「安倍晋三はウソの始まり男」だったとしたら「小池百合子は嘘納めの女」になりうるか,しかしそうは問屋が卸させないほど日本の政治堕落度は重篤(1)
※-1 2024年4月に入るとにわかに小池百合子の学歴詐称疑惑が再浮上
a) 小池百合子というこの山師政治屋,以前は「『緑のたぬき』の政治家」などと,愛称にしてはいまひとつその隠し味が足りなかったこの人物であったが,この2024年になってから,どうやら自分のまわりに漂いはじめていた「事情・雰囲気の重大な変質」を察した様子がうかがえる。
どういうことかというと,東京都知事職の2期目の任期が7月になると終わるのだが,この都知事選の3期目当選を狙って出馬しないで,そのかわり,衆議院補選(4月28日投票日)に出馬する意向を検討したと予想もされた小池百合子が,もしかすると,そのどちらの選挙にも立候補しない(実はもうできない)可能性が,現実味を帯びてきた。
ところで,いまからだと,1年と9ヶ月ほど前の2022年7月8日であったが,安倍晋三という「世襲3代目の政治屋」の甘ちゃん,その政治屋としてならば極上の出来であり,本当にボンボン育ちで世間しらずだったこの〈政治家まがい〉が,山上徹也という統一教会2世に銃殺されるという事件に遭遇し,68歳を迎えるはずだったその2022年にこの世を去っていた。
だが,一方の小池百合子は72歳になっているが,事後,どのようにして政界を去っていけばいいのか,その出処進退が,こんどこそ決定的にけわしい状況のなかで問われている。つまり,この山師政治屋がいよいよ,年貢の納め時を迎える時節になった。
b)「文藝春秋」編集部は,「〈編集部日記 vol.47〉『ジョーカー都知事』元側近が告発した,小池百合子氏の恐れを知らぬ隠蔽工作の手口」2024年4月10日というネット記事を,別立てに用意し,公開していた。
このネット記事は,『文藝春秋』2024年5月号に掲載されたその元記事を簡約にして紹介する内容であり,「 “電子版 ORIGINAL” として無料公開」されていた。
緊急特集 都知事の「ウラの顔」
小池百合子都知事 元側近の爆弾告発
「私は学歴詐称工作に加担してしまった」
▼小島敏郎(元都民ファーストの会事務総長・弁護士)
--以下に,このネット記事の全文を引用してみる。
衝撃的な,あまりに衝撃的な告発。
小池百合子・東京都知事の側近だった小島敏郎氏(元都民ファーストの会事務総長・弁護士)が,「小池氏の学歴詐称工作に加担してしまった」と告白する手記を『文藝春秋』5月号に寄せました。
小池氏の学歴詐称疑惑は,けっして新しい話ではありません。アラビア語会話もつたないことから,難関でしられる「国立カイロ大学卒業(しかも首席と自称)」という学歴は,かねてから疑わしいと指摘されてきました。
【参考画像】
なかでもインパクトがあったのは,ノンフィクション作家の石井妙子氏が『女帝 小池百合子』文春文庫〔2023年11月,初版は2020年5月〕で紹介した,カイロ時代の友人・北原百代氏の証言です。
留学時代の共同生活を振り返りながら,小池氏が進級試験に落第して,カイロ大学を去ったことをくわしく語るもので,今度こそ疑惑に決着をつけるものと思われました(今号には北原氏による「カイロで共に暮らした友への手紙」も掲載)。
『女帝』が出たのは前回の都知事選直前のタイミング(2020年)。しかも発売直後からベストセラーとなり,この新証言に勢いをえた都議会自民党は,きびしく追及する構えをみせ,小池氏の再選は一気にあやぶまれる事態となったのです。
小島氏は当時,小池氏のブレーンの一人でした(写真をみていただければ,豊洲移転問題の会見に出ていた人物だと思い出す方も多いでしょう)。今回の手記は,この最大のピンチに追いこまれた小池氏がどのような手を使って窮地を脱したのかという,側近しかしりえない,都知事が秘かに犯した罪の告発なのです。
2020年6月,小島氏は小池氏から呼び出され,このピンチを打開する方法はないかと相談を受けます。
カイロ大学卒業を信じていた彼は,狼狽える小池氏の様子を不思議に思いながら,「カイロ大学から,声明文を出してもらえばいいのではないですか」と進言します。もちろん,これからエジプトの大学と大使館に働きかけ折衝するわけですから,そう簡単にいくとは思っていませんでした。
ところが,わずか3日後。「コイケユリコの卒業を証明する」と記したカイロ大学声明がエジプト大使館のフェイスブックに掲載されたのです。
「えっ! こんなに早くカイロ大学が対応してくれたの?」
発案者も驚くほどのスピードでした。
小島氏はのちに,この「カイロ大学声明」も,彼女の学歴と同じく小池氏によって作られたものであることをしります。その経緯は,「事実は小説より奇なり」そのものですから,ぜひ記事を読んでいただきたいですが,小島氏はつぎのように告発しています。
「声明文は,図らずも,私が発案して,A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正をくわえた」
「(カイロ)大学を卒業していない小池さんは,声明文をみずから作成し,疑惑を隠蔽しようとしたのです」
A氏というのは,このとき工作に深くかかわり,のちに小島氏と同じく深く後悔することになった,もう一人のキーマンです。 A氏は窮地を脱し再選を果たした小池氏に会ったさい,
「エジプト大使館のフェイスブックに載っけるというのは,私,思いつかなかったわ!」と上機嫌でいわれたそうです。「してやったり」とほくそ笑む小池氏の表情が目に浮かぶようです。
私は,小島氏の告発内容を最初に聞いたとき,まさか,そんな手を使うなんて……とその恐れをしらぬ手口にあっけにとられました。そして思い出したのが安倍晋三元首相の小池氏評「小池さんは,つねにジョーカーです」(『安倍晋三 回顧録』中央公論新社)。
補注)この『安倍晋三 回顧録』は,橋本 五郎【聞き手】/ 尾山 宏【聞き手・構成】/ 北村 滋【監修】となっていた。
ジョーカーは,トランプでは切り札にもなりババにもなる。そこから「思わぬ手を使って事態を変える人」という意味があります。
小池氏はいまから4年前〔2020年〕,疑惑の影を蹴散らし再選を果たしました。3期目をめざす選挙は今〔2024〕年7月。彼女は今回も選挙公報に「カイロ大学卒業」と書くのでしょうか。そして新聞・テレビはまた騙されてしまうのでしょうか。
小池氏は,小誌の取材にだんまりを決めこんでいます。しかし,説明しなくてはならないことはたくさんあります。
多くの方々が小島氏の手記を読んで,小池百合子という政治家の「ウラの顔」をしってほしいと願っています。(編集長・鈴木康介)(引用終わり)
c) それにしても小池百合子のジョーカーぶりに難なく騙されつづけ,いいように手玉にとられてきたのは,一部の人間だけではなかった。小池が選挙のとき応援を受けた候補者は,その強力で効果を上がてくれる援軍ぶりに,大いに助けられた者が大勢いた。
つまり,その小池「効果」には絶大なるものがあったわけであるが,同時にまた,有権者たちもこの百合子にはさんざんに騙されつづけながら,いまもなお,この山師政治屋の本性をみぬけないでいる。そうだとなれば,大衆はやはり衆愚だったのか,などと呆れるほかない。
そこで,この小池百合子の場合,「喰わせ者の政治屋」としてならば,超一流の格づけを与えられてよかったゆえ,アンサイクロペディアがそのあたりを上手に面白く解説している点を,つぎに紹介しておくことにした。
日本の政界「デストロイヤー」であった小池百合子の素顔=本性を,皮肉たっぷりにこう描いている。
称して『シロアリ女王』……。いいえて妙である。ともかく以下,アンサイクロペディア https://ansaikuropedia.org/wiki/小池百合子 に聴こう。
以上のアンサイクロペディアの「小池百合子」論は,「都知事としての小池百合子に対する記述」を,たった20字しか充てないで終えていた。この東京都をこの百合子がどのようにぶっ壊してきたのかについての詳説がなく,残念であった。
d) しかし,本ブログ筆者は現時点まで未公表の状態になっていたが,2020年7月26日に書いて一度公開していた「小池百合子関連の記述」を思いだし,このさい再公表することが有意義ではないかとも考え,以下に再公開することにした。
その前に今回,小池百合子をめぐる話題「学歴詐称疑惑」が,その解明に関して,その真相にヨリ深く迫らねばならない時期・状況になった事実に関連させては,さきにつぎの2つの記事を紹介しておきたい。
元東京検察庁に勤務していた弁護士の郷原信郎が,この2024年になってからあらためて「小池百合子の山師ぶり」に関する疑惑を究明した一文と,『日刊ゲンダイ』が小池百合子をとりあげた記事を,こちらは,原文そのものは紹介できず標題や見出しだけになるが,ともかく紹介する。
いずれの記事も,本記述全体にとって,たいそう参考になる中身を提供してくれている。
最初の郷原信郎の書いた記述はそうとう長いので,読む人は覚悟して挑んでほしいが,4年前の時点にまでさかのぼった言及になっている。2020年のとき,小池百合子にうまく逃避された郷原は,くやしい思いをさせられていた。だが,2024年のこんど郷原は,小池の学歴詐称疑惑に対して「終局の詰め」になりうる究明をくわえて,愁眉を開いたことになった。
なお,本ブログ筆者のこの記述において,次項※-2にかかげる見出し(題目)は,4年近く前にかかげていた文句であったけれども,いまとなってみれば,小池百合子がいままで巧みに隠蔽してきたはずの「自身の大問題」は,たとえていうと,その「氷山の一角はいくら沈めようとしても沈められなかった」ことになる。
小池百合子は今回,再度,否応なしに「話題の人物」として浮上させられている。とにかく,核心の問題からはとうとう逃げられない窮地に,彼女は追いこまれている。
政治屋:小池百合子に対する深刻な問題が,あらためて頭をもたげている。それはむろん,公人としての立場に関した話題であったからには,「悪い奴ほどよく眠る」という譬えで想像されるがごとき,いままでの「彼女の人生の経路」は,今後においては絶対に許されない。
それにしても,安倍晋三やこの小池百合子ごとき実質的には小童が,日本政治の中枢に陣どっては,しかも大きな顔をしつつ同時に破壊しまくってきた「負の行状」は,本当に情けなくも悲しい。
遅きに失しているわけだが,百合子も,ともかく政界からいち早く抹消されて当然の,政治屋の1人であった。
※-2 2020年7月26日の記述-国政を壊してきた安倍晋三と都政を潰してきた小池百合子とはどっちもどっちで,たとえば「新型コロナウイルス感染拡大」にはまともに対処できなかった政治屋同士-
この※-2以下につづく記述は2年近く前に書かれていたので,新型コロナウイルス感染症の問題が,日本社会にまだまだ多大な悪影響を与えていた時期の状況を反映させる内容になっていた。
小池百合子が東京都知事として第1期を終わるころ,『東京新聞』と『しんぶん赤旗』がそれぞれ集約した〈公約の評価〉一覧を,さきに上げておくのもいい。こうなっていた。
当時(2020年7月ころ),本ブログ筆者は,この記述じたいの冒頭で,こういう規定を披露していた。
◆-1 食わせ者の,一発政治屋で「やってる振り」ばかりの小池百合子が都知事であった
前段でアンサイクロペディアが小池百合子をどのように論じたかを紹介してみたが,本ブログ筆者もこの表現のように「やってる振り」しか,みるべき業績を残せなかった小池百合子の,政治屋ぶりを指摘していた。
結局,都知事としての小池百合子は,アンサイクロペディアが一言でいってのけたように,「東京都知事として大した成績も残さずにシロアリに戻った」だけのことであった。
東京都知事になった小池百合子は,シロアリはシロアリでもその女王様になっていたし,国政にたずさわってきた小池の姿も,まったくにシロアリそのものであった。動物としてのシロアリについては,専門家がこういった説明をしていた。
シロアリ女王としての小池百合子は,1代かぎりなので,彼女がいなくなればその悪影響じたいは消散すると予想できるが,まだ元気で生きて動きまわっているかぎり,日本の国政や都政に与えてきた損害(危害!)は計りしれない。
安倍晋三がアベノポリティックスやアベノミクスによって,2010年代からこの国の政治経済をボロボロのガタガタにしてきた事実は,小池百合子がユリノミクスかなんだか分からぬが,目先チョロチョロだけだった都政の成果とは,けっこういい連れ合いになったいたのかもしれない。
つぎの『X』から拾った経済統計関係の諸統計は,アホノミクスのダメさかげんを真正面から説明する資料になっていた。東京都の行政において小池百合子は,いったい都民のためになるなにかの貢献はできていたのか?
◆-2 幼稚で慌て者の世襲政治屋で,ただ「やってる感」しかない安倍晋三首相であった
彼ら〔晋三と百合子〕のゾンビ的なコンビの行進によって,この国の国政と都政とが,そろいもそろって,壊滅的な迷路に突きすすんでいくだけの体たらくが現象させられていた。
もっとも,東京都は区政を敷いているので,百合子の政治手法がそのまま23区全体に向けて影響力を発揮できるわけではない。
世間しらず一途であったあのボンボン3世政治屋の安倍晋三君も,そして権力志向マシン的な生き方しかしらない法外政治屋の小池百合子君も,日本という「美しくあらねばならないこの国」を,一所懸命にぶっ壊すために日々奮励努力を重ねてきた,ということだったのか?
どっちもどっちだったが,ともかくこの記述の要点を,このあたりで前もって指示しておく。なお,「要点:1」は,いまは故人となった安倍晋三君のことゆえ,その業績は棚卸しじたいやりやすくなっているものの,「負の成果」しか残さなかった事実をもって,かなりきびしい評価がなされて当然である。
要点:1 「子ども〈裸の王様〉総理大臣」としてならば,長期間,面目を躍如させてきた安倍晋三君の「この先」はどうなるか?
要点:2 権力志向そのものの生き方と自身の人生とを無理心中させてしまい,都政を圧迫死させたい,それの自覚症状なしである「都知事の小池百合子君」
※-3「〈天声人語〉ダブルバインド」『朝日新聞』2020年7月24日朝刊
「私の命令に従うな」と,もしも命じられたら,どうすればいいのか。命令に従わないという命令を守ることが,すでに命令違反かも。相反する命令や要求に直面する時に生じる心理状況を「ダブルバインド(二重拘束)」という。
▼ もとは精神病理学の概念だが,日常生活にも応用できる。親から「もっと大人になりなさい」と「子どもらしくしなさい」を同時にいわれる場合。どっさり仕事を課されているのに「残業せず早く帰れ」と会社から命じられる場合。
▼ 矛盾のなかでストレスばかりがたまってしまう。さて目下のコロナ禍で,私たちは深刻なダブルバインドにさらされているようだ。いっしょに対策にあたっているはずの政府と東京都から発信される内容があまりに違う。
▼ 「医療提供体制も逼迫(ひっぱく)していないので,緊急事態宣言を発する状況ではない」と安倍首相はいう。しかし東京都から現状分析を任された杏林大病院の山口芳裕氏は「国のリーダーは『東京の医療は逼迫していない』というが,誤りだ」と訴える。
▼ 政府は観光支援事業でお出かけを促すが,都は不要不急の外出を控えるよう呼びかける。そうこうするうちに感染は東京に限らず広がり,昨日〔7月23日〕は全国で新規感染者が900人を超えた。矛盾は解消ではなく,拡大に向かっている。
▼ なにが真剣に受け止めるべき議論で,なにが偏った発信か。判断をすべてこちらに丸投げされるのは酷である。それでも自分で考え,自衛するしかないのか。足して2で割るわけにもいかないし。(引用終わり)
以上のように,天声人語「欄」で批判された〔2020年7月ころの〕『国:政府側と都:都政側とのこぜりあい』からは,いったいこの人たち(指導者ら)が「いかなる存在であった」のかという疑念を,いまさらのように抱かせる。
新型コロナウイルス感染拡大「問題」に対する対応をめぐっては,あえてみずからさらに混乱させる対立を惹起させていながら,自分たちでは止める手立てがなかったのだから,始末が悪かった。
「子どものケンカ」ではない。安倍晋三君は当時すでに実質,レーム・ダック状態であったのに対して,小池百合子君は都知事に再選されてますます意気軒昂のはずであった。だが,すでに対・コロナ禍対策はこれ以上ないくらいハデに出しつくしてしまっただけに,これに続くつぎの手を欠いた状況に追いこまれていた。
2020東京オリンピックは1年延期になったが,はたして1年あとに実施できるかとうかあやしいものであった。そうなったら,都知事も首相も立場はなくなり,穴があったら入りたい心境になるはずである。もっとも,この2人は政治屋としての無恥さ加減は,一二を争う間柄だから,そのときはそのときでなんとでもいいぬける用意だけはあるのかもしれない。
補注)2020東京オリンピックは1年遅れとなり,2021年に開催したが,無観客試合を余儀なくされ,従来におけるオリンピックとは全然変わった競技会の風景になっていた。
〔本文に戻る→〕 首相官邸のホームページには,『新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見』2020年5月25日,https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0525kaiken.html のなかにはまだ,つぎの文句がま掲示されている。いまとなっては,とてもじゃないが恥ずかしくて,のぞく気にもなれない「迷文句」が,安倍晋三をまだ忖度しつつ整列している。
たいそうな発言であったが,なんということはない。2020年の7月下旬における段階になってみれば,新型コロナウイルス感染症をめぐって,この安倍晋三が記録してきた発言は,「日本モデル」というカゲロウを想像妊娠していた「自身の粗忽さとウカツさ」を,わざわざみっともなく宣言していた事実を,みっともなくさらけ出すだけの顛末になっていた。
その後さらに「東京都における感染者数の図表」は,こう推移していた。この「あとに続く流行の時期も含めた図表(こちらは全国版)」も紹介しておく。
この図表(前段のうちの後者)においては,2020年に発生した第1波の時期は,その感染者数の統計量そのものが,棒グラフに表現できないほどに少な目であった。あくまで,このような図面上で比較した話となるが,ひとまず注意しておきたい。
※-4「強い対策打てず,焦る都 貯金減,呼びかけ中心 新型コロナ」『朝日新聞』2020年7月26日朝刊28面
新型コロナウイルスの累計感染者が1万人を超えた東京都。〔2020年〕5月下旬の段階ですでに接待を伴う飲食店で新たな感染拡大の予兆はあったが,封じこめられず,〔2020年〕7月に連日100人を超える大きな波につながった。注意の呼びかけ中心の対応に,都庁内では「都民に危機感を伝え切れていない」との焦りの声も漏れる。
「4連休の最中だが,とくに高齢者や持病のある方々はできれば,できるだけ外出を控えてもらいたい」
295人と5日連続で200人以上の感染者が確認された〔7月〕25日,小池百合子知事はあらためて注意喚起した。ある都関係者は「都内全域への休業要請などわかりやすい対策を打ち出せず,知事は焦っている」と漏らす。
補注)このころにおける小池百合子都知事の発言は,かぼそくも頼りない調子になっていた。彼女が都知事として新たに打ち出せる具体的な施策を,なにも用意できていなかったからである。
こういった状勢のなかに置かれたときの彼女は,非常に弱い。できることといったら,ひたすら「無視」する対応だけであった。こちらの基本姿勢だけに関しは,非常にしっかりかつ念入りであった。
〔記事に戻る→〕 都が休業要請など強い対策に踏みこめない背景にあるのが財政事情だ。都は緊急事態宣言下の第1波での休業要請の協力金など新型コロナ対策で計1兆3500億円を計上。約9千億円あった貯金にあたる財政調整基金の9割を取り崩した。
都は7月に基金に積み戻したが,その額はわずか2千万円。防災など目的別に積み立てた1兆円近い基金はあるが,都幹部は「そう簡単に取り崩せるものではない。ない袖はふれない。『気をつけてください』と呼びかけ中心にならざるをえない」と話す。
新たな感染拡大の震源地となったのが,新宿区の接待を伴う飲食店など「夜の街」だった。〔2020年〕5月23日の都内の感染確認は2人まで減った。だが,11人の感染が確認された5月27日の段階で,都は「ホストクラブやガールズバーの従業員の感染が散見される」と説明していた。
新規感染者が6月2日に34人に跳ね上がり,小池知事は東京アラートを発出。警戒を求めたものの,9日後の同11日にはアラートを解除し,翌日にカラオケ店など遊興施設への休業要請を解除した。
補注)この「東京アラート」の解除は,政府の「緊急事態宣言解除」に相当するとみなしていい。その後におけるコロナ禍の増大傾向に鑑みれば,この2つの解除は『彼女と彼』(小池百合子と安倍晋三)の手慰み的な意味あいにしか,発揮できていなかった。この2人とも政治家としては「困ったチャン的な政治屋」に所属していたとはいえ,そうなるのは必然のなりゆきになっていた事実に即して判断すれば,本当に・まことに「困った政治屋」たちであった。
〔記事に戻る→〕 そのころ,新宿区ではホストクラブの協力をえて,感染者が出た店の従業員への集団検査が始まっていた。ホストクラブでの18人を含む47人の新規感染者が確認されたのはアラート解除の3日後だった。
20~30代の若い世代を中心に接待を伴う飲食店や会食などでの感染確認が続くなか,都は6月19日には接待を伴う飲食店への休業要請も解除。小池知事は「に入っていくなかで,本格的な経済社会活動を営んでいくことが必要」と強調した。
補注)さてここで,「ウィズコロナ」とはなんぞや(?)と問うておく。意味不詳なことば遊びに,この都知事は走るのが好きであった。ウィズコロナとは厳密に定義されていないことばである。
ウィキペディアには未熟な解説が記述されているが,このウィズという英語を使わねばならず,「新型コロナウイルス」の問題対処にどうしても必要な概念となっていたのか,疑問なしとはいえなかった。
横文字というか英単語を日本語風に並べて,なにか新しい意味があるかのように陳列するのは,小池百合子の〈横文字好き〉趣味の発露だったかもしれなかったが,その実質はほとんどナンセンスであった。
それならば「ウィズ・交通事故」ということばもあっていい。毎日発生する交通事故死者数は,2019年はかなり減少してきて3215名まで下がったというが,われわれの日常生活そのものが,ウィズ・交通事故的な状況でありつづけている点は,強調されてなにもおかしいことはない。
そういってみたら,ウィズ・インフルエンザとも表現しておく必要もある。けれども,それよりさらに,ウィズ・アベならびにウィズ・ユリコという表現のほうが,現時点における国民・都民の日常生活にとっては深刻かつ重大な問題:為政上の脅威になっている事実を,的確にかつ実感的に伝えられるはずである。
〔記事に戻る→〕 しかし,7月2日には2カ月ぶりの3桁となる107人に。小池知事はその日,「夜の街 要注意」と記したパネルをかかげたが,ここでも注意を促すだけで,休業要請には踏みこまなかった。感染経路はすでに「夜の街」や会食の若い世代だけでなく,職場,保育所,高齢者施設へと広がり,40代以上の感染者も目立ちはじめていた。
都が感染者が出た接待を伴う飲食店などを対象に,区市町村が休業要請を出す場合,1店舗につき50万円の協力金を補助する制度を始めると発表したのは,その1週間後の9日。だが,休業要請を出す主体は区市町村ではなく都ではないのかとの異論も出て,いまだに制度は動き出していない。
〔2020年7月〕24日には警視庁が風俗営業法にもとづき,新宿や池袋のホストクラブなどへの立ち入り調査を実施。都の職員も同行して,感染防止策の確認を始めたが,5月下旬の「予兆」からは2カ月近くが経っていた。
繁華街を抱えるある区の幹部は「都にはスピード感がまるでない」と不満を募らせる。感染者を受け入れる都内の病院の医師の1人は「すでに幅広い年代・場所で感染が広がっている。もっと早い段階で徹底的に対策すべきだった」と話す。(引用終わり)
以上を分かりやすくまとめれば,小池百合子都知事は,自分の関心のもてない,あるいはもちたくない「当面する課題」は,問答無用的に “ウィズアウト・あつかい” してきた。
要は,この都知事殿は,責任逃れが上手なだけであった。ただそれだけのことであって,自分の得意ではない相手は有象無象「あつかい」するのを得意技にしていた。
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【断わり】 「本稿(1)」のつづき「本稿(2)」できしだい,ここにリンク先住所を指示する。
⇒ https://note.com/brainy_turntable/n/n2ae08aba1989
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