を再度,一部分だけだが,つぎの3点に分けて引用しておこう。
その1 「自衛隊,県,国などの指揮命令系統がばらばらで混乱」
その2 「本来は県が主導し,夜でも飛行可能な自衛隊ヘリを活用するべきなのにまったく機能していない」
その3 「岸田首相も馳知事もそろってリーダーシップもなにもなく,いたずらに時間だけが過ぎている……最悪な状況です」
あの安倍晋三もひどかったが,岸田文雄も同じにひど過ぎる。「世襲3代目の政治屋」が自国を壊しつづけている事実だけが,目前で進展させられている情況には,我慢しがたい憤怒がこみ上げてくる。
「売り家と唐様で書く3代目」などといった格言などでは,とうてい形容に間に合わないほどの窮状が,現段階におけるこの「日本国の実態・真相」として,すでに進行しだしているのではないか。
その意味では,将来に向けて「生きていくこと」への恐怖すら感じるほかない,この国になりつつある。
南海トラフ地震が襲来したときには,人びとの住む地域によってはいまから,死を覚悟しておくべきか(?)とまで思いこまざるをえない。そのとき日本の特定地域は,無政府状態どころか,原始時代に戻ってしまうかもしれない。
このままでは日本は救われない。本当に日本は沈没していくような様相をみせはじめているといっても,それほど過大な妄想でもない。
マグニチュード9.0とされる南海トラフ巨大地震では,被害が最大となる想定だと,死者・行方不明者が30都府県で約32万3千人,家屋の全壊は約238万6千棟だと想定されていて, 東日本大震災を超えると予測されている。
だが,実際にその巨大地震が起きたときは,その程度の被害で終わるわけがない。死者は百万人単位にまで増える可能性を予期し,覚悟して備えてておくほうが,妥当性ある事前評価ではないのか。
日本という国じたいが完全に麻痺状態に陥る恐れさえ,覚悟しておかねばなるまい。東日本大震災・東電福島第1原発事故が発生したときに比較したとして,その5倍から10倍くらいの規模になる大混乱に襲われる。
下手をすると最低でも原発1基が深刻かつ重大な事故を発生させる危険性も覚悟が必要になるかもしれない。
一部の被災地(とはいっても太平洋沿岸地域に沿って広く・長く)は,当分のあいだ,間違いなく原始時代に逆戻りする。救助・救援される前に野垂れ死にする人びとが,大量に出てしまうおそれする予想されうるる。
いまの岸田文雄とこの自民党政権を観ていると,そのようにしか「事前に想像できないでいる」
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【参考記事】
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